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アメリカ東海岸の名門大学で、学生たちが署名活動を実施し、「授業が難しすぎる」という理由で1人の教授が解雇されてしまった。教えていたのは化学のなかでも難解とされている科目で、学生の側に心構えが足りなかった可能性もありそうだ。

『Fox News』『NEW YORK POST』などが報じ、教育関係者の間でも波紋が広がっているという。


■指導力は高評価の教授

騒動の舞台となったのは、アメリカ東海岸の名門大学のひとつであるニューヨーク大学(NYU)の大学院。そこで有機化学を指導していたメイトランドジョーンズ博士が、思わぬ理由から突然解雇を言い渡されたという。

ジョーンズ教授は84歳。大変なベテランで、ニュー・ジャージー州の名門プリンストン大学で40年間も教え、指導力の高さから受賞歴もあるという。


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■テストの点数が低すぎる

ところが少し前のこと、教え子たちが突然「ジョーンズ教授の授業が難しすぎて理解できず、多くの学生が中途で受講を断念している」「教授がホワイトボードに書いたものをノートに写すと怒られる」などと抗議の署名活動を始めた。

350人の学生のうち82人が署名したものが学部長宛てに提出され、調査してみると、学生たちのテストの得点は確かにひどいものだった。その結果、ジョーンズ教授の解雇が決定したという。

■学生たちの学力低下も問題か

ジョーンズ教授は『ニューヨークタイムズ』の取材に応じ、「自分の指導方法や内容は数十年間全く変わっていません。むしろ、10年ほど前から学生たちの集中力や学習意欲が低下しています」「2020年に新型コロナのためオンライン授業に替わり、問題がさらに大きくなった気がします」と主張した。

さらに「学生の署名活動や抗議で教員が解雇される、そんな前例が今回できてしまいました。私のほかにも解雇になる指導者が出るかもしれません」と不安も語っている。


■署名した学生たちは…

一方、学校側は『Fox News』の取材に「テストで厳しい採点をする教員は大勢いますが、このような署名活動が起きた例はありません」「学生たちから2020年には、ジョーンズ教授の指導の質と内容について疑問の声が出ていたのです」と話し、譲歩するつもりはないという。

なお、署名した学生のほとんどが医師を目指しており、成績表を非常に気にしていた。そのため、教員側からは「テストの点が取れなくて腹を立てた学生の逆恨みではないか」と、ジョーンズ教授を擁護する声も上がっている。

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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ

名門大学でベテランの教授が解雇 「授業が難しすぎる」と学生が署名活動