SNSでメンタルや生きづらさを題材にしたイラストと言葉を発信しているなおにゃんさん(@naonyan_naonyan)。うつ病と適応障害で会社を休職した経験があり、当時は「うつになって恥ずかしい。逃げるようで情けない」と感じていたものの、今では「休職して本当に良かった」と心から思っているそう。

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コミックエッセイ「うつ逃げ~うつになったので全力で逃げてみた話~」は、そんななおにゃんさんの実体験をベースに描いた作品。病気から、会社から、果ては日本からも全力で逃げた1年間を、お届けする。

今回は、休職期間中に自分を肯定するために書き始めた「ホメ療法(ポジティブ三行日記)」について。みんな働いているのに自分だけ休んでいるという罪悪感に押しつぶされそうだったが、これを始めてからは意識せずともポジティブな考え方ができるようになったそう。

■今日と明日が前向きになる「ホメ療法」のススメ

朝散歩をはじめたこともあり、うつ病の経過は順調だったなおにゃんさん。しかし通院時、目にうつる働く人たちの姿に自分だけ休んでいる後ろめたさや罪悪感を覚え、「消えたい」と思うこともあったと語る。このエピソードから筆者は、なおにゃんさんの真面目な性格を感じた。

「確かに、昔から真面目と言われることは多いかもです。プライベートではどちらかといえばダラしなくて不真面目なのですが、根っこの性格が真面目なのでしょうか。『〇〇でなくちゃいけない』、『もっと〇〇しなくちゃ』と、自分を追い詰めてしまうところがあるので、そういう部分ではもう少しいい加減になりたいと思う時があります(笑)」

そして、休職期間中を前向きに過ごすためにはじめた「ホメ療法」。これは、今日できたことや良かったことを3つ見つけて書くというもので、そこまで立派なことでなくてもとにかく3つ探して書くというのがポイントだ。

「私の場合、本当に些細なことを書いてました。例えば、『今日飲んだコーヒーが美味しかった』、『洗濯ができた』、『バラエティ番組を見て笑った』など。できたことだけじゃなく、自分が楽しめたことや良いなと思えたことを書くと、つまらないと思っていた自分の日常も案外いいものだなと思えるようになりました。うつ病の方だけでなく、自己肯定感が低めの方にもすごくいいと思います」

ちなみになおにゃんさんは、今でもホメ療法を続けているそう。

うつ病が一番酷かった時に比べると回数は減りましたが、なるべく習慣にしようと思っています。ノートに書くのが億劫な時は、スマホのスケジュールに良かったことを記入しています。寝る前に記入すると楽しかったことを思い出して眠りにつき、前向きな気持ちで次の日を迎えられるので、おすすめです」

焦った結果、うつ病がほとんど回復していないにも関わらず復職を決めてしまった一度目の休職。だが二度目の休職は、のんびりと着実に心身が健やかになっている。これからは彼女の人生を変えた体験も描かれるので、今後の展開も注目したい。

取材・文=石川知京

毎日後ろめたい気持ちで過ごしていた休職中。「ホメ療法」をはじめたことで、自分を肯定できたそう