プラモデルをRC(ラジコン)モデルに改造し、楽しむ方は少なくありませんが、大きさによって難易度は変わります。手のひらサイズのデフォルメ艦船模型シリーズ「ちび丸艦隊」の戦艦大和を改造し、RC化して楽しんでいるのはMitiSirube(ミチシルベ)さん。メイキング動画をYouTubeで公開しています。

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 MitiSirube(ミチシルベ)さんは、さまざまなプラモデルをRC(ラジコン)化する技術をTwitterやYouTubeで提供しています。小さい頃から見ている特撮やアニメに登場する、メカが活躍するシーンを再現したいという思いから、独学で小さい模型をRC化する技術を磨いてきたのだとか。

 これまでにRC化してきた作品は、車関係20台、艦船系25隻、潜水艇・潜水艦6隻に加え、可動・ポンプ系が20基と多岐にわたります。ちび丸艦隊の大和は、約10cmという手のひらサイズでもRC化できるという例を示したもの。

 小さな艦船模型を水に浮かべ、RC化して航行できるようにする際、課題となったのは浮力の確保でした。RC用の機器を小型軽量化するだけでなく、もともとのプラモデルもより軽量化するため、見えない内部のプラスチックを削っています。

 舵を動かすサーボに採用したのは、超軽量RC飛行機に使われる1.7gのウルトラマイクロサーボ。回路には一工夫して、9gのサーボを解体し、内部のFET(電界効果トランジスタ)基板をアンプ代わりに流用しています。

 スクリューを回す航行用モーターは、直径4mmのコアレスモーターを採用。これをスタンチューブ(プロペラシャフトを保護する船尾管)なしの直付けというシンプルな形で固定します。

 動力源となるバッテリーは、小型ドローンに使われている1セル分のリチウムイオンポリマー電池(120mAh)。長時間航行させるわけではなく、ちょっと水上を走らせる程度なら必要にして十分なバッテリー容量です。

 これらのパーツ選定に関しては、試行錯誤して組み合わせを考えていったそうです。「買ってみて試して確認するしかなかったですね。何個か失敗して、ゴミになりました」とミチシルベさんは語ってくれました。

 また、RC機器を組み込んだ際、安定して喫水線と同じ程度の浮力を維持できるよう、重量調整や重心位置の調整も細かく洗面器に浮かべながら試したのだとか。完成までは7日~10日ほどかかったといいます。

 完成したRCちび丸大和を実際に水上で走らせてみると、思った以上に軽快な航行っぷり。丸っこくデフォルメされているので波切り抵抗は大きそうですが、力強くグイグイと進んでいき舵の効きも良好です。

 プラモデルをRC化する魅力について、ミチシルベさんは次のように語ってくれました。

 「プラモデルの魅力は、スケール感や緻密感。綺麗に作って飾るだけなんて、もったいない。だから自分で作った模型をRC改造して動かしてみたいと思いませんか。まさに特撮シーンを再現、感動です」

 また、ご自身の名前(ミチシルベ)には、お小遣いでも作れるRCの作り方をTwitterやYouTubeで公開することで、次の世代である小中高校生たちの道標になりたい、という思いが込められているのだとか。そのせいか、お金をかけるよりは少し手間をかけることで実現できる方法が多く見受けられます。

 現在「水陸両用車や特三式内火艇内火艇や南極船、戦艦や空母や伊400型潜水艦、あと、SF宇宙船メカをぜひ作りたいです」と、構想も豊富なミチシルベさん。YouTubeチャンネル「ミチシルベR/Cワールド」には、多数のRC化メイキング動画が公開されているので、参考にして作ってみると楽しそうです。

<記事化協力>
MitiSirube(ミチシルベ)さん(@Sirube8)

(咲村珠樹)

「ちび丸」プラモの大和をRCに改造 手のひらサイズで軽快に航行する姿に驚き