長期航海では洋上生活は単調になりがち。メリハリをつけるためにも艦内では乗員らによるアットホームなイベントが多数企画されるそう。そのなかでも屈指の人気を誇るのが意外にもスイーツ食べ放題だとか。その一端を見てみます。

自衛隊ならでは「カレー早食い大会」も

2020年以降、世の中はコロナ禍によっていろんなイベントが中止になってきました。かくいう私(たいらさおり:漫画家/デザイナー)も家族で新型コロナに罹患し、しばらくイベントごとから離れた日々を送っていました。

ただ、そのようななかでも生活に彩りがないと寂しいものです。それは海上自衛隊護衛艦でも同じこと。コロナ禍以前は隊員向けのイベントがいくつか企画されていたようです。

基本的には正月などの祭事に合わせたものが多いようですが、夫で海上自衛官のやこさんが護衛艦に乗っていたときは、艦内の出来事をまとめた新聞が家族へ定期的に送られていたため、普段どのように過ごしているのかを手に取るように知ることができました。

たとえば「カレー早食い大会」の記事では、なぜかコスプレした隊員がカレーをほおばる写真や、「艦内辛口王選手権」の記事では、ベテラン隊員自ら仕入れたスパイスを使った激辛カレーをものともせずに平らげた若手隊員の笑顔を目にしました。ほかにも「節分の豆まき」では鬼の格好をした隊員が楽しそうに豆を撒かれているなど微笑ましいものばかり。

乗組員は家族のようなものだとは言いますが、まさかここまで和気あいあいとした日常が繰り広げられているとは……!

遠く離れて暮らす家族にも楽しそうな様子が伝わってきて、艦内新聞は私も楽しみな便りの一つでした。なお、艦艇によってはそういった部内報含め取り組みに差があるため、いまでも行われているかは不明です。

やこさんいわく、数年前からはイベントに「スイーツパラダイス」、略して「スイパラ」が追加されたとのこと。海上自衛隊の調理員は専門教育を受けているので、フレンチのフルコースからスイーツまでなんでも作れるスペシャリスト集団です。そんな調理員が作った珠玉のスイーツが食べ放題となるスイーツバイキングは、航海中の楽しみになっているとか。

ちなみに、「スイパラ」が開催されるときは、艦内放送で「これより科員食堂にてスイーツパラダイス」という放送が入るそうで、艦内は男子たちの熱気に包まれるそうです。自衛官×スイーツの意外性にうっかり萌えそうになりますが、甘いものを食べることで仕事の効率が上がるなら、むしろ一石二鳥のイベントなのかもしれませんね。

2019年6月、令和元年度遠洋練習航海部隊の練習艦「かしま」で行われた乗員および実習幹部へのスイーツ提供の様子(画像:海上自衛隊)。