ナントレースも終わり、今日から日本シリーズが始まります。日本一を目指す我がヤクルトですが、2年前は最下位でBクラスの常連だったのが昨日のことのよう。私の誕生日(10月2日)あたりには、いつもシーズンが終わっていたものでした。

みなさんこんにちは。昨年に続き、ヤクルトのおかげで長くシーズンを楽しませていただいている山本萩子です。

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長い間プロ野球を見ていると、愛するチームがBクラスで終わるシーズンというのが必ずありますよね。

Bクラスになると、ひと足先に戦力外となる選手が発表され、しんみりとします。ポストシーズンを戦うチームと比べると、別れが早くやってくるのがBクラスの宿命ですが、次のシーズンへ動き出したということでもあります。切なさもあるけど、期待も感じさせてくれます。

Bクラスで終わるシーズンというのは、序盤からつまずくことが多いですね。「あれっ」と思ったシーズン序盤、交流戦を終えたあたりで「あれれ?」となり、もちろんその後に大躍進もなくはないのですが、「あらら......」とそのまま低空飛行で終わってしまうことも。

クライマックスシリーズ出場権を得られる3位に滑り込めるかどうかという楽しみもありますが、その可能性さえ感じられない場合、残りのシーズンをどう過ごせばいいのか。

その答えは、「ポジティブ要素探し」です。

1日でも長く、野球の季節を楽しんでいたい......
1日でも長く、野球の季節を楽しんでいたい......

まず、Bクラスで終わるということはこれより下がることはないわけですから、来年への期待が高まります。若手の台頭に目を細め、ひとつの勝利に心を震わせ、タイトル争いに執念を燃やす。ヤクルトが低迷していたとき、私は何度バレンティン選手のホームランに気持ちが救われたことでしょう。

ベテランを外してあえて若手を起用することも来季への希望。村上宗隆選手がプロの水に慣れ打撃の才能が覚醒し始めたとき、チームの調子は良くありませんでした。それでも村上選手にはいずれチームの主砲になってほしいという思いから、温かい目で見守ってきました。それが今年の結果につながっているのだと思うと、感慨深いものがあります。

MLBの下位チームもシーズン終盤になると、チームの再編成に思いきり舵を切ります。フレッシュな若手の活躍を目にしたファンは、チームがよくなる未来を思い描くことができます。抜擢された若手はチームの希望の象徴なのです。

チーム数が限られていて下位リーグとの入れ替えもないプロ野球は、目先の勝利にとらわれず長い目で応援できます。私たちにできるのは若手とベテランが体の細胞のように、ゆっくりと入れ替わっていく様子をGMのような目線で見守ること。

Bクラスで終わったシーズンは、輝かしい未来への布石なんです。黄金期もあれば、そうでない時期もあるのがプロ野球。いつか優勝できる、そう期待させてくれるスポーツはなかなかないと思います。

ちなみに、今年の日本シリーズは2年前の最下位同士の決戦となりました。シーズン前に、解説者が真剣に順位予想しても当たらないのがプロ野球。だから楽しいんですね。

来年の順位は果たして。それではまた。

★山本萩子(やまもとしゅうこ)
1996年10月2日生まれ、神奈川県出身。フリーキャスター。野球好き一家に育ち、気がつけば野球フリークに。2019年より『ワースポ×MLB』(NHK BS1)のキャスターを務める。愛猫の名前はバレンティン

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

山本キャスターが考える「Bクラス」の楽しみ方