夫婦になると、恋人時代のような甘いやりとりは少なくなるもの。しかし、パートナーは一番身近な相手であるからこそ、心身ともにそばにいてほしいと思う日もあります。



イメージです(以下、同じ)



 愛知県在住の近藤圭織さん(仮名・32歳)は、心寂しくなった夜も夫から衝撃的な一言を言われ、つらい気持ちになってしまいました。


◆互いに「これまで出会ったことがないタイプ」だった
 圭織さんと夫・亮介さん(仮名・33歳)との出会いは、マッチングアプリ。圭織さんは、どこか品のある亮介さんに惹かれていきました。


「なんというか、知性が漂っている感じがしました。話していても、普通の人との会話なら出てこない言葉がたくさん出てきて。語彙力がすごいな、賢いんだな、と自然に尊敬するようになりました」


 こういうタイプはこれまで出会ったことがなくて、新鮮。そう感じていたのは、どうやら亮介さんも同じだったよう。


「私は感情が表に出やすいタイプなのですが、夫にとっては、それが新鮮だったみたい。『こんなにも見ていて飽きない人は初めて』と、よく言われました」


 何度かデートを重ねた後、亮介さんから告白され、2人は付き合うことに。その後、1年半の交際を経て、トントン拍子で結婚をすることになりました。


◆結婚して見えた夫の理屈っぽい一面



 しかし、結婚後、圭織さんは亮介さんの理屈っぽい一面を知ることになりました。何か話し合いをしようとするたび、亮介さんの口から出るのは「エビデンスデータはあるの?」という言葉。


 例えば、結婚後に香織さんが「帰宅する前に帰りますという連絡を送ってほしい」と伝えると、亮介さんから「そのメリットは何?」との返答が。


 そこで「私が安心できる」と香織さんが伝えると、亮介さんは「安心は感情論。帰りますとLINEで打つ時間が無駄。本当に早く帰ってきてほしいなら、その時間要らなくない?」と反論。結局、この件は香織さんが折れることになりました。


「夫は、私がしたいことを伝えても、いつも『メリットはどんなこと?』や『感情は聞いてないんだよ』と言ってきます。感情で物事を決めてきた私にはメリットエビデンスと言われても、ピンときません」


◆普段は優男だけど…
 けれど、意見が食い違うポイントを除けば、亮介さんは家事にも協力的な優男。時には、持ち前の理論的な性格を活かして「こういうふうにしたら、もっと家事が時短できて、お互い、好きなことに時間を使いやすくなるんじゃない?」と提案してくれることもあります。


「感心させられるアイデアが次々と出てくるので、この人ってすごい、頼れるなあって思いますね」


 しかし、香織さんは亮介さんとこのまま夫婦生活を続けていく自信がなくなってきています。きっかけは寂しさを伝えたときに、感情をないがしろにされたことでした。


 女性はホルモンバランスの関係で、月経の前後に気持ちが不安定になることも多いもの。圭織さんは時折、月経前に気持ちが落ち込んで、寂しさが募ってしまうことがあります。


「それでも、いつもは自分で自分を何とか満たして気持ちを落ち着かせるのですが、数カ月前の月経前はそれが難しいくらい人恋しくなってしまって。隣で寝ていた夫に『寂しいよ……』とこぼしてしまいました」


◆「寂しさも自己管理しろ」と夫に言われて



 すると、亮介さんはスマホを見続けながら「そんなのは自分の問題だろ。それを俺に言われても……。自己管理くらい、ちゃんとしろよ」と言い放ったのです。


 それを聞いた香織さんは大きなショックを受け、この先、亮介さんと共に生きていくことに不安を覚えました。


「たしかに感情って、その人の問題なところもあるかもしれません。でも、話を聞いてもらったり、気持ちを理解してもらったりするだけでも違う。エビデンス野郎には、それが分からないんだなと。心がないような人だと思いました」


 感情と理論的な思考は、どちらも大切なもの。しかし、それ以上に、パートナーの心に寄り添う共感力は、結婚生活を送る上で必要なものであると言えるのかもしれません。その事実に亮介さんが気づく日は、来るのでしょうか。


<取材・文/古川諭香>


【古川諭香】愛玩動物飼養管理士・キャットアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter@yunc24291