アメリカ、カリフォルニア州サンマテオ郡には、墓に眠る死者の数が生きている住民の数より圧倒的に多い小さな町がある。
その為、人口1509人の小さな町コルマは、"沈黙の町"と名づけられている。
人口の少なさから、この名がつけられたわけではない。この町の墓地に、住民数の1000倍もの150万人の死者が眠っているせいだ。
Welcome to the Town of the Dead
どうして、この町にこれほど多くの死者が眠っているのか? その理由は、1914年1月14日、サンフランシスコのすべての墓地に対して、遺体と墓石を移動させるよう、立ち退き通告が出されたためだ。
サンフランシスコ市郡の新しい規則で、これ以上の埋葬は許可しないということになったのだ。
なぜ、墓の大移動をしなくてはならなかったのか?
アクアティックパークとセント・フランシス・ヨットクラブに防波堤を作るために、貴重な地下墓地や個人の霊廟が、無残にもサンフランシスコ湾の底に沈むことになったからだ。
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そのあおりをくらって、コルマの町が、結果として大変な数の遺体を引き受けざるをえなくなってしまった。
サンフランシスコの墓地から遺体を運ぶ作業者たち / image credit:Colma Historical Association
「墓の撤去のための費用10ドルを払う遺族がいないという理由で、共同墓地に葬られた遺体もたくさんあった」政府のサイトにはこうある。
おびただしい遺体を別の場所に移すのは、相当大変な作業だったことは想像に難くない。
棺がいい状態で残っている場合は、そのまま遺体も一緒に運ぶことができる。だが、棺が劣化している場合は、中の遺骨をべつの箱に移し替えなくてはならない。
遺骨は発掘したその日のうちに、葬儀用馬車で運ばなければならなかった。
さらにカトリック教会が、カルバリー墓地から遺体を掘り出すときに、神父の立ち合いを要求したという。
Visiting a REAL…City of the Dead - Colma, California4K
掘り起こされた遺体の状態は、ほとんど塵と化した状態から、防腐処理されていて、ほぼそのままの姿のものまでさまざまだった。
後者は、鋳鉄製の棺に防腐剤として地下水を満たした結果だ
1950年のサンフランシスコ都市計画報告書の中で、ウィリアム・プロクターは書いている。
また、遺体が埋葬されてから、30年から70年という長い年月がたっていても、死臭が漂うことはよくあったそうだ。
死者だらけの町は自動車産業が盛んな町に
墓地だらけのコルマには、1970年以降、サンフランシスコ以南で最大の自動車産業がある。
ホーム・デポ(住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーン)もあり、グリーンローン墓地の一画が映画館になった例もある。
墓地の中でたたずんでいると、"〇〇さま、自動車修理の整備が完了しました"といったアナウンスが聞こえてくるそうだ。
コルマの町は、なんとも不思議なところなのだ。
References:Why Are There So Many Graves in Colma? And So Few in San Francisco? | KQED / US News: California town where dead outnumber living by 1000-1 / written by konohazuku / edited by / parumo
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