2019年のカンヌ国際映画祭で、脚本賞と、LGBTQ+をテーマにした作品に贈られるクィア・パルム賞の2冠に輝いたセリーヌ・シアマ監督の「燃ゆる女の肖像」。そのほか世界各国で44もの映画賞受賞、124のノミネートを果たした同作が映像配信サービス・dTVにて配信スタートした。

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■映画 「燃ゆる女の肖像」ストーリー

物語の舞台は、18世紀のフランス。女流画家のマリアンヌは、ブルターニュの孤島に住む貴婦人から、娘のエロイーズのお見合いのための肖像画の依頼を受ける。しかし、結婚を拒むエロイーズが前任の画家を追い出したため、マリアンヌは画家という正体を秘めて近づき、隠れて肖像画を描くことに。

なかなか心を開かないエロイーズとともに過ごしながら、マリアンヌは密やかに肖像画を完成させるが、罪悪感に駆られて真実を告白。ショックを受けたエロイーズは、完成した肖像画の出来を否定し、自らモデルになることを申し出る。

それをきっかけに心を開き、キャンバスを挟んでまっすぐ見つめ合うふたり。画家とモデルという一線を越えて愛し合うようになりますが、肖像画の完成という別れの時が近づいて…。

■映画 「燃ゆる女の肖像」の魅力

デビュー作「水の中つぼみ」で、早くもセザール賞新人監督作品賞にノミネートしたセリーヌ・シアマ監督。その長編映画4作目となる同作は、すぐに世界中から高い評価を集めた。

セリーヌ・シアマ監督の作品の特徴とも言えるのが、こだわり抜かれた美しい映像だ。マリアンヌが屋敷に着くシーンから、ふたりで過ごす海辺の風景、切ないラストシーンまで、重厚な色味や光の使い方など、一瞬一瞬がルネサンス期の絵画のよう。その中でゆっくりと惹かれ合うふたりが丁寧に映し出され、美しいシーンの連続に目を奪われるはずだ。

マリアンヌを演じるノエミ・メルラン、エロイーズを演じるアデルエネルは、ともにフランス映画界注目の女優。女性にとっては制約だらけの時代、限られた時間、閉ざされた世界で情熱的に求め合うふたりを熱演。セリフもBGMも最低限に抑えられ、無音の中に感情を滲ませる繊細な演技に注目だ。

さらに、現在セリーヌ・シアマ監督の待望の新作「秘密の森の、その向こう」が公開中。

「燃ゆる女の肖像」/(C) 2019 Lilies Films / Hold-Up Films & Productions / Arte France Cinema