乃木坂46の「30thSGアンダーライブ」が5日、大阪・オリックス劇場にて開催。1期生・和田まあやにとっての卒業公演となる同ライブで、和田が「みんなを信じて、自分を信じてやってきてよかった」と、13歳から24歳までの11年間在籍した乃木坂46としての活動を振り返った。



ライブには和田を始め、伊藤理々杏、北川悠理、黒見明香、阪口珠美、佐藤璃果、林瑠奈、松尾美佑、向井葉月、矢久保美緒、吉田綾乃クリスティーの30thシングル『好きというのはロックだぜ!』アンダーメンバーが出演。和田はアンダー楽曲『Under’s Love』で初のセンターポジションを務めている。なお、中村麗乃は9月30日新型コロナウイルスの感染が確認された影響で欠席した。


ライブは和田のVTRからスタート。「まあやが主役 みんなも主役」とモニターに文字が映し出され、『overture』が掛かると会場のファンはサイリウムを力いっぱい振り、メンバーの登場を待つ。すると、ステージ中央に黒い革の椅子が、観客席に背を向けた状態で登場。ゆっくりと椅子がこちらを向き、一瞬の暗転の後、再び明るくなると、ゆったりと椅子に腰掛けた和田が姿を見せた。文字を描くように指先を空中に向けて動かすと、モニターに「Under’s Love」と浮かび上がる。和田の「You know It’s Under’s Love」という一言からセンター曲『Under’s Love』が始まった。


そのまま続いて『不等号』、『自由の彼方』、『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』と歌い上げ、MCへ突入。心境を聞かれた和田は「今日はメイクさんが(和田のサイリウムカラーである)オレンジと黄色のソックスを履いていたり、マネージャーさんがオレンジと黄色の髪飾りを着けていた」と明かし、登場時には幕に書かれた「ラストがんばれ」というスタッフからのメッセージに気付いたことで「今日が最後なんだなと実感しています」と口にした。


続くパートでは、林が観客にサイリウムの明かりを付けずに楽しむよう呼びかけ。暗くなったステージで、メンバーはピンク色のライトで照らされ、緑のレーザーが差し込む中、『ポピパッパパー』を披露。続く『Against』、『〜Do my best〜じゃ意味はない』のプロジェクションマッピングを使用した演出では、会場を一体感に包み込む。


再びMCコーナーへと展開すると、北川が「今回はまあやさんが最後のアンダーライブということで、まあやさんが少しでも最後楽しく終われるように全力で頑張りたいって思っている」とした上で、「なのにそんな時にまでまあやさんは周りの後輩のことを気にかけてくださって。そんなやさしさに本番始まる前からジーンと来ちゃった」と、本番前から後輩のパフォーマンスを褒めていた和田の姿勢に感激。和田は「みんなが頑張っているから、勝手にすごく気になっちゃって、色々見ちゃう(笑)」と笑っていた。


林は「泣きそうになっちゃう」と早くも目を赤くしながら、「今日は麗乃がいないんですけど、(アンダーライブの)6公演、12人でやらせていただいていて、半分が4期生なんですよ。だから私たちも本当に甘えてばかりじゃいけないし、もっともっと頑張んないといけないなっていう風に思って、MCを任せてもらった時とかも、うまくやろう、うまくやろう、と意識しすぎなくらい考えながら6公演やってきた」と吐露。続けて「まあやさんが最後なのが本当に信じられない」「本当に寂しいんですけど、でも本当に悔いがなかったって自分的には言えるくらい全力になれた6公演だったので、この後もまだまだ曲は続きますけど、全力で頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。


佐藤・矢久保・向井がボーダーTシャツにスカーフを合わせたスタイルで歌う『ワタボコリ』では、佐藤がタンバリン、矢久保がハーモニカ、向井がアコースティックギターをそれぞれ演奏。黒見、松尾、和田はブラックのドレスに身を包み、『音が出ないギター』を力強く歌い上げた。


200を超えるグループの楽曲から、メンバー自ら厳選した1曲を、選んだメンバー自身がセンターに立ち歌う「PLAYBACK FACTORY」のコーナーでは、元メンバー・生田絵梨花のソロ曲『低体温のキス』を伊藤が全力で歌唱。和田はこのコーナーで『欲望のリインカーネーション』を選び、その理由を「もう、この曲を歌っているオリジナルメンバーが私とひなちま(樋口日奈)だけなんですね。今回、ひなちまと私は30枚目シングルが最後ということで、ひなちまの気持ちを思いながら、最後『欲望のリインカーネーション』ができたらいいなと思って」と説明した。その後も『生まれたままで』『口ほどにもないKISS』『錆びたコンパス』『日常』といったお馴染みのアンダー楽曲だけでなく、『ありがちな恋愛』『世界で一番 孤独なLover』『制服のマネキン』など表題曲も含んだ充実のセットリストで盛り上げるこの日のアンダーライブ。本編ラスト、2度目の『Under’s Love』を歌う前には和田が「大げさかもしれないんですけど、今を生きているってすごい素晴らしいことだなと思っていて」と話し始める。


「あまりみんなに話したことはないんですけれども、私は生まれてすぐ大きな病気になりまして、病院の先生には助からないと言われていたんです」と自身の過去を明かした。

 

さらに「お母さんは病室で辛すぎて、ベランダから一緒に飛び降りようかなと思ったこともあるくらいって言われていて。でもお母さんは強いですね。家族のサポートを受けながら、必死に私の病気と闘ってくれました。毎年、母親に「〇〇歳の誕生日おめでとう」「〇〇歳を祝えると思っていなかったからすごくうれしいよ」「健康に生きてくれているだけですごくうれしいよ」と言ってもらえます」と告白。


現在については「病院の先生もびっくりするくらいの回復を遂げて、20歳くらいまでは病院に通っていたんですけれども、「もうなにも心配はない」と言われ、とても健康に今、生きている」としつつ、「けれども、「明日が来る」って当たり前じゃないなと、私は誰よりもたぶん、心の中で強く思っていて。こうしてみんなと出会えて良かったなと、卒業が近づくたびにすごく思います」と日々のありがたみを噛み締めた。

 

またこれまでの乃木坂46での活動に「たくさん辛いこともありましたけど、振り返ってみたらすごく素敵な青春だったなと。13歳から24歳になって、この11年間、たくさん乃木坂に捧げてきました。全然間違ってなかったし、みんなを信じて、自分を信じてやってきてよかったなと。こんな景色が見れていることに自分でもびっくりです」としみじみ。「ファンの皆さんには、私はなかなか恩返しはできなかったですけれども、今、恩返しできているんじゃないかなと。最後、まさか私がセンターに立つと絶対に思っていなかったと思うし、私も思っていなかったので、こんなに素敵なステージを用意してもらって、集まってくれてとても感謝しています」とファンへ伝え、改めて11年間の活動で初のセンター曲『Under’s Love』を他のメンバーと共に歌い、本編を締めくくった。


アンコールでは、自身のサイリウムカラーであるオレンジと黄色のドレスを身にまとった和田が再登場。黒のツアーTシャツを着用したメンバーと並び、『気づいたら片想い』を歌うと、向井、阪口らメンバーたちの目からは次々と涙が溢れた。


和田は「最高に楽しみましょうー!」と煽り、『狼に口笛を』『左胸の勇気』で明るくステージを盛り上げる。『左胸の勇気』のラストサビ直前、先頭に立つ和田が声を掛けられ振り返ると、そこには和田へのサプライズで黄色のチューリップを持ったメンバーの姿が。


吉田が「まあちゃん(和田)には内緒で、スタッフさんにお願いして時間を作ってもらいました。少しだけ私たちに時間をください」と話すと、驚いた和田の目は涙でいっぱいになった。吉田は「みんながまあちゃんのことを大好きなのは、まあちゃんがそれだけみんなのことを見てくれて、どんなに些細なことでも声掛けてくれて。だからみんなまあちゃんが大好きで、まあちゃんのためならなんでも頑張ろうってここにいるみんなはそうやって思ってる」と和田の人柄に感謝し、一同の思いを代弁。


一人ひとりが花を手渡し、これまでの感謝や和田への思いを伝えると、和田は「よく頑張ったね」「知ってるよ、頑張ってたの。いっぱい」とそれぞれに丁寧に言葉を返した。「出会ってくれてありがとう」と告げる吉田とハグを交わした後、和田は「本当にびっくりです、ありがとうございます」と感激。そして、「3期生、4期生、いっぱい悩み事もあって、でも悩んでいるということは前に進もうとしている証拠」と後輩を気にかける。続けて「まだまだこれからも辛いこといっぱいあると思うけど、ここにいる(ファンの)みんなが本当に素晴らしい景色を見せてくれて、本当にたくさん支えてくれているので、みんなのことを信じてこれからも頑張ってくれたらいいなと思います」と伝えた。


向井は「これからもまあちゃんが守ってきたこの場所を、葉月たちが守り続けるから、これからもずっと、乃木坂を好きでいてください。まあちゃん本当にありがとう」と涙ながらに感謝。和田は「私を見つけて応援してくれる人がいるという人生に、こんなに幸せなことはないなと。こんなにもたくさんの人に支えられて、誕生日になったらすごいたくさんの人におめでとうと言ってもらえて、これから先も怖いものはないなと思うくらい、出会えたことがすごく幸せです。私を見つけてくれてありがとうございます」とファンに伝え、最後に『乃木坂の詩』でライブは終了。


終わりに頭を下げたメンバー一同が、次に顔を上げた瞬間、観客たちは一斉に「Thankyouまあや」と書かれた紙を掲げる。ファンからのサプライズに和田は「どこに隠してたの」「幸せすぎてどうしよう」「うれしすぎてなんて言っていいかわかんないです」「本当にありがとうございます」と顔を押さえて大粒の涙を流すと、笑顔で手を振りながら会場を後にした。


その後ファンのWアンコールに応え、再びステージに登場した和田は、11人と『他人のそら似』を歌唱、最後にマイク無しで「ありがとう」と挨拶。11年にわたるアイドル人生を終えた。



乃木坂46「30thSGアンダーライブ」@オリックス劇場DAY3

セットリストは以下の通り。


M0.OVERTURE

M1.Under’s Love

M2.不等号

M3.自由の彼方

M4.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた

M5.ポピパッパパー

M6.Against

M7.〜Do my best〜じゃ意味はない

M8.ワタボコリ

M9.音が出ないギター

M10.寸劇〜無表情(RAP Ver.)

M11.口約束

M12.低体温のキス

M13.欲望のリインカーネーション

M14.私のために 誰かのために

M15.生まれたままで

M16.口ほどにもないKISS

M17.錆びたコンパス

M18.Wilderness world

M19.ありがちな恋愛

M20.世界で一番 孤独なLover

M21.制服のマネキン

M22.日常

M23.Under’s Love

EN1.気づいたら片想い

EN2.狼に口笛を

EN3.左胸の勇気

EN4.乃木坂の詩


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