カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 愛くるしい顔と二足立ちの仕草が人気のレッドパンダ(レッサーパンダ)だが、生息地の破壊や密猟などの影響で、絶滅危惧種に指定されている。

 その為、世界各国の動物園ではレッドパンダの繁殖プログラムに力を入れているが、イギリス動物園で奇跡的にレッドパンダの赤ちゃんが生まれた。

 この赤ちゃんが生まれる2週間前、父親は病気で死んでしまい、繁殖が絶望視されていたのだが、すでに子宝を母親に託していたのだ。

 無事に生まれてくれたこの赤ちゃんは奇跡と希望の象徴として感動をもたらしたようだ。

【画像】 レッドパンダの赤ちゃん“リトルレッド”が誕生

'Miracle baby' Red Panda who was called a 'symbol of hope' takes its first steps outside | SWNS

 イギリス・ハートフォードシャー州にある『Paradise Wildlife Park』の動物学協会は、8月16日に飼育下にあるレッドパンダの赤ちゃんが生まれたことを発表した。

イギリスの歴史上最も暑い1日となった 7月 16 日の早い時間、動物園の監視カメラは、ティリーが奇跡的で美しく健康な子を産んだ感動的瞬間を捉えました。

父親は死ぬ前に子宝を残していた

 動物園の声明によると、ティリー(メス)とナムパン(オス)のレッドパンダは、ヨーロッパ生息域外繁殖プログラムと呼ばれる国際的な繁殖プログラムの一部として飼育されており、このペアは過去4年間妊活を試みていたという。

 しかし、今年の夏に悲劇が起こった。ナムパンがアジソン病(副腎皮質機能低下症)で死んだのだ。

 これで繁殖活動はお手上げか…そう思った矢先、飼育チームはティリーが巣を作り始めていることに気付いた。

 それは、ナムパンが亡くなって2週間ほど経った頃で、チーム一同「もしや」という思いに興奮した。

 ナムパンは死ぬ前に子宝をしっかり残していたのだ。その1か月後、ティリーは元気な赤ちゃん「リトルレッド」を産んだ。

レッドパンダの妊娠期間が132 日であることを考えると、ナムパンが亡くなる前に、ティリーと交尾に成功していたことが明らかです。ナムパンの不在は心痛むものですが、リトルレッドの奇跡的な誕生は感動的です。(飼育員)

[もっと知りたい!→]身悶え必至。生後10か月のレッサーパンダの仕草にずきゅん。

リトルレッド、元気にすくすく成長中

 動物園によると、レッドパンダの赤ちゃんは生後6か月間は体が弱いので注意深く見守る必要があるという。

 だが、生後 2 ~ 3 か月もすると好奇心旺盛になり、自力であちこち探検を始めるようになり、愛くるしい仕草を見せてくれる。

 現在、誕生から数か月が経過したリトルレッドは、元気にすくすく成長している。

 9月末に行われたリトルレッドの健康診断では、飼育員たちはリトルレッドにマイクロチップを埋め込んだ。性別が判明するのはもう少し先になりそうだ。

 一方、パートナーを失ったティリーは、子育てに追われながら元気に過ごしているようだ。

 ティリーのケアチームは、新しく母親になったティリーが独立して子育てを快適に行えるよう、見守りながらサポートを続けていく予定だ。

 IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは、レッドパンダ絶滅危惧種に分類されている。

 この種は、森林伐採と違法なペット取引により、非常に脅かされた状況にあり、野生に生息しているのは約10000 頭未満と伝えられている。

 奇跡的に生まれたリトルレッドは、チームにとっても希望の象徴だ。これからも元気で成長を続けてくれることを願う動物園では、インスタグラムアカウント『Paradise Wildlife Park』でリトルレッドの成長記録を更新している。

written by Scarlet / edited by parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

父親は死ぬ前に我が子を託していた。奇跡のレッドパンダの赤ちゃんが元気に成長