発達障害の一つである「自閉スペクトラム症(ASD)」を患う24歳の男性に、世界中の人々から絵のリクエストが殺到している。コミュニケーションを取るのが苦手な男性だが、1本のペンが生み出す“魔法の絵”に多くの人が魅せられているようだ。『Upworthy』などが伝えている。

米カンザス州エルドラドに住むトレントさん(Trent、24)は、2歳の時に重度の「自閉スペクトラム症(ASD)」と診断された。トレントさんは対人関係が苦手なうえ、ASD特有の強いこだわりを持っており、両親にとって子育ては決して楽ではなかったそうだが、2歳半の頃にある才能に気付いたという。

トレントにペンを持たせると、絵を描き始めたの! それも素晴らしい絵をね! 紙の上だけでなく家具、おもちゃ、壁にまで何でも描いていたわ。でも何よりも好きだったのは動物を描くことだったの」と語る両親。続けて「重度のASDだったトレントは、4歳になるととても攻撃的になり、何度も学校を変わってセラピーを受け続けた。でも絵を描くことだけはやめなかったの」と明かした。

そんなトレントさんの才能が最初に人々に認められたのは、絵を描く様子を撮影した動画が拡散した2016年のことで、2009年から8年間通学したカンザス州ウィチタの特別な支援を必要とする子供たちのためのインターナショナルスクール「ハートスプリング(Heartspring)」の協力があったそうだ。

こうしてトレントさんの絵が知られるようになると、両親は息子が描いた絵をもとに塗り絵、Tシャツ、グリーティングカード、コーヒーカップなどの販売を始め、2021年にスタートしたSNSが大きな注目を集めた。トレントさんのTikTokのフォロワーは現在130万人、Instagramが10万人超と大人気で、世界中から「こんな動物を描いて欲しい」というリクエストが殺到しているという。

リクエストの中には「眼帯をした犬の海賊」「フットボールを投げるシマウマ」「カメの甲羅があるキリンがゴルフをする姿」などひねりの効いたものが多く、トレントさんはリクエストが書かれた紙を自分で読み、ペンであっという間に仕上げてしまう。幼い頃から動物の本を読むこと、音楽を聴くこと、テレビを見ること(特にディズニー)が好きだそうで、時にはディズニーのキャラクターなどを描くこともあるという。

トレントさんの父コリーさん(Corey)は「息子が使うのは油性ペンのみで、鉛筆や消しゴムを使うことはないんだ」と明かし、その類まれな才能についてこのように語っている。

トレントはこれまで、絵を描いていて失敗したことがなくてね。絵が気に入らず、紙を丸めて捨てたことも一度もない。線を描いた後にアイデアが変わることは稀にあるけど、一度描いた線はそのままにしてひたすら描き続けるんだ。」

トレントは素晴らしい可能性を秘めている。そしてその才能を活かすことができるということは素晴らしいこと。だってトレントは人と会話はできないけど、絵で世界中の人に喜びを届けているのだから…。トレントの絵が多くの人をインスパイアできればこんなに嬉しいことはないね!」

そしてトレントさんには「すごい才能!」「観察力がすごい」「これを見ると今日も一日頑張れる!」「家族も素敵!」「『ハイ! トレント!』『ハイ! マミー』という掛け合いがいいね。」「生き生きしている姿に脱帽」「私もリクエストするわ」といったコメントが寄せられている。

画像は『drawingsbytrent 2022年10月11日付TikTok「#drawings #autism」、2022年10月17日付TikTok「Request for @Donna」、2022年9月23日付TikTok「#requests #artist #autistic」、2022年1月13日付TikTok「Reply to @melissabolos」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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