海外音楽情報専門podcast『speakeasy podcast』とSPICEの連動企画。毎週金曜日に海外でニューリリースになった楽曲やアルバムの中から、Spotifyの『New Music Friday』のプレイリストやイギリスの『Official UK Charts』などでピックアップされているリストを独自に集計し、MCを務める竹内琢也が特にオススメしたい5曲を紹介。SPICEではニュースが中心のpodcastでは紹介しきれない、楽曲をより深掘りしたコラムをお届けしていく。今週の5組はThe 1975、トーヴ・ロー、ブリンク182、ストームジー、ガール・イン・レッド。リリースまでの背景やアーティストの情報まで網羅できるので、洋楽好きはもちろん、洋楽が気になっている人も要チェック。

今週の気になるニューミュージック5選

●「Oh Caroline」/The 1975

Oh Caroline / The 1975

The 1975のニューアルバム『Being Funny In A Foreign Language』がリリースとなりました。2020年リリースのアルバム『​​Notes on a Conditional Form』以来となる2年ぶり5枚目のスタジオアルバムです。7月にリリースされた「Part Of The Band」を皮切りに、「Happiness」、サマソニで全世界初披露となった「I’m In Love With You」、9月にリリースされた「All I Need To Hear」と先行リリースされた4曲も収録。アルバムを通して11曲43分32秒という長さは、最初から最後まで通して聴いてもらうことを意図したそうで、過去最短となります。

同作はテイラー・スウィフトとの作業などでも知られる人気プロデューサー、ジャックアントノフが共同プロデューサーとして参加しており、他にもジャパニーズ・ブレックファストのミシェル・ザウナーやレーベルメイトのベンジャミンフランシスレフトウィッチらも参加しています。LCDサウンドシステムの「All My Friends」に影響を受けていると考えられるオープニングの「The 1975」、バンドの王道サウンドとも言える「Happiness」や「I’m In Love With You」、80’sフレーバー漂う「Looking For Somebody (To Love)」、「Oh Caroline」、フォークロックの「Part Of The Band」、クリスマスソング「Wintering」、カーリー・ホルトを迎えた男女混声ボーカルの「About You」など様々な曲が収録されています。

マシュー・ヒーリーは「今回は全体的に、The 1975を原点に回帰させたいということだけは分かっていた」と語っています。「これまでで最もコンセプチュアルなアプローチをとった」、「このアルバムから聴き取りたかったのは「写真」なんだ。それは一度きりの出来事を捉えた音であって、二度と再現できない。だから僕らはファースト・テイクを使った」ともコメント。11月からアメリカで同作のリリースツアーをスタートさせ、来年2023年には2016年以来となる単独来日公演も決定しています。

●「Grapefruit」/トーヴ・ロー

Tove Lo - Grapefruit (Official Music Video)

トーヴ・ローの3年ぶり5枚目となるスタジオ・アルバム『Dirt Femme』がリリースになりました。今年5月に初めて自身のレーベルPretty Swede Recordsを通じてシングル「No One Dies From Love」をリリース。同作も同レーベルから流通する初めてのアルバムとなります。アルバムにはホット・バターが1972年にリリースした「Popcorn」をサンプリングした「2 Die 4」や、ファースト・エイド・キットが参加した「Cute & Cruel」、SGルイスが参加した「Call on Me」など全12曲が収録されています。フォーカストラックの「Grapefruit」については、「10年以上この曲を書こうとしてきた」と語っています。

●「EDGING」/ブリンク182

blink-182 - EDGING (Official Audio)

1992年に結成したブリンク182のニューシングル「EDGING」がリリースになりました。10月11日(火)に、2015年に脱退したバンド創設メンバーのひとりであるトム・デロング(Gt.Vo)がバンドに復帰することを発表し、バンド結成30周年の節目に再結成しました。同作は10年以上ぶりにトム・デロング、マーク・ホッパス、トラヴィス・バーカーがスタジオに揃い制作されました。そして過去最大となるワールドツアーの開催も発表。ビリーアイリッシュドレイクなどと共同ヘッドライナーを務めるブラジルの『ロラパルーザ』や、グリーン・デイヘッドライナーを務める『ホエン・ウィ・ワー・ヤングフェスティバル』など、複数のフェスティバルにも参加。トム・デロングを迎えたラインナップのアルバムとしては2011年にリリースされた『Neighborhoods』以来となる新しいフル・アルバムも制作中とのことです。

●「Hide & Seek」/ストームジー

Hide & Seek

ストームジーが新曲「Hide & Seek」をリリースしました。ストームジーは2017年のデビューアルバム『Gang Signs & Prayer』、2019年のセカンドアルバム『Heavy Is The Head』と連続でUKアルバムチャート1位を獲得し、2019年の『グラストンベリーフェスティバル』にはヘッドライナーとして出演するなど、現代UKを代表するラッパーです。今週約3年ぶりとなるニュー・アルバム『This Is What I Mean』を今年11月25日(金)にリリースすることを発表しており、新作はこのアルバムからのリードトラックとなっています。今回のアルバムは「エセックス州ブラックウォーター川にある、干潮時に1日4時間だけアクセスできるオシー島で行われた音楽合宿で創造力を高め生まれた」とストームジーは語っています。

「October Passed Me By」/ガール・イン・レッド

girl in red - October Passed Me By (Official Audio)

 
ノルウェー出身のシンガーソングライター、ガール・イン・レッドが新曲「October Passed Me By」をリリースしました。ビリーアイリッシュの実兄フィニアスを共同プロデューサーとして迎え制作した、2021年のデビューアルバム『if i could make it go quiet』以来となる新曲です。秋をテーマにした同楽曲は、アメリカのインディー・ロックバンド、ザ・ナショナルアーロンデスナーがプロデュースを手掛け、代表曲「we fell in love in october」をアーロンデスナーと披露したライブ映像も公開中。2023年1月には待望の初来日公演も決定しています。

10月14日(金)配信の『speakeasy podcast』(#211)では、ほかにも今週の様々な音楽ニュースを取り上げていますので、お時間ある時に聴いてみてください。

文=竹内琢也