毎日勉強を続けていると飽きることがあります。そんなときは勉強の計画をいじって対処することもあります。例えば、好きな科目をやることでリフレッシュすることができます。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

集中力が落ちたら好きな日本史の勉強

▶「集中力」同じ科目を続ける/重要度★★★★☆

個人的に長時間勉強の最大の敵であると思っているのは眠気です。

では、2番目の敵は何でしょう? それは飽きです。オータムは秋です。

有名大学に入る人にはたしかに知的好奇心の塊のような人もいます。

「勉強は楽しい! 毎日でもしていたい!」

そんな人からすれば受験勉強は天国でしょう。辛いことはありません。

でも、実際はそんな人は稀です。外出やゲームやスポーツなど、あらゆる趣味を制限して好きでもない勉強をやらなければならない受験生が大半だと思います。

私は勉強がまともにできない環境で成人までを過ごし、社会人を一度経験して自分のお金で予備校に通っていたからこそ、勉強できる環境がいかにありがたく、勉強することが将来に結びつくのかをわかっていました。

だからこそ、それが強烈な誘因になったのですが、そんな私でさえ、毎日勉強を続けていると飽きることがありました。「今日は英語の日だ!」と決めて13時間ぶっ通しで参考書を見ていた日があったのですが、残念ながら集中が続かず、ただ膨大な数の記号を見ているように思えて、常に突発的に叫びたくなるような衝動に襲われました。

だからこそ、こうした経験をしてからは、同じような事態に陥ったとき、勉強の計画をいじって対処するようにしていました。好きな科目をやることでリフレッシュしようと考えていたのです。

早稲田に合格した最後の年の秋以降は、いつも集中力の落ちる午後6時以降に好きだった日本史の勉強をしていました。

登山にしても、朝から晩までずっと休憩なしで傾斜が急なコースを歩くことを考えるとメンタルが持ちません。途中で余裕を持って景色を見られる傾斜が緩やかなコースを登ったり、休憩スポットでくつろいだりする行程を組むことが、ストレスを感じずにその日の計画を完遂することに繋がるのです。

受験勉強においての私は、後のほうに楽な科目とおいしい食事というモチベーションの源泉をとっておくことで、午前から陽が落ちるまでの辛い時間を乗り切っていました。

それでも日中に集中力が切れて、問題演習ができなくなることもよくありました。そんなときは、応急処置として昼過ぎだろうと好きな日本史をやるようにしていました。勉強の早弁です。

好きな科目の勉強を続けていくと、その日の進捗を生んでいるという安心からか自然と心の余裕が生まれ、苦手な英語の演習問題に向かう気分になったものです。昼につなぎの日本史をやってしまったときは、集中力の落ちる18時以降に漢字や古文単語、英単語などの暗記ものをやって勉強の時間配分を調整していたことを昨日のように覚えています。

勉強に気乗りしないときには、緻密に組まれた計画を崩してでも、効率や気分を優先させてみてください。

遠すぎるゴールでは逆算できない

▶「目標設定」あまりにも学力が低いのに目標設定をする/注目度★★★★★

「ゴールまで逆算して目標を設定しましょう」

私は7浪目に個別指導の講師に数学の指導をお願いしていました。その個別指導の講師に私がずっと言われ続けていたことです。

理数系を食わず嫌いで放置したくなかった私は、8浪目までずっと理数系も勉強していたのですが、成績はあまり伸びませんでした。

この講師はとにかくゴールを意識させて、そこから道筋を組み立てようとする方で、週単位・月単位・年単位の計画を練るだけで1時間の指導時間を費やしたことがあります。

でも私はそんなことよりもまず、各教科の基礎を一通り教えてほしいと考えていました。一から勉強する、私のような話にならない学力の人は、最初はとにかく目標設定も何もせずにやってみるほうがいいと思うのです。ゴールが遠すぎたら逆算も何もできません。

私は6浪目のセンター試験で5教科7科目が39%だった人間です。こうした人間が1年で最難関大学を目指すのは無理があります。そんな人間にスケジュールを組ませたところで、達成できるはずがありません。絵に描いた餅もちに終わり、計画を組んだ時間が無駄になるだけです。実際、当時から貴重な時間を無駄にしている自覚がありました。

彼は7浪目のセンター試験のとき、僕を「どんな点数を取ってもいいので気楽に受けてきてください」という旨の言葉を私に投げかけました。しかし点数が49%だったと報告すると、彼は90分もかけて私に説教してきたのです。これがきっかけで、私はこの講師と決別しましたが、合わない個別指導講師との縁を切るのは早いに越したことはありません。

学力の低い人は、計画を組むよりもまずはがむしゃらにやるべきだと思います。

濱井 正吾 9浪はまい

(※写真はイメージです/PIXTA)