中国全土でヒロインの人生の選択について論争を巻き起こした映画『シスター 夏のわかれ道』が、11月25日より公開されることが決定。予告編と、本作に寄せられた著名人からのコメントが解禁された。

【動画】⾃分の⼈⽣を取るか、突然現れた⾒知らぬ弟を取るかー『シスター 夏のわかれ道』予告

 看護師として働くアン・ランは、医者になるために北京の大学院進学を目指していた。ある日、疎遠だった両親を交通事故で失い、見知らぬ6歳の弟・ズーハンが突然現れる。養子先が見つかるまで仕方なく面倒を見始めるアン・ランだったが、次第に弟を思いやる気持ちが芽生え、固い決意が揺らぎ始めていく…。自分の人生か、姉として生きるか。彼女が迷いながらも踏み出した、未来への一歩とはー。

 本作は、イン・ルオシン監督と脚本家のヨウ・シャオインという新鋭の女性作家がタッグを組み、一人っ子政策、家父長制の影で揺れ動く“いま”の中国社会を活写した心揺さぶる感動のドラマ。アン・ランを演じたのは、新世代スター、チャン・ツィフォン。本作での演技で、国内の映画賞で数々の女優賞を席巻した。弟役のダレン・キムも、映画初出演にして、観客を号泣させるほどの名演を披露している。

 人生に悩みながらも成長するアン・ランの姿、そして姉弟の絆が観る者の心を動かした本作。中国では公開後、ウェイボーをはじめとしたSNSで、<自分の人生を取る派>と<姉として生きる派>の双方の意見が飛び交う大論争が巻き起こった。その結果、2週連続で興収ナンバーワンを獲得、年間では『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』を超え、171億円を突破するという社会現象となった(Box Office Mojo調べ)。

 予告編は、アン・ランが、突然旅立った両親が残した見知らぬ弟を、親戚から「夢なんか捨てて弟を育てなさい」と押し付けられるシーンから始まる。共同生活が始まると、弟は「肉まん食べたい!」などとわがままを言ったり号泣したり、両親の死を理解できない彼に振り回される毎日。「(弟を)養子に出すなら訴える」と言われたアン・ランは「なんで私なの?」と怒りを爆発させる。

 しかし、弟の面倒をみるうちに、二人の心の距離は近づいていく。「僕にはお姉ちゃんしかいない」「ママの匂いがする」と姉を慕う弟に、これまで必死に生き「私の人生は私のもの」と考えていた姉の心は揺れ動き…。そして最後は、涙を流すアン・ランと、二人が仲睦まじく手を繋いで歩く姿で幕を閉じる。

 予告編と併せて、本作に寄せられた著名人からのコメントが到着。映画監督の大九明子は「女が何したっていうんだ。残酷な制度に踊らされた人々。何人たりとも、フロイドのTシャツを着たアン・ランに、敬意を表さねばならぬ」。俳優の古舘寛治は「国全体の一人っ子政策が実際に個人に何をもたらしたのかを普通我々はあまり想像しないだろう。それを体感させてくれるのが映画の力だ。賢くクールな若者が情に心を覆われてゆく様は人間とは何者かを私に思い出させる」と、それぞれ語っている。

 また今回、10月7日正午から1週間限定で、本作のムビチケのタイムセールを実施することも決定。期間中は定価から200円引きの1300円で購入できる。

 映画『シスター 夏のわかれ道』は、11月25日より全国公開。

※コメント全文は以下の通り

<著名人コメント全文>

■寺尾紗穂(文筆家・音楽家

自分で「選ぶこと」と「選ばされること」とは天と地ほど違う。ジェンダーや、社会システムの歪みが個人の人生をどのように損なうか。この映画は、一つの告発であり、同時に新しい明日への賛歌でもある。

■久米宏(フリーアナウンサー)

一人っ子政策、その影響が未だ顕著な中国で、この作品は大ヒットした。この物語が人ごととは思えなかったのだろう。

■小谷実由(モデル)

彼女の揺れ動く心の変化や行動を目の当たりにして、自分だったらどんな選択をするだろうと考える。

陳建一(四川飯店オーナーシェフ)

疎遠だった両親の死、年違いの弟の出現。中国の一人っ子政策ゆえの歪みをテーマにした物語。健気な弟の描写や途々に変化していく姉の姿に感動しました。特にラストシーンは心に沁みました。是非、多くの人に見てもらいたい作品です。

■野中モモ(ライター・編集者

もし働きながら大学院進学を目指すけなげな彼女が男性だったら?突然あらわれたやんちゃな弟が妹だったら? 事態はだいぶ違っていたはずだ。むずかしい選択を迫られる主人公を応援せずにはいられない。

■大九明子(映画監督)

頭きた。ひどいじゃないか。女が何したっていうんだ。残酷な制度に踊らされた人々。何人たりとも、フロイドのTシャツを着たアン・ランに、敬意を表さねばならぬ。せめてもう、放っといて。何も我慢させないで。

■古舘寛治(俳優)

国全体の一人っ子政策が実際に個人に何をもたらしたのかを普通我々はあまり想像しないだろう。それを体感させてくれるのが映画の力だ。そこには私たちとは全く違う社会に翻弄された個人のリアルな人生がある。

質の高い作品にはたくさんの観客が集まるという理想的な真理まで証明したという。素晴らしい。賢くクールな若者が情に心を覆われてゆく様は人間とは何者かを私に思い出させる。

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