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 アメリカで長い間未解決となっていた事件があった。1974年から1981年の間にイリノイ州シカゴで複数の性的暴行と殺人事件が起きていたのだが、犯人の決定的な証拠を得ることができなかった。

 だが2020年、現代のDNA鑑定技術によって犯人の正体が明らかとなった。

 その男「ブルース・リンダール」が死んで39年後、リンダールは少なくとも 12 件の殺人事件と 9 件の性的暴行事件に関わっていることが判明したのだ。

 他の多くの性的暴行、殺人事件にも関わっている可能性が高く、警察は現在も捜査を進めているが、殺害した人数は、アメリカ史上最悪のシリアルキラーテッド・バンティ」に匹敵するほどだという。

【画像】 1人の刑事の執念が、連続殺人犯を暴きだすまで

 ブルース・リンダールが凶悪なシリアルキラーだった可能性が浮上したのは、1976年1月のこと。

 イリノイ州シカゴ近郊出身で当時16歳女子高生だったパム・マウラーさんが殺害された事件を、クリス・ラウドン刑事が追っていた時だった。

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 25年以上刑事を務め、最近ライル郡警察を引退したラウドン氏だが、40年以上前に起こったリンダールの連続殺人事件を執念で追い続けている。

 リンダールが1974 年から1981 年の間に住んでいた町に限定し、ラウドン氏は調査を進めた。すると、当時電気技師として働いていたリンダールが、町から町へ引っ越すたびに事件が発生していたことがわかった。

 また、イリノイ州デュページ郡で80人以上の女性が殺害された未解決事件にも、リンダールが関与している可能性を掴んだ。

 表向きは雄弁で、「スカイダイビングが趣味」と口にしていた青い目を持つリンダールは、友人や恋人にも不自由しておらず、皆が「ハンサムで魅力的」と評していた。その為、当初彼はノーマークの状態だったようだ。

 しかし実際は、連続殺人を繰り返しては、犠牲者の遺体や泣き叫ぶ裸の被害者を写真撮影し、それらを靴箱に収集していたのだ。

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新たなDNA技術によりリンダールの犯行が判明

 ラウドン氏が調査していたパム・マウラーさんは、リンダールの手にかかり、殺された最初の犠牲者とみられている。

 マウラーさんの衣服から採取したDNAサンプルをDNA分析会社「Parabon Labs」に送り、データベース上の約200万件のDNA記録とサンプルを比較した。

 その結果、リンダールに繋がる1つの特定の家系を絞り込むことができ、リンダールが犯人である可能性が濃厚になった。

 さらに驚くべきことに、彼らは DNA サンプルを使用して、コンピューターで生成された架空のモンタージュ画像を作成することもできた。その画像は、リンダールに非常によく似ていたという。

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 2020 年1月、デュページ郡捜査官は、リンダールがマウラーさんを殺害した可能性が非常に高いことを発表した。

 今年初め、ラウドン氏はメディアで次のように語った。

Parabon Labs でDNA分析をしなければ、マウラーさんの事件は解決できなかったでしょう。

リンダールは、当時ノーマークでした。被害者の友人でも、被害者が口論した人物でもありませんでしたからね。一切の接点がなかったのです。

ただこの発表後、75人以上の女性が前に出て、リンダールに襲われたことを明らかにしました。

現在捜査中で、これらの事件においては、リンダールを殺人容疑者としてまだ特定することはできません。

ですがリンダールの手口は、ショッピングセンターで女性の後をつけ、だまして車に乗せてから、性的暴行をくわえて首を絞めるという残忍なものでした。

1976 murder of Pamela Maurer solved

男子高校生を襲った後、出血多量死したリンダール

 1981年、当時28歳だったリンダールは、男子高校生だったチャールズ・フーバーさん(当時18歳)を刃物で28回も刺して死亡させた。

 その際に、誤って自分の脚も刺し、動脈からの出血多量で死亡した。だが、それがなければリンダールは更に凶悪な犯罪を続けていただろうとラウドン氏は語る。

もしリンダールが生きていれば今70歳くらいですが、おそらくまだ殺人を犯しているでしょう。リンダールの犠牲者全員を我々が見つけられるとは思えません。

1979 年に、リンダールは 3 人の少女を殺害し、1980 年には 2 か月以内に 2 人を殺害し、数か月後に死亡しています。まるで楽しむかのように連続して殺人を行っていたのです。

被害に遭いながらも生き延び女性たちは、当時相談した人たちは何もしてくれなかったと号泣しながら告白しました。リンダールは、殺人を行う方法や証拠を隠滅する方法に非常に長けていました。(ラウドン氏)

Bruce Lindahl victim describes surviving attack by suspected serial killer

現在も捜査は困難な状況で進行中

 現在、リンダールが関与したとされている未解決事件は捜査が進行中だが、捜査に非協力的な警察やプライバシーの保護を主張する人権活動家が捜査の妨げになっているとラウドン氏は主張する。

法的機関と提携していたParabon Labsは、人権者の抗議によって、今は家系図データベースから採取した DNA サンプルを研究に使用することが認められなくなりました。

そのため、捜査員たちは足場の不確かな戦場で戦っているようなものです。入手できるあらゆるツールが必要です。結局、自白をテープに録音しない限り、犯罪を解決することはできないという点に到達するでしょう。

 連続殺人犯はかなり前に死んでいるため、犯人の自白はまず不可能だ。1981年までの9年間、リンダールが少なくとも9人を殺害していた可能性があるとラウドン氏は確信しているが、まだ多くの被害者が存在しているという。

 多くの未解決殺人事件は、果たしてリンダールによる犯行だと解明することができるのか?最後にラウドン氏はこう締めくくった。

私はまだ、悪夢を見ている途中です。おそらく、これからも生涯悪夢を見続けるでしょう。

References:Bruce Lindahl (criminal) - Wikipedia / US news: One of America's worst serial killers was only uncovered 40 years after his death / I uncovered America's secret serial killer - he was as psychotic as Ted Bundy and kept sick snaps of victims in shoebox | The Sun/ written by Scarlet / edited by / parumo

 
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米国史最悪レベルのシリアルキラーの正体が、死後39年経ってようやく明らかに