かつて、都心のサラリーマンや学生の間で人気を博したレストラン「キッチンジロー」。だが、2020年に新型コロナウイルスの影響で13店舗が閉店し、ついに日本で2店舗となってしまった。

東京最後のお店に行ってみると…。

【写真】「キッチンジロー」の濃厚なハンバーグ


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■1964年に創業

キッチンジロー

キッチンジロー」は1964年に東京・神田神保町千代田区)にオープン。ハンバーグやカレーライス、帆立ミルクコロッケなどの洋食をリーズナブルな定食スタイルで食べられることで大人気になった。

最盛期の96年には、直営店27店舗・フランチャイズ店27店舗の計54店まで拡大した。その後店舗数は減少し、2018年にファミリーレストランジョイフル」の子会社となった。

以降、一部店舗で、昼は洋食レストラン「キッチンジロー」、夜はバル「ほろよいジロー」という二毛作業態にリニューアルし、新たなファンも獲得していた。


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■54店舗から2店舗に激減

だが、20年9月に営業していた15店舗のうち13店舗が閉店。原因はコロナの影響でジョイフルの業績が悪化したこと。

多くの店舗が閉店したが、特に秋葉原のサラリーマンや学生の胃袋を満たしてきた「キッチンジロー外神田店」が閉店した際は多くのメディアでも取りあげられた。現在、「キッチンジロー」は東京「九段下店」と大阪「中之島フェスティバルプラザ店」の2店舗で営業を続けている。

今年は原材料価格高騰で飲食業界にとって「逆風」が吹いているが、今お店はどうなっているのだろうか。記者も大学生だった十数年前、同店にお世話になった口。

キッチンジロー

久しぶりに東京「九段下店」に足を運んだところ、感動することになったのだ…。

■「あのメニュー」は健在

10月初旬のお昼に訪れたところ、ランチタイムとあって店内はサラリーマン客を中心に満席だった。メニューを見ると、「よくばりジローランチ」は健在だった。

キッチンジロー

同メニューは、ハンバーグやロースカツ、帆立ミルクコロッケチキン南蛮など16品のおかずから好きなものを単品(850円)か2品もしくは3品選ぶことができる。「2品盛り」はメインのおかず1つにサブのおかずを選べて1,000円、「3品盛り」はメインのおかず1つにサブのおかず2つ選んで1,200円(いずれも税込み価格)。

さらに、ライスとサラダは大盛り無料とうれしいサービス付きだ。10年前に訪れた時は「2品盛り」が890円だったので値上げしていたが、このご時世これだけガッツリ食べられて1,000円台はなかなかない。

記者は「3品盛り」でメインをハンバーグ、サブを魚フライとスタミナ焼きにした。もちろん、ライス・サラダはどちらも大盛りだ。


■絶品すぎる「3品盛り」

キッチンジロー

待つこと数分、料理が運ばれてきた。メインのハンバーグもでかいが、それ以外のおかずも「サブ」と呼ぶのが失礼なほど大きい…。

キッチンジロー

まずはハンバーグからいただく。噛んだ瞬間、肉汁があふれて非常にジューシーだ。

キッチンジロー

濃厚なソースが中まで浸透している。学生時代に食べたのと同じ味だ…。

キッチンジロー

続いて、魚フライを食す。外はサクサク中はふわふわで、白身魚がしっかり詰まっている。タルタルソースはほどよい甘酸っぱさで、後味は変にギトギトすることがない。

キッチンジロー

魚に舌鼓を打ちつつ、スタミナ焼きを頬張る。これが至高の美味さだった。

キッチンジロー

豚バラ肉と甘いたまねぎにんにくの効いたパンチのあるソースで炒めている。この豚肉をご飯にバウンドさせて食べると無限に食べられる…。

肉の下にはパスタが敷かれているが、このパスタもよくある「おかずの下にあるもの」ではなく、もちもちした太麺で濃いめのタレにブラックペッパーが効いて美味しい。

昔に比べて店舗数は激減し、値段も上がったが、味はあの頃と変わらなかった。このご時世、”変わらなさ”を維持する難しさは説明不要であろう。

久しぶりに食べても味が変わらないことに記者は心から感動した。厳しい時代だが、これからも「変わらない味」を提供し続けてほしい。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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