(C)Getty Images

 「時代の寵児」の一人に認定されたといっても、過言ではありません。

 毎年11月に刊行される「現代用語の基礎知識」の2023年版の表紙がこのほど公開されました。その年を彩った「パーソン・オブ・ザ・イヤー」がイラストで登場するのですが、その一人にスポーツ界から羽生結弦が選ばれたことは、特筆に値するといってもいいでしょう。

【関連記事】羽生結弦が10代の一番好きなスポーツ選手に選出…その凄さの「意味」


 ネットメディアの関係者は言います。

 「巻頭キーパーソンとして表紙のイラストに描かれたのは、ゼレンスキー大統領藤井風さん、坂東彌十郎さん、反田恭平さん、桂二葉さん、斉加尚代さんといった重厚な面々です。この人々と一緒に『2022年の顔』と認定されたとすれば、それは大変名誉なことではないでしょうか」
 スポーツ紙のデスクも、こう語気を強めるのです。

 「確かに2月の北京五輪における存在感は、凄まじいものがありました。しかし通常、このような『今年の顔』には金メダルに輝いたとか、世界新記録を出したとか、ある意味分かりやすい指標があるものです。しかし、羽生選手がここに載るのはそんな単純なものではなく、『新しい挑戦を始めた』という、強い共感を呼んだその物語性にあるのではないでしょうか」

 そしてこう続けるのです。

 「例えば10月15日朝日新聞朝刊のオピニオン欄『耕論』では、「『羽生結弦』である理由」が3人の識者によって語られていました。『耕論』は朝日の中でも硬派な読み物として、読者の注目度も高い。ここで『~である理由』という紙面が成立するアスリートが、他にいるのかって話です。いわばスポーツ界の枠を超え、挑戦し続ける人々に影響をもたらし、日本社会を前に進める存在になっている。そう考えれば、『現代用語の基礎知識』がゼレンスキー大統領と一緒に扱うのも、合点がいくでしょう」

 スポーツにおいて結果は確かに大事。しかし、そこに到達しようとする「プロセス」も共感を呼んだのが、2022年の羽生結弦だったとも言えます。

 数字だけでなく、その「姿勢」が評価されての表紙採用-。そう考えると、このアスリートの「凄み」が浮かび上がってきます。掛け値なしに、「今年の顔」に相応しいと、断言できるでしょう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

羽生結弦、「現代用語の基礎知識2023」の表紙の一人になった「凄み」とは