10月15日、BTSが韓国・釜山市で「Yet To Come in Busan」コンサートを開催した。
今回が7人一緒では最後のコンサートになる可能性があると見て、世界中からARMY(BTSファンの名称)たちが釜山に集合した。
今年6月、これからBTS全体としての活動をやめて個人活動中心にするという爆弾発言が生配信されたり、韓国男子として果たしていない兵役問題に一部のメンバーが悩んだりするなど、ファンにとっては気が気でなかっただけに、大変な盛り上がりだった。
今回のコンサートは、「2030釜山世界博覧会」招致を祈願する意味が込められており、無料での開催となった。
BTSの所属事務所「ハイブ」は、「2030釜山エキスポ招致に力添えし、コンサートを通じて釜山を世界が注目する場にしたい」ということで、コンサート費用の70億ウォン(約7億円)を全額負担した。
あくまでもこれは筆者のひねくれた発想だが、ハイブはBTSを生み出したことで、世界的規模でお金を稼いでいるため、70億ウォンごときで政府や釜山市にあれこれ干渉されたくないというのが、無料で開催した理由かもしれない。
もっとも、無料かどうかは別として釜山市にとっては有り難いコンサートだった。
ポストコロナにBTSが韓国内でコンサートを開催した場合、「1回当たり経済波及効果は、6197億ウォンから最大1兆2000億ウォン」(韓国文化観光研究員)という。
70億ウォンどうのこうのより、釜山市で世界中からファンを集めたBTSのコンサートが開かれること自体、意義のあることだった。
ちなみに、BTSは兵役に関して特例にするかどうかで、政治的にもいろいろ議論されてきた。
しかし、10月17日に所属事務所ハイブから、「一番年上のJINが入隊延期を取り消し、入隊することを決めた。さらに、他のメンバーもそれぞれのスケジュールに合わせて兵役に服務する予定である」と発表した。
この結果、BTSに関する兵役問題は解消された。2025年には7人全員揃って活動を再開したいということなので、2030年のエキスポが決まれば、また釜山でのコンサートが見られるかもしれない。
BTSは今回、釜山市と組んで「ザ・シティ(The City)」プロジェクトを着々と進めた。
ザ・シティ・プロジェクトとは、ツアーと都市をつないで文化を拡張するプロジェクトだ。
BTSとしては、以前ラスベガス市と組んで行ったことがあり、今回で2度目である。
BTSの9年の歴史を盛り込んだ(2022防弾少年団展示会:「2022 BTS EXHIBITION:Proof」)をはじめ、コンサートのオフィシャル商品を販売するストア、宿泊とともに特典を提供する5つのホテルのテーマ・パッケージ、ロッテ・アドベンチャー釜山テーマパークなどが用意され、コンサート前後にもイベントを楽しめる。
釜山市は、コンサート前から都市のランドマークをBTSカラーのパープルに染め、国内外からのBTSファンを喜ばせた。
ただ、今回のコンサートは注目を集め過ぎたせいか、一部で好ましくない動きも見られた。
抽選に当たった人たちにはダフ屋も混じっていたらしく、チケットを30万ウォン(約3万円)で売ったり、釜山のホテルなどでも暴利をむさぼろうとするなど、よろしくない評判もいくつか聞いた。
さて、釜山エキスポには韓国が命運をかけていて、釜山市のみならず、国家公務員、財閥のオーナーたちもエキスポ招致に駆り出されている。
世界博覧会(エキスポ)は、ワールドカップ、オリンピックとともに世界3大国際行事と呼ばれ、経済効果は何と61兆ウォンと言われる。
現在、2030年のエキスポ招致の競合都市は、釜山(韓国)、リヤド(サウジアラビア)、ローマ(イタリア)の3都市だ。
大韓商工会議所の議長であるチェ・テウォン(SKグループ会長)は、先日パリで開かれた国際博覧会機構(BIE)総会に参加して各国の大使と交渉し、日本でも日本商工会議所の三村会長にもあって釜山エキスポ招致のための協力と支援を要請したという。
サムスン電子の場合は、もっと積極的である。
主な経営陣が総出で、釜山エキスポ招致支援タスクフォースを構成し、関係各社のグローバルネットワークを通じて本格的な招致活動に乗り出した。
現代自動車グループも名乗りを上げている。
2021年8月に韓国の大企業の中で真っ先にグループレベルでのタスクフォースチームを作った。
パリでのBIE総会で開催された2030年世界博覧会招致候補国2次プレゼンテーションで現代車グループの所属研究員が代表演者として出席し、現代車・起亜パリ現地販売拠点を活用した広報映像の露出及びラッピングカーでのPRなど、実質的な招致PR活動を行っている。
LG電子もまたエキスポ招致のためのタスクフォースチームを編成し、支援活動に乗り出した。
このタスクフォースはLG電子の海外地域の代表、海外法人管理担当、グローバルマーケティングセンター、韓国営業本部、広報・対外協力センター組織で構成された。
約140か国の海外法人ネットワークを保有し、グローバル家電市場をリードしているLG電子は、最高経営陣が海外出張の際には釜山エキスポ招致支持活動を展開する。
各国のブランドショップに展示されたテレビを通じて、釜山エキスポ招致の公報映像を配信するなどで活動する計画である。
このように韓国の代表的な財閥のオーナー自ら釜山エキスポ招致に動いており、結果がかなり期待されている。
東京オリンピックは残念ながらコロナ禍での開催で、予想していたような経済効果は得られなかったので、実際エキスポも言われている通りの経済波及効果を得られるかどうかは分からない。
それでも久しぶりに韓国が活発に経済起こしに本腰を入れているように感じられるのは、政権交代があったからといえよう。
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