東京~名古屋間の先行開業をめざし、整備事業が進んでいるリニア中央新幹線。その実際の乗り心地はどのようなものか、実際に体験してみました。

一足先にリニア新幹線に乗車

東京~名古屋間の先行開業をめざし、整備事業が進んでいるリニア中央新幹線超電導リニアモーター車両が最高速500km/hで駆け抜け、名古屋までの所要時間はわずか40分に短縮される予定です。

その超電導リニア車両の走行試験が、山梨県都留市JR東海 山梨実験センターで続けられています。2022年10月6日の報道公開にて、500km/hの"浮上走行"を体験することができました。

センターで一通りの説明を受けたあと、いよいよ車両と対面。停車中の車両は5両編成のL0系です。うち3両は2013年から使われている初期型、残り2両は2020年デビューの「改良型」です。改良型の外観上の特徴は、先頭形状のマイナーチェンジと、ヘッドライトを上部(新幹線の運転席にあたる部分)に移動したことです。

乗車にあたっては、ホームで車両と対面、ということはなく、さながら空港の「搭乗口」から乗り込む形になります。これは磁力の影響を外部へ極力及ぼさないための構造で、実際の駅も似たようなものになるといいます。ただ、リニア車両が全く見えないわけではなく、駅によってはコンコースガラス窓から見下ろすことができる予定だといいます。

車輪で進むというより「引き寄せられる」?

車内は従来の新幹線に比べてやや小ぢんまりした印象。左右に2席ずつあり、1両あたりの列数も少なめです。しかし、貫通ドア周りの意匠や車内の匂いは新幹線と変わらず、どこか安心します。

「ただいまから発車します」実験線の全長は42.8km。今回の試乗会、まずは東端へ行き、そこからトップスピードで2往復し、センターへ帰還します。総移動距離は約120kmにも及びました。ちなみに、リニアの車両は指令所からの遠隔操作で無人運行するため、乗務員の移動がないことから、逆向きの運行にもすぐ切り替えられるのだとか。

発進はほぼ無音。最初は車輪走行を行い、そのまま150km/hまで加速すると、車輪を収納して「離陸」します。音は「シャーーーーーッ」から「ゴーーーーーッ」に変わります。そこからはまさに「一気に」加速していきます。

初めて新幹線に乗ったとき、だんだん加速していく車両に「電車のスピードがこんなに速くなっていいのだろうか」と感じた未知の感覚を、再び体感するようでした。

トップスピード500km/hで走行したのは2分間。速さを感じる手がかりは、車両が空気を切り裂く音、ですが、浮いているので車輪が線路上を滑走する音もなく、純粋な空気の音といえます。では飛行機に乗っている気分かというと、それとも違い、「空気の音がトンネルや(遮音壁に囲まれた)高架上を走っている」という、車両近縁の乱流特有のものであるため、「電車に乗っている」という感覚は確かにあります。

さらにこの加速感、明らか新幹線とは異なります。新幹線の「車両が駆動力を持って前に突き進んでいる」感覚ではなく、「なにかに吸引されて前へ加速している」というもの。まさに、“磁石に引き寄せられる”感覚なのかもしれません。

あっという間に終わった試乗会

車両はやがてあっという間に減速。急ブレーキのような前のめりの感覚はありません。150km/hまで減速して「着陸」した瞬間、摩擦を得た車両はわずかな衝撃とともに「ザザザッ、シャーーー」と線路上を走り始めます。

今回の試乗会、テンポが速く、停止した直後に「では反対側へ戻ります」と放送があり、見るとすでに逆向きに走り始めていました。そのまま500km/hまでバックで加速します。しかし、バックしている感じではなく、まだ、さらに前へ加速しているような体感です。方向転換は計3回ありましたが、なぜこの体感になるか理解できないままでした。

リニア中央新幹線は全長の9割が工事契約済み。残る1割も高架部や橋梁部など、今から始めても十分間に合う部分ばかりという状況です。

試験走行は毎日平均2000km、これは東海道新幹線の1日の走行距離をさらに25%上回る距離です。JR東海によると、このシステムは現段階でも「十分、実用に供することができるレベル」とのこと。試験線は開業後、そのまま本線に転用される予定です。きたるその日まで、リニア新幹線は準備を整えつつあります。

高架駅となった雑餉隈駅(乗りものニュース編集部撮影)。