ジョギング

「スポーツの秋」と言われるように、涼しくなって身体を動かすのが心地いい季節だ。ただ、ここ数年、秋になって膝を痛める人が増えているという。

「スポーツの秋」には思わぬ危険が潜んでいて…。


■秋の運動に要注意

今年は「異例の梅雨明け」によって、夏を長く感じる人も多かったはず。じめじめ蒸し暑い日が続くと、ついクーラーの効いた部屋にこもりがちだ。

涼しくなったのを機に運動を始めようと考える人もいるだろう。関町病院(東京・練馬)の整形外科医である丸山公院長は、この時期運動する際は注意が必要だと指摘する。

「これまで運動する習慣がなかった人がいきなり激しく体を動かすと、筋肉や関節が動き慣れておらず、膝を痛めてしまうことがあります」(丸山院長)。日頃運動していなかった人がいきなり10キロ走ったり、ジムで重い負荷をかけるのは危険ということだ。


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■40代の患者も増えている

「膝の痛み」と聞くと年配の人がなるイメージを抱くかもしれないが、最近は40代の患者も増えているという。

「変形膝関節症は女性が多いですが、中年以降の男性で病院に来られる方も増えています。コロナ禍で在宅勤務が増えて運動不足になり、体重が増えやすくなります。それを解消しようと急に運動を始めた結果、膝を痛めてしまう人が多いようです」(前出・丸山院長)。

コロナと今夏の猛暑。その2つの要因による運動不足が、この状況を生んでいる。

■体重が1キロ増えるだけで…

前出の丸山院長は、体重が1~2キロ増えるだけで膝にかかる負担は大きくなると話す。

「階段の上り下りでも瞬間的に通常の5倍程度の力が加わるので、体重が2キロ増えるだけで負担は10キロ増えます。日頃、筋肉を使っていないとジョギングや階段を降りる時緩やかに動けず、ドンドンと大きな動き方をしてしまいがちです。そうなると、膝の軟骨や筋肉がついている箇所が炎症や損傷を起こす可能性があります」(前出・丸山院長)。

では膝に負担がかからないようにするには、どんな運動をすればいいのだろうか。

「普段運動しない方であれば、ウォーキングから始めましょう。かかとからついて、つま先まで動かす歩き方を左右交互にやるのがいいでしょう。よく『1万歩歩くこと』を推奨されますが、7,000歩で十分だと思います。がに股や内股は膝に負担がかかるので、なるべくまっすぐ前を向いて歩くことを意識しましょう」(前出・丸山院長)。


■日頃のちょっとした行動を変える

日頃のちょっとした行動を変えることも大切だ。

「年を取ると背中が曲がりますが、同時に膝も曲がってしまいます。膝を伸ばさないで歩くと、膝の裏側の筋肉が短縮し運動した際に痛めることがあるんです。お風呂では浮力があり、膝の負担にならないのでしっかり曲げてみましょう。その後、お風呂から出て身体が温まった状態で膝を伸ばすといいです。また、通信販売や薬局等で売っているコラーゲントリペプチドの摂取もおすすめです」(前出・丸山院長)。

これから運動を始めようと思っている人は、無理せずできるところからやるのがいいだろう。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/関町病院 整形外科医 丸山 公院長

スポーツの秋、膝を痛める人が急増…? 医師が警告する「危険な運動」