ユニークな落書きアートで人気のアーティストが、イギリスにある135万ポンド(約2億2000万円)の自身の豪邸に絵を描く工程を収めた動画が話題を呼んでいる。動画はコマ撮りで撮影されており、製作期間に2年かけた大作だった。Twitterに投稿されたこの動画は再生回数が870万回を超えており、大反響を呼んでいる。『Metro』などが伝えた。

英語の“doodle”は「落書き」のことだが、自らを“ミスタードゥードゥル(Mr Doodle)”と名乗る「落書きアート」で世界的に有名なイギリス出身のアーティスト、サム・コックスさん(Sam Cox、28)は今月2日、自身のTwitterアカウントに1本の動画を投稿した。早送りとコマ撮りを組み合わせて撮影されたその動画には、英ケント州テンターデンにある135万ポンド(約2億2000万円)で購入した自身の豪邸の壁や家具などに、お得意の落書きアートを次々と描いていく様子が収められている。

動画は家具や壁一面が真っ白な部屋で、真っ白なベッドで眠るサムさんが起き上がるシーンから始まる。日本では運動会などでお馴染みの名曲「剣の舞」のリズムに合わせてサムさんは落書きを描き始め、ベッドフレームやサイドテーブルにもどんどん描いていく。そして寝室は床から窓枠、天井まで全てがサムさんのアートでぎっちりと埋め尽くされた。

次にサムさんがシャワールームに移動して洗面台の蛇口をひねると、蛇口からサムさんの作品が溢れ、洗面台から床、サムさんの白い洋服、バスタブに至るまで全てが落書きに染まっていくような表現でコマ撮りされている。その後も各部屋に移動するたびに様々な種類の落書きで埋め尽くされ、階段やキッチン、ヤカン、パンにまで落書きが広がっていく。そして最後に家を正面から見た外観が映し出されると、玄関ドアから柱、外壁、正面に飾られた植木の縁石や彫刻像にまで落書きが広がったところで動画は終わった。

サムさんは12部屋もある豪邸を落書きで埋め尽くすのに2年かかったそうで、サムさんにとってこれまでで一番時間をかけたプロジェクトとなった。黒一色のモノクロの作品ではあるが、仕上げるのに900リットルの白色のエマルション塗料、401缶の黒色のスプレー塗料、286本の絵具、そして4種類のサイズのマーカーペンと2296本のペン先を使用して完成させ、描いた落書きは色あせを防ぐためにラッカー仕上げが施された。

今回のプロジェクトを“The Doodle House(落書きハウス)”と名付けたサムさんは、「落書きハウスの完成は、地球全体に落書きをして芸術の世界に落書きがアートの一部であると認めてもらうという、私の子どもの頃からの夢の始まりに過ぎません。ついに自分の落書きハウスができて興奮しています」と喜びを明かした。

壮大なプロジェクトとなった今回の作品は、落書きから撮影までサムさん1人で成し遂げたという。2020年9月から今年9月にかけて撮影した1857枚の写真を使用し、ストップモーション・アニメーションとして編集した。「家は全て本物ですし、落書きは全て手描きでCGは使っていません」とサムさんはこだわりを明かした。

またサムさんは、落書きを始めた時は何を描くのか考えていなかったそうだが、出来上がってみるとベッドルームは夢、シャワールームは海、廊下はノアの箱舟、階段は天国と地獄などそれぞれ決まったテーマに沿って描かれている。

2年という長い時間をかけて完成させた作品に大満足のサムさんだが、外壁にも落書きを施したため興味を持った近所の子どもたちが頻繁にベルを鳴らしてサムさんの豪邸を訪れるので少し困っているという。今のところ近隣住民から景観を損なうなどの苦情はないが、実はサムさんにこの豪邸を売った夫婦は「絶対に落書きしないで」と事前に伝えていたそうだ。しかしサムさんはその願いを聞き入れることなく、自身の夢を叶えるため建物全体に落書きを施したという。

画像は『Mr Doodle 2022年10月2日付Twitter「I doodled my house」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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