「給与が上がらない」というボヤキがとまらない日本において、自力で給与を上げる手段として「出世」があります。しかし世の中には「出世に興味がない」という人も。「出世する人」と「出生しない(できない)人」はどれほど給与が違うのでしょうか。みていきましょう。

出世には興味ない…役職のない会社員が手にする給与額

——出世!? そういうの、興味ないなあ

会社員で張れば、周囲にそのような同僚や同期がいるのではないでしょうか。本心かどうかはわかりませんが、出世欲がないといい、自分らしくいればそれでいい、という人たちです。そんなセリフを聞いて、「いつまでそんなことを言っていられるんだろう」と、少々冷めた目でみてしまう人も多いかもしれません。

出世、つまり会社において階級があがるごとに変わるのは給与。仕事に対する対価ですから、当然、出世するに従い、重責を担うことになりますが、その分、給与も格段にあがっていきます。

厚生労働省令和3年賃金構造統計調査』で、一般的な会社員(正社員)の給与事情を確認すると、平均月収は(所定内給与額)34万8,800円。手取りにすると26万円ほど。年収は推定571万1,100円です。年齢ごとにみていくと、20代前半で月21.8万円だった給与は年齢が上がるごとに増えていき、50代前半で月40万円を突破。50代後半でピークに達します。

これはすべての会社員の平均値。ここには管理職も非管理職も含まれています。では管理職かどうかでどれほど給与は変わるのでしょうか。みていきましょう。

まず非管理職の給与をみていきます。平均月収は29万6,200円、年収は推定486万5,000円です(平均年齢41.0歳、平均勤続年数11年)。年齢別にみていくと、20代前半で月21.7万円の給与は、50代後半でピークに達し34.5万円と、ピークに達します。全平均と比較すると、ピーク時に月8万円、年収で130万円ほどの差が生じます。

【男性会社員の給与の推移】

20~24歳:218,000円/3,400,800円

25~29歳:256,700円/4,284,900円

30~34歳:295,600円/4,988,200円

35~39歳:333,400円/5,602,500円

40~44歳:364,600円/6,060,200円

45~49歳:390,500円/6,428,300円

50~54歳:422,600円/6,926,900円

55~59歳:428,600円/6,949,000円

60~64歳:351,600円/5,299,500円

【非管理職の給与の推移】

20~24歳:217,700 円/3,393,900 円

25~29歳:252,900 円/4,231,100 円

30~34歳:284,600 円/4,819,400 円

35~39歳:309,200 円/5,188,400 円

40~44歳:321,400 円/5,367,500 円

45~49歳:328,900 円/5,444,100 円

50~54歳:340,800 円/5,603,000 円

55~59歳:345,900 円/5,651,200 円

60~64歳:292,100 円/4,391,500 円

出所:厚生労働省令和3年賃金構造統計調査』より算出

※数値左:月収(所定内給与額)、右:推定年収

仕事を評価され部長となった会社員…年収は大台までわずか

では、管理職の給与についてみていきましょう。

まず係長職。平均年齢は45.1歳で、平均勤続年数18.1年。40代も中ごろくらいに達したときに、まずは係長へと昇任、というのが一般的です。その平均月収は42万0,200円。手取りにすると31万円ほど。年収は推定642万0,600円です。

次に課長職。平均年齢は48.7歳で、勤続年数20.8歳。50代がみえてきたころ、課長に昇任するのが一般的です。平均月収は48万4,600円。手取りにすると35万円ほど。年収は推定777万6,800円です。

そして部長職(平均年齢52.8歳、勤続22.8歳)。50代になり、部長まで上りつめるというのが一般的。平均月収は58万5,800円、手取りにすると40万円ほど。年収は推定915万2,700円と、1,000万円の大台に王手がかかります。

同期入社から30年。50歳前半の会社員。出世することには興味がないといって、いまだに管理職ではない会社員と、部長にまでのぼりつめた会社員。出世街道が外れた50代会社員の給与は月34万0,800 円で、年収は推定560万3,000 円。一方、部長まで上りつめた会社員の給与は月60万7,700円。年収は推定969万0,300円*(男性部長職・50代前半の平均値)。両者の間には、月26万円、年間400万円ほどの差が生じます。

50代、会社員人生でもピークに達するタイミングで、同期との間にできたこれほどの給与差を前に「出世には興味ないんだよね」と余裕でいられるでしょうか。そもそも50代で役職もない立場であれば、本来は肩身の狭さを感じるもの。それでもなお「出世には興味なし」といえる痛さ。本当の「負け組」といえるひとかもしれません。

(※写真はイメージです/PIXTA)