モルモットが車になった“モルカー”が存在する世界を描いたストップモーションアニメ「PUI PUI モルカー」。羊毛フェルトで作られたモルカーたちの質感やコマ撮りならではのトコトコとした動きなど、とにかくかわいらしいこの作品は、人間の愚かさを描いたちょっぴりブラックな物語も相まって、昨年放送されるやいなや大きな話題を集めた。

【写真を見る】どのシーンもかわいすぎ…!モルモットが車になった世界を描く「PUI PUI モルカー」の見どころを全話解説

そんな本作の第2期となる「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」が、10月8日(土)よりテレビ東京ほかにて放送スタート。全12話、計30分ほどと見やすい前作の各エピソードをチェックしておきたい。

■第1話「渋滞はだれのせい?」

記念すべき第1話は”渋滞”を題材としたエピソード。シリーズの主人公的なモルカーであるポテトが、ドライバーとともに仕事場に向かっていたところ道路が大渋滞。そんな時、ポテトの後ろに病人を乗せた救急モルカーがやって来て一刻を争う事態に。そこでポテトは機転を利かせて、渋滞の突破を試みる。

お尻の匂いを嗅ぎながら一列になって移動する習性を落とし込んだストーリーはモルモットならでは。一方で渋滞を引き起こした人間の愚かさも盛り込まれており、本作のらしさが存分に楽しめる、第1話にふさわしいエピソードだ。

■第2話「銀行強盗をつかまえろ!」

シロモというビビリな性格のモルカーが主人公の第2話。ドライバーとともに買い物にやってきたシロモは、路上に駐められていたが、近くの銀行で強盗が発生すると犯人たちに脅され逃走車両にされてしまう。警察のパトモルカーに追われるなか、シロモは勇気を出してある方法でアジトの手がかりを残そうとしていく。

これまた人間の愚かさと対称的にモルカーの健気さが描かれるエピソード。カーチェイスシーンもあり、かわいらしさとは裏腹にしっかりとした迫力やスピード感のあるスリリングな映像で視聴者のド肝を抜いた。

第3話「ネコ救出大作戦」

アビーと呼ばれるモルカーがメインとなる第3話。じりじりと陽の照った暑い夏の日、レストランの駐車場に停車するアビーだったが車内にはドライバーの飼いネコが取り残されており、熱中症から助けるべく奮闘する。

ネズミ科の天敵であるネコの行動にいちいちパニックになりつつも、ネコがぐったりしだすとほっとけない、モルカーの心優しい一面が描かれたこのエピソード。アニメらしい突拍子のない救出方法もユニークだ。

■第4話「むしゃむしゃおそうじ」

食いしん坊モルカーテディが主役となった第4話。ドライバーがゴミを車からポイ捨てすると、あろうことかテディはゴミをパクリと食べてしまう。次々とゴミを食べるテディの姿を見て調子に乗ったドライバーは、車内のゴミをどんどんと投げ捨てていくのだが…。

むしゃむしゃと頬張りながらゴミを掃除していく無邪気なテディに対し、これまで以上に人間の愚かさが際立ったこのエピソード。物語のテーマとリンクしたオチの切れ味が抜群だ。

■第5話「プイプイレーシング」

これまで主役を飾った4匹に、おしゃれさんなモルカーのチョコを加えた5匹の主要モルカーたちが、カーレースを繰り広げるだけというシンプルな物語の第5話。人間たちが絡んでこない珍しいエピソードだ。

モルカーたちの熱いレース模様に加えて見どころとなるのが、随所に盛り込まれたオマージュの数々。『AKIRA』や『トランスフォーマー』をパロったポスターやゲーム「マリオカート」のきのこダッシュを思わせるニンジンでのスピードアップ。さらにSNSでバズったモルモットのエサの奪い合い動画まで、様々な引用が満載。特に映画ネタは、ほかのエピソードでも描かれる本作の大きな特徴の一つだ。

■第6話「ゾンビランチ

ゾンビに追われて荒野を逃げるテディシロモは、武装して逆にゾンビを追い回していたところ、ハンバーガーモルカーと遭遇。ハンバーガーを巡ってゾンビとバトルを繰り広げるなか、肉が食べたいゾンビと野菜が食べたいモルカーで利害が一致し、一件落着したのだが…。

この話でも『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)をオマージュしたかのような武装したモルカーが砂漠を暴走する姿が楽しめる。また前話をチェックすると、レースの客席にゾンビが紛れ込んでおり、実はつながった物語になっていることがわかる。

■第7話「どっきりスッキリ!」

新たなモルカーが登場する第7話。冒険から帰って来たトレジャーモルカーは、泥だらけで身体中が真っ黒。どうにかして彼をきれいにしたいモルカーたちは、黄金のニンジンを追い求めるトレジャーモルカーにうってつけの方法を思いつく。

ハットを被った冒険好きのモルカーに加え、洗車機を様々な罠が仕掛けられた遺跡に見立てるなど、これまた『インディ・ジョーンズ』を彷彿とさせるエピソードとなっている。

■第8話「モルミッション」

放送時に大きな話題を呼んだ第8話の「モルミッション」は、悪の組織に捕らわれてしまったトレジャーモルカーを救うべく、テディとチョコが救出ミッションに挑むというストーリー。ミサイルによるヘリコプターの大爆発も盛り込まれた大アクション回で、全12話で最も大変だったと見里監督も語っている。

ヘリからモルカーが飛び出すという『ワイルド・スピード SKY MISSION』(15)のような描写や『AKIRA』の金田がバイクを急停車させるシーン、さらにサメ映画を思わせる機械仕掛けのサメ兵器の活躍など、盛り込まれた映画オマージュを探してみるのも楽しいエピソードだ。

■第9話「すべってサプライズ」

前話のアクションから打って変わってミュージカル回の第9話。男性がサプライズでプロポーズをしようとタイミングを見計っていたある雪の日。上手く走れないモルカーたちは道をスケートのように滑っているとしだいにダンスへと発展していき…。

スクランブル交差点を舞台に、フラッシュモブならぬ“フラッシュモル“が繰り広げられ、『ラ・ラ・ランド』(16)を思わせるような大所帯でのダンスは圧巻。また第6話でゾンビ化してしまったシロモが、いまだにゾンビ姿であることが確認できるが、いったいどうなってしまうのか?

■第10話「ヒーローになりたい」

アビーが再び主役を飾った第10話。初心者マーク付きのアビーはヒーローに憧れトレーニングに励んでいた。そしてついに初心者マーク剥がされる塗装の日、かっこいい姿を期待していたアビーだったが、蓋を開けてみると、美少女キャラクターがペイントされた痛車になっており…。

バットマンのようなヒーロー像とはかけ離れた姿になってしまったアビーショックに涙を流しながらも、あるピンチに立ち上がり奇跡を起こす…という、2分ほどながらも「ヒーローとはなにか?」という本質を捉えた名作エピソードだ。

■第11話「タイムモルカー

第11話はその名の通り、ある博士によって開発された改造モルカーが時空を超えたタイムトラベルをする『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿とさせる1話。過去を訪れたタイムモルカーが原始人に襲われそうになったところ、モルカーの先祖に助けられ…。

過去を変えることで現代にもある変化が起こっているという、タイムトラベルものならではの展開が訪れるこのエピソード。なによりもファンを歓喜させたのが、ある姿になってしまっていたモルカーが元の姿に戻ったことだった。

■第12話「Let's!モルカーパーティー!」

そして最終話の「Let's!モルカーパーティー!」はラストにふさわしい打ち上げ的なお話。1日の終わり、家に帰り疲れ果てて眠りについたドライバーを横目に、ポテトはスマホのチャットアプリでほかのモルカーたちに連絡し、家でパーティを開催する。

音楽や食べ物、ゲームで夜を楽しみ尽くすモルカーたちがとにかくかわいらしく、最終話といってもしんみり感はゼロ。加えて、家主にバレないようにパーティを行うハラハラ感も盛り込まれた、ツボを押さえたエピソードとなっていた。

■新シーズンの舞台は教習所!

そしてこのたび放送される新シーズン「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」は、教習所を舞台にした1作。ある日、大騒動を起こし教習所に連れてこられたポテトたちが、テーマパークのような場所で新しい出会いやドライバーとの絆、試練などを経験することになる。

ポテトらおなじみのモルカーに加え、前作ではチラッとしか映っていなかったローズが本格的にシリーズに参戦。また、新米モルカーのペーターに、教習所で働くひー・ふー・みーといった新たなモルカーたちも登場し、どのような物語が繰り広げられるのか?楽しみでならない。

2週間限定で「PUI PUI モルカー」全12話の一挙上映と、「DRIVING SCHOOL」編の先行上映が映画館で行われたり、グッズ展開に様々なコラボなど社会的な現象となっている「PUI PUI モルカー 」。未見の人はもちろん、すでに見ている人も新作を前におさらいしておきたい!

文/サンクレイオ翼

かわいくて癒されるけど、ちょっぴりブラック!?新シーズンがまもなく放送される「PUI PUI モルカー」の魅力をチェック!/[c]見里朝希/PUI PUI モルカーDS製作委員会