TOKYO MX地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」では、東京オリンピックと運動習慣との因果関係や“国民の運動意識”高めるために必要なことについてZ世代の論客が議論しました。

東京オリンピック日本人の運動促進に影響せず!?

子どもたちの体力低下や肥満増加が問題視されるなか、東京オリンピックレガシーのひとつ「スポーツや運動の促進」に関して、東京大学の研究チームは「東京五輪日本人の運動習慣に影響を与えなかった」という調査結果を発表しました。

2021年12月東京オリンピック大会組織委員会が提出した「アクションレガシーレポート」では、国民のスポーツ実施率は2016年の42.5%から2020年は59.9%に上昇。しかし、東京大学の研究チームが発表したグラフでは、運動習慣や歩数など全てにおいて変化なしとされ、東京大学大学院の鎌田講師は東京五輪招致決定後も“変化なし”」と話しています。

Fridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、コロナ禍で大勢が集まって運動する機会は減ったものの、個人では健康を考えウォーキングなどをする人が増えたと思っていたようで、東京大学の研究チームの調査結果に「横ばいは意外」と率直な印象を語ります。

慶應ビジネススクール2年(MBA)の池田颯さんは、“変化なし”とする研究結果の要因として、学校における「体育」と「部活」が根深いのではと推察し、「体育はスポーツではなく基本的に教えられるもので、みんなで一緒にやらないといけない。部活は楽しむというよりも頑張らないとダメみたいな風潮がまだまだあると思っていて、それがまだ抜けていないのではないか」と指摘します。

今年冬季に開催された北京パラリンピックに出場したパラスキーヤーで起業家の青木大和さんは「オリンピックパラリンピックは、どちらかというと社会の中では見るもの。それを見て自分で何かをするものではない」とその存在意義を語ります。

そして、「例えば、海外ではスケボースノボー、“Xゲーム”と呼ばれるアクション系のスポーツは人気があるが、その大技も誰もやろうとは思わないはず。あれは人間の限界に挑戦しているから面白いと思って見ているものだと思う」と持論を展開。

その上でファンスポーツと競技スポーツは切り分けされるべき」と言い、先の「アクションレガシーレポート」についても「世の中でオリパラに対する捉え方が別物になってきているので、レポートの数字も伸び切らない部分があると思う」と私見を述べます。

◆運動習慣に繋げるためには…

スポーツ実施率に関して過去のオリンピックを見てみると、2008年北京オリンピックは大会前後で若干上昇しているものの、2012年ロンドンオリンピック2016年リオデジャネイロオリンピックはほぼ横ばい。また、ロンドン大会の際、イギリス国内のネット検索では“オリンピック”というワードが大会前から期間中は増加したものの約1年で急激に減少。

一方で“エクササイズ”というワードは大会前から終了後にかけて増加し、増加が数年間にわたって持続したということです。鎌田講師は「関心は高まるが、運動習慣には繋がらない。スポーツを“見ること”、“すること”を結びつける仕掛けが必要」と話しています。

この結果に、青木さんは「アメリカや日本でもジムの数は増え、ジムに通う人も増えている一方で、真剣に順位を競い合うスポーツを行う人は減少傾向にあると思う」と推測し、「そういう意味ではスポーツ、体育というものの捉え方が広義になってきている」と指摘します。

さらに、「中高時代の部活は地区大会に出ないといけない、順位を競い合わなければいけないというわけではなく、楽しむという意味でスポーツをする、そういったウイングの広さが大事」と話します。

黒部さんは「エクササイズは健康に良い影響があるイメージがあると教育されてきたから続くのかなと思う」と感想を述べつつ、「運動をする場が身近にあることも大事」と場所の問題についても言及。「オリンピックの会場とか、もっといろいろな人が使えるように開放したら良いと思う」と希望します。

街頭では「オリンピックが始まって、体を動かしてみようと社会人サッカーを始めた」(22歳 男性)、「街中に運動できるスペースがあれば広がるような気がする」(27歳 男性)、「(競技をするための道具が必要だし、やる施設に行かなければならず)始めようという気にならない」(25歳 男性)、「運動しないことで考えられる病気や弊害を伝えられれば運動しようと思うかも」(20歳 女性)など、さまざまな意見が寄せられていました。

普段、キックボクシングを行っているキャスターの大坪奈津子は、「オリンピックを見ていてもすごいアスリートがやっているからできることで、ドラマや映画を観ている感覚に近い。自分がやろうというところには繋がらない。運動を始めようとする方はそれぞれ目的があって始める方が多いと思うので、目的がない人が始めようと思うきっかけが何かあれば」と実感を語ります。

こうした意見にスポーツも就職などと同様、適正があると思う。何が適しているかはあらゆるものを試したり、触れてみたりしないとわからない」と青木さん。ただ、日本の今の体育だと一部の競技、メジャースポーツしか接する機会がなく、もしもそこにマッチしなかった場合は苦手意識が生まれてしまい、ひいては「スポーツ嫌いになってしまうかもしれない」と危惧。青木さんは「いろいろなスポーツに触れ合える機会がもう少し広くあると、意外な適性が見つかるかもしれない」と改善を求めます。

◆近年、子どもたちの体力低下が顕著に

現在、子どもの体力低下は著しく、2021年度の全国体力テストで男子は過去最低、女子は前回から大幅に低下しました。スポーツ庁としてはコロナ禍スマホなどの利用時間増加を要因としていますが、運動やスポーツに対する意識自体も、小学生男女、中学生男女ともに低下しています。

運動意識改善の打開策として、黒部さんは競技をより身近に感じ、運動をすることの良さ・楽しさを伝えるべくオリンピック出場者の学校訪問を提案。さらに、地域でスポーツを教えたいと思っている方を招いて運動に触れ合う場を作るのもいいのではないかと話します。一方で、気候変動による影響の懸念も。外で運動しようにも暑さで規制されてしまうこともあると課題を挙げます。

ここで青木さんは、ルールを新しく定義し、誰もが楽しめるスポーツ作りを目指す「ゆるスポーツについて紹介。世界ゆるスポーツ協会では、数多くのゆるスポーツを推奨しており、例えばハンドボールならぬ「ハンドソープボール」は参加者が全員ハンドソープを付けることでハンドボール経験者もボールの扱いが困難になり、時には子どものほうが活躍することも。

青木さんは「こうしてルールや形を変えていくことでいろいろな人が楽しめ、フェアにできるのがゆるスポーツの目指しているところで、障害の有無も関係なく老若男女問わずできる」とそのメリットを語り、「これならトップのアスリートに勝てるかもしれないからやってみようと思うかもしれない。もっと全国に広がってほしい」と熱望します。

池田さんも「これなら(スポーツが)苦手だと思っていた人もできるし、スポーツができる人・できない人、既存の枠組みに関係ない。そうした成功体験、スポーツがいいなと思えるきっかけはすごく大事」とゆるスポーツのさらなる普及に期待します。

国民の運動意識を高めるために何が必要か、Z議会を代表して青木さんが「あらゆるスポーツに出会う機会を!」と提言。

「多くの日本人が体育の授業を経験し、かけっこや野球、サッカーなど特定のものをスポーツだと思いがちだが、世界ではチェススポーツだと思われている」と言い、「ルールをある程度変えていくことで多くの人が楽しめるゆるスポーツスポーツだと思うし、スポーツは固執したものではなく、広い概念で捉えられ、さまざまな人がいろいろな形で楽しめるよう捉え方を変えていくことが大事」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter@morning_flag

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