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 地球の奥深くに「海」があることを示す新たな証拠が発見されたそうだ。

 ボツワナの地下660キロで形成された希少なダイヤモンドを分析したところ、上部マントルと下部マントルの境界である「マントル遷移層(せんいそう)」には、地表の海の6倍もの水と二酸化炭素が閉じ込められている可能性があることが判明した。

 『Nature Geoscience』(2022年9月26日付)で発表されたこの発見は、地球の水の循環や、45億年におよぶ海の進化プロセスの理解に、大きな影響を与えるかもしれない。

【画像】 地球内部に大量の水、地底海の存在

 ドイツ、ゲーテ大学のフランク・ブレンカー氏は「遷移層が乾いたスポンジではなく、大量の水を蓄えていることを証明しました」とプレスリリースで語る。それはジュール・ヴェルヌが想像した地底海に一歩近づくような発見だという。

 だが現実の地底海は、堆積物と水を含んだ岩のドロッとした液体(スラリー)かもしれない。そして想像を絶する圧力が加えられている。こうした堆積物は、大量の水と二酸化炭素を蓄えておくことができる。

 だが、それらがどの程度安定した含水公物や炭酸塩として存在しているのかわからず、そのためそこに蓄えられている水の量も不明だった。

 しかし今回の研究では、マントル遷移層だけでも「地表の海の6倍」もの水が含まれている可能性が明らかにされている。

 マントル遷移層とは、上部マントルと下部マントルの間、深さ400~700kmにあり、マントルを構成する岩石の結晶構造が浅い(より低温・低圧な)条件下で安定なものから、深い(より高温・高圧な)条件下で安定なものに変わる相転移を起こす領域のことだ。

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リングウッダイトを含む2つめのダイヤモンド

 今回の研究で解析されたダイヤモンドは、ボツワナの地下660キロの「マントル遷移層」で形成されたと考えられている。

 この層は「リングウッダイト」と呼ばれる、水分を含んだカンラン石鉱物を内包しており、マントル内の極度の圧力下でしか形成されない元素が豊富な領域だ。

 2014年に「リングウッダイト」を含むダイヤモンドが発見されて以来、遷移層に大量の水が存在するという仮説が提唱されてきたが、今回の発見はそれを裏付けるものだ。

 「サンプルが1つだけなら、局地的に水があるだけかもしれません。今回2つ目が発見されたので、単発的に水が溜まっていたわけではないと言えるでしょう」と、アルバータ大学のマントル地球化学者シュゼット・ティマーマン氏は語る。

References:An ocean inside Earth? Water hundreds of kilometers down -- ScienceDaily / written by hiroching / edited by / parumo

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地球の奥深くに「海」マントル層に大量の水がある可能性