九州・柳川を舞台に、池松壮亮ら日中スター俳優が共演したチャン・リュル監督最新作『柳川』が、12月30日より公開されることが決定。本予告と、リュル監督からのコメントが到着した。

【動画】日中スター俳優共演『柳川』予告編

 本作は、九州・柳川を舞台に、喪失感にとらわれた人々の心の揺れ動きを寄り添うようにフィルムに収めたドラマ。メガホンをとったチャン・リュル監督は、韓国と中国で活動する中国出身の監督で、『キムチを売る女』(2007)、『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』(2014)、『春の夢』(2017)が日本で劇場公開されており、ヴェネチア、カンヌ、ベルリンなど世界の三大映画祭でも高く評価されてきた。最新作『柳川』は、ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品された『福岡』(2019)に続く、日本を舞台にした第2弾作品となる。

 主演を務めるのは、中国で絶大な人気を残る女優ニー・ニー。共演は、染谷将太が主演したチェン・カイコー監督作『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』に出演したチャンルーイーとシン・バイチン。さらに日本から、池松壮亮が主要キャストとして参加している。

 命が終わることを知った時に、訪れたい場所がある。会いたい人がいるー。中年になり自分が不治の病であることを知ったドン(チャンルーイー)は、長年疎遠になっていた兄・チュン(シン・バイチン)を柳川への旅に誘う。柳川は北京語で「リウチュアン」と読み、2人が青春時代に愛した女性「柳川(リウ・チュアン)」と同じ名前だった。20年ほど前、チュンの恋人だったチュアン(ニー・ニー)は、ある日突然姿を消してしまったが、今は柳川で暮らしているという。誰にも理由を告げずに消えた彼女の存在は、兄弟の中で解けない謎になっていた。2人は、柳川でついにチュアンと再会する…。
 
 本予告は、ヒロインのチュアンが、夜の帳が下りた静謐な柳川の街を見つめる場面から始まる。そして、美しくも儚げな音楽が流れる中、物語の中心人物である兄弟のドンとチュン、チュアン、兄弟が宿泊する宿の家主の男(池松)の4人が、心の奥底にしまいこんだ喪失感を埋め合わせるかのように語り合う姿が、さまざまな表情をみせる「柳川」の街と共に映し出されていく。リュル監督の『福岡』に出演した女優・山本由貴がナレーションを務め、「運河を小舟で漂うような、穏やかな時の流れ。アジアの街を、独自の感性で描いてきたチャン・リュユ監督最新作『柳川』」と、透明感のある声で映像を彩っている。

 本作の日本公開について、チャン・リュユ監督は「12月に『柳川』が日本公開を迎えます。監督として、喜ばしくもあり、緊張もしています。柳川で撮影した映画をついに日本の皆さんに届けられると思うと嬉しい反面、この作品で描いた愛が皆さんに受け入れられるか緊張してもいるのです。皆さんの感想を待つしかないですね。気に入ってもらえることを願っています」とコメント。

 なお、本作の公開を記念し、<福岡三部作>としてチャン・リュル監督の近作『群山』(2018)、『福岡』(2019)も一部劇場にて同時期に公開される予定。さらに、10月14日より通販サイト「メイジャー」及び新宿武蔵野館をはじめとする劇場窓口にて、先着特典ポストカードセット付き全国特別共通鑑賞券が販売される。

 映画『柳川』は、12月16日よりKBCシネマ(福岡)にて先行公開。12月30日より新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。

チャン・リュル監督コメント全文>

12月に『柳川』が日本公開を迎えます。監督として、喜ばしくもあり、緊張もしています。柳川で撮影した映画をついに日本の皆さんに届けられると思うと嬉しい反面、この作品で描いた愛が皆さんに受け入れられるか緊張してもいるのです。皆さんの感想を待つしかないですね。気に入ってもらえることを願っています。

柳川は美しい水郷であり、映画に登場する美しい中国人女性も柳川といいます。柳川という娘が柳川という街にやって来て、物語と愛が水路のように流れていくのです。

映画『柳川』場面写真