停止状態でハンドルを切る「すえ切り」は、クルマに負担をかけるため、よくないといわれることも。そうはいっても、駐車のシーンなどでは必要になってくる動作です。どれほど負担がかかるのでしょうか。

ズリ、ズリ、ズリ…嫌な音がするハンドルのすえ切り

ハンドルの「すえ切り」はしないで――このように言われることがあります。停止状態でハンドルを切る動作のことで、確かに足回りからはズリ、ズリと嫌な音がする場合も。

とはいえ、狭い場所への駐車シーンなどでは、しっかり、確実な切り返しのため多用される動作であることは間違いないでしょう。

昔、ハンドル操作を補助するパワーステアリング機構(パワステ)がなかった頃には、ハンドルがそもそも重く、すえ切りを行うこと困難でした。しかしパワステのおかげで停車状態でもハンドルを切ることは容易になっています。

駐車時などにクルマが自動でハンドル操作を行ってくれるパーキングアシストなどの機能を使った際、すえ切りで入出庫の方向を整える様子が見られることも。そう考えると、すえ切りをすることは、メーカー側もある程度、前提にしていると考えた方が自然でしょう。

ただ、影響がないわけではないようです。

タイヤメーカーからは、タイヤの摩耗についての影響が効かれました。特に、タイヤのショルダー(肩)部分に負荷がかかりやすくなり、部分的な摩耗が発生することが考えられるといいます。こうした偏摩耗はタイヤの寿命を縮め、本来の性能を損なう可能性があるとのこと。

パワーステアリングメーカーの関係者からは、すえ切りが電動パワーステアリングのモーターに負担をかけると指摘。走行中のハンドル操作と違い、クルマを前進させる動力がなくパワステのモーターの力だけで前輪を動かすことになるためだそう。

もちろん、ドライバーの普通の動作として、すえ切りはある程度許容できる設定になっているものの、過度に繰り返せば不具合が生じる可能性はあるというわけです。

タイヤの偏摩耗も、4つのタイヤの位置を入れ替えるローテーションをするなどして、ある程度の是正は可能です。しかし、やはり“やりすぎ”は影響が考えられるようです。

ハンドルのすえ切りはクルマに負荷をかけるといわれる。写真はイメージ(画像:写真AC)。