NGT48の元メンバー加藤美南。お披露目初期はセンターとして活躍するなど、グループでも中心メンバーだった彼女は今、どこの事務所にも所属することなく、フリーの立場でタレントとして活動している。2021年2月には「Weibo Account Festival in Tokyo 2020」で新人モデル賞を受賞し、2022年は「世界で最も美しい顔」にもノミネートされるなど、海外活動も開始。国内では、YouTuber、SNSインフルエンサー、イチナナライバー、モデルなど多彩に活動している。そんな加藤になぜフリーの立場で活動するのかを聞くと、「自分がやりたいことをやらないまま終わってしまう」ことへの懸念や 「0から1を作りたいって思いが強かったから」と、NGT48卒業後の想いを語ってくれた。

【写真】「世界で最も美しい顔」にもノミネートされた加藤美南の笑顔

■卒業後は事務所に所属せず“フリースタイル”で活動「自分がやりたいことをやらないまま終わってしまう」

――現在はどのようなお仕事をやられているのでしょうか?

今は、事務所には入らずフリーで活動しています。SNSの仕事や、モデルの仕事のほか、YouTubeやライブ配信(17LIVE)もやっています。最近は海外の仕事もしていたり、色々なことをやっているので、“何でも屋”みたいな感じです。

――NGT48卒業後、なぜフリーで活動することを選んだのですか?

卒業するって決めてから、自分は芸能事務所に所属して仕事をするというより、自分で0から1を作りたいって思いが強かったからです。「女優さんになりたい」といった特別な願望もなかったので、SNSを使ったりしながら、今の時代に合った働き方をしたいなと思って。

卒業のタイミングで、ありがたいことにいろいろな芸能事務所の方に声をかけてもらったんですけど、全部、お断りさせていただきました。自分でフリーでやっていきたいなって思って。その方が自分のやりたいことを選択できて、イベントもできるし、握手会とかもできるし、ファンクラブを自分で運営できるし…選択肢が多い方が、応援してくれている方に今までの恩返しができると思いましたし、寄り添っていけたらいいなっていう思いからフリーになりました。

――女優の仕事をやってみませんか、という話もあったのでしょうか?

ありました。事務所の方から女優部にとか、そういう形でお声はいただいていました。

――女優さんはある意味、華やかで女性の憧れのお仕事だったりするじゃないですか。そこを選ばなかったのはなぜでしょうか?

最終的に夢がもし叶ったら、“それ全部できるな”と思ったんですよ。最初から「これからは女優をやります」のように特定の仕事に決めてしまうと、自分がやりたいことをやらないまま終わっちゃう、できない状態になっちゃうと思ったので。

■イチナナライバーに転身…ライブ配信の価値は“一緒の時間を過ごす感覚”

――YouTube、SNS、ライブ配信などさまざまなツールを使って世にトレンドを発信していますね。その中でも、毎日ライブ配信をされています。ライブ配信の価値はどこに感じていますか?

いろいろな配信のプラットフォームあるんですけど、17LIVEは、海外のユーザーもいたからですね。中国や台湾などのアジア圏の方にも届く、私が目指している方向とすごくマッチしていました。ライブ配信にも興味がありましたし、実際始めてみたら、海外の方も結構応援してくださったりするので、それはすごく良かったなって思います。

最初は1月の「新人ライバーの進撃」というイベントに出たくて、とりあえずイベントからスタートしてみようと思って。そしたらそのイベントで1位になることができました。それから私が決めた公約で1年間毎日配信しています。17LIVEで毎日顔を合わせられるのもファンの方がすごく喜んでくれています。

――タレントさんがライブ配信を行う機会が増えています。ライブ配信とアイドル活動との繋がりを感じるところはありますか?

YouTubeのような動画配信だと一方的な発信のように感じてしまって少し寂しい気持ちがありました。ライブ配信では私が配信中に笑ったりするとリスナーからリアクションがあるので、コメントを読んだりする相互のコミュニケーションができるのがうれしいです。楽しい気持ちになったり元気づけられたり、人の心を支えられる素敵なツールだと思っています。

強い繋がりを感じられるので、より深いファンの方ができやすいし、私達も仲良くなりやすいコミュニケーションツールだと思います。アイドルをやっていた時も、そこを目指していたというか、せっかくファンになっていただけるなら、より深く仲良くなりたいなって思っていたので。今までのファンの方はそうやってもっともっと仲良くなれました。あとは、新しくこの配信からファンになってくれた方も同じ熱量で毎日見てくれたりするので、一緒の時間を過ごす感覚になれるっていうのは配信していてすごく感じますね。

■海外を見据えた活動も…最後は地元・新潟に恩返しがしたい

――NGT48のときは地元密着の活動でした。現在は地元新潟だけじゃなくて国内外で幅広く活動をしていますね。

NGT48の卒業前から海外でも活動したいと思っていました。他の分野で活躍することによって自分が新潟にいた意味も感じられると思うんです。それが地元貢献にもなるし、新潟にも恩返ししたいと思っています。

――卒業される前から海外での活動を考えていたのですね。

日本だけだとSNSにも限りがあるし、広がり方もやっぱり違うなってすごく思っていたんです。中国のWeibo(ウェイボー)を始めて、最初Weiboの新人モデル賞をいただいて。それがNGT48を卒業して4日後ぐらい、卒業後初めての仕事だったんですけど、それから中国の仕事もやらせていただいています。最近は中国版のInstagram「RED」に力を入れていて、今後はそっちを軸に、コスメや美容のトレンドとか私がリアルに発信できる情報を発信していきたいと思っています。

■海外のトレンドを日本に伝える架け橋になりたい

――なぜ中国を選ばれたのでしょうか?

現役のときから中国の方のファンが結構いらっしゃってWeiboはやっていたので、中国の方達に届けられていいなって。中国のSNSが盛り上がっているのを知っていましたし、女の子はかわいいし、最近のトレンドは中国発信のものも多いからですね。日本独自のものを中国に発信するより、海外のトレンドを日本で発信する架け橋になりたいなって。

――ライブ配信の「17LIVE」は海外のユーザーも多くいるとのことですが、海外の方とはどのようにコミュニケーションを取られていますか?

中国、韓国、台湾とかいろんな国の方が見てくれていますが、ほぼ英語ですね。17LIVEは海外の方もいるので、話しが通じない場合はキャラクターの被り物をしたり世界共通でわかるネタだったり、言葉がわからなくてもぱっと見て伝えられることを意識して配信しています。

――今後、活動を海外に移していくことを考えていたりするんでしょうか?

将来的には、移住してもいいなと思っています。でも、いろいろな国を旅したりお仕事もしたい。日本だけでなく世界を見て、自分がどこで活躍できるのかっていうのを全部探したいです。

■アイドルの肩書きが外れた今の私を見てほしい

――アイドルだったことを知らない方が新たにファンになることをどのように感じていますか?

アイドルを名乗っていない、今の私を見てもらえた方が、嬉しいですね。今は本当にいろんな仕事をさせてもらっていて、夢に向けて頑張っているので、今の私を見てもらえたらいいなって思います。なので、あまりアイドル活動をしていたことを言わないようにしています。

――今興味のあることや、今後やっていきたいことはありますか?

最近はゴルフを始めました。ゴルフは世界共通なので、ゴルフ関係のお仕事をしたいと思っています。他にも、美容が好きなので、メイクや中国のコスメ、トレンド探しですね。中国語の勉強をがんばっているので早く喋れるようになりたいですね。

――フリーの立場でやりたいことを突き詰めたいというスタンスが、今っぽいと感じました。

すごくこだわっていた部分です。両親にも自分がやりたいようにやっていいって言われていましたし、卒業してからのことは自分で決めたかったんです。私は新しいことに対してネガティブな感情がないので、「何かやってみよう!」という気持ちが強かったんです。

自己プロデュースができなかったら別のやり方を試したり、今の時代は選択肢があると思います。だからこそ、最初は自分の力でやってみたい。サポートしてくれているチームもいるので、卒業して、フリーで働ける今の環境はすごく自分でも恵まれているなと思います。とにかく今めちゃくちゃ楽しいんです。

加藤美南/撮影=友野雄