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 白熱したレギュラーシーズンを終え、残すところクライマックスシリーズ日本シリーズのみとなったプロ野球10月20日にはドラフト会議が控え、さらにオフにはFA選手の移籍交渉が行われる。今年は、阪神西勇輝西武森友哉をはじめとする大物選手たちの動向に注目が集まっている。

 そんな今オフのFA戦線について、中日OBでかつてエースとして活躍した野球評論家の川上憲伸氏が自身のYouTubeチャンネル「川上憲伸カットボールチャンネル」で語った。

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 今オフ、FAの権利を持つ選手たちには、西武の森や外崎修汰、楽天の浅村栄斗日ハム近藤健介など各球団の主力も多い。阪神では今季23試合に登板し、防御率2・18で9勝を挙げ、2度目のFA権を取得した西勇の去就が注目を浴びている。

 西勇は12日に行われたCSファイナルステージ初戦のヤクルト戦に先発したものの、被安打5、3四球で5失点を許し4回で降板。チームに勝利を届けられなかった。とはいえ、実績は十分でFA戦線の中でも目玉となるであろう右腕に対して川上氏は、「タイガース西純矢投手や森木投手など、若い投手も育ってきて、ローテーションも揃ってきてる。(西勇は)巨人キラーとも言われてきましたし、巨人がいい条件を出す可能性が高いということで(獲得の可能性があるのは)巨人でしょうね」と、阪神の状態にも目を向けながら、巨人が獲得する可能性があることを示唆した。

 西勇は今季、巨人戦に3試合先発し、完封勝利を含む2勝を挙げるなど巨人キラーぶりを発揮。今季、多くの投手が一軍初勝利を挙げたものの、2桁勝利を計算できる投手が少ない巨人にとっては、非常に魅力的な選手だろう。

 しかし、近年の巨人のFA投手を振り返ると、その成功例は意外にも少ない。移籍前の球団では、エース級の活躍をしていたにもかかわらず、球界トップクラスの人気や伝統を誇る球団への注目度や期待度が大きいが故に、その重圧からか実力を発揮しきれなかった選手も多い。

 17年オフに西武から移籍した野上亮磨は、移籍初年度は4勝に終わり、リリーフに転向するも、アキレス腱断裂や右肩の怪我に苦しみ21年に現役を退いた。また、21年オフにDeNAから移籍した井納翔一は、わずか12試合の登板に終わり、2年間で1勝にとどまった。すでに来季は戦力構想から外れていることも明かされている。

 数少ない成功例といえば、11年オフにソフトバンクから移籍した杉内俊哉までさかのぼらなければならない。杉内は移籍初年度から最高勝率最多奪三振のタイトルを獲得し、3年連続2桁勝利をマークするなどチームに貢献した。

 他にも多くの選手たちが巨人に移籍してきたものの、実力を発揮できなかった過去がある。そんな巨人が今回、西勇を獲得したとしたら……。様々な面で今オフのFA戦線は注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

それでも巨人が西勇輝を獲りに行く理由、『負のデータ』も