海外アーティストの入国や来日公演が厳しく制限されていたコロナ禍の2021年1月、トッパンホールからのオファーを受けたアレクサンドル・メルニコフは、入国時の2週間の待機期間を承知のうえで来日し、チェンバロ、2台のフォルテピアノスタインウェイと4台の楽器をステージに並べ、J.S.バッハからシュニトケに至る7人の作曲家の「幻想曲」を華麗に弾き分けたという。

そのメルニコフが、「幻想」を引っ提げて再びトッパンホールに登場する(2022年11月5日:トッパンホール)。その「幻想」が、ベルリオーズ作曲 (リスト編曲) の『幻想交響曲』なのだから興味深い。ベルリオーズが妄想の果てに生み出した、あの巨大な管弦楽曲を、1台のピアノ曲としてまとめてしまったリストの手腕も凄ければ、それを「幻想」の流れの中で披露するメルニコフの意欲も凄まじい。

前半にドビュッシー の『前奏曲集』第2集(全12曲)が置かれたオール・フランスプログラムは、ピアノの新たな可能性を感じさせてくれる貴重な時間となるに違いない。

演詳細:https://www.toppanhall.com/concert/detail/202211051800.html

アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)Alexander MELNIKOV, piano

1973年モスクワ生まれ。6歳でモスクワの中央音楽学校に入学し、モスクワ音楽院ではレフ・ナウモフに学ぶ。卒業後、ミュンヘンでエリソ・ヴィルサラーゼに師事。アンドレアス・シュタイアーやカール=ウルリッヒ・シュナーベルらから手ほどきを受けたほか、スヴャトスラフ・リヒテルとも親密な関係を築いた。
1989年シューマン国際コンクール、91年のエリザベート王妃国際音楽コンクールなど主要な国際ピアノコンクールで入賞、以来国際的に活躍している。
デュトワ指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団およびフィラルフィ管弦楽団ゲルギエフ指揮/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、プレトニョフ指揮/ロシアナショナル管弦楽団および東京フィルハーモニー交響楽団、テミルカーノフ指揮/サンクトペテルブルクフィルハーモニー交響楽団をはじめとして、世界各地の著名なオーケストラと数多く共演している。
リサイタルでは、コンセルトヘボウ(アムステルダム)、サントリーホール(東京)、アルテ・オーパー(フランクフルト)、クィーン・エリザベス・ホール(ロンドン)、シャトレ座(パリ)など、各国の主要なコンサートホールに出演。室内楽でも、ワディム・レーピン、ナターリヤ・グートマン、ユーリ・バシュメットアレクサンドル・ルディン、ピーター・ウィスペルウェイ、ジャン=ギアン・ケラスらと共演するほか、現在はイザベルファウストとデュオでも積極的に活動している。また、シュタイアー、ボリス・ベレゾフスキー、アレクセイ・リュビモフらとは、ピアノ・デュオで多数共演している。
録音では、ハルモニア・ムンディからブラームスラフマニノフスクリャービンのソロ作品をリリースするほか、ファウスト、ケラスらとの共演によるCDをリリース。ファウストとの「ベートーヴェンヴァイオリンソナタ全集」はドイツエコークラシック賞およびグラモフォン・アワードを受賞。また、ショスタコーヴィチの「24のプレリュードフーガ」は2010年の最優秀録音に贈られる”Choc de classica”賞を受賞した。
トッパンホールには、2008年のウィスペルウェイとのデュオ以来3度目の登場となる。

トッパンホール アレクサンドル・メルニコフ