10月27日(木)よりNetflixで全世界独占配信されるアニメ「ロマンティック・キラー」に梅原裕一郎が声で出演する。本作は、「少年ジャンプ+」にて連載されていた百世渡(ももせわたる)の同名漫画を原作とし、恋愛に興味のない女子高生・星野杏子(高橋李依)が、とある目的で杏子に恋愛をさせるべく現れた魔法使いリリ(小松未可子)とドタバタを繰り広げる青春ラブコメディ。絶対に恋愛したくない杏子がリリの策略によって出会う3人のイケメンのうち、学校一のパーフェクトイケメン・香月司を、落ち着きのある低音美声が魅力の梅原が演じる。本作の見どころや役作りについて、また自身が演じたアニメが全世界へ広がっていくことへの思いや、声優という仕事の魅力についても聞いた。
■「この作品の主軸はそこ(恋愛)じゃない」
──「ロマンティック・キラー」の原作を読んだ感想を教えてください。
最初は、いろいろな男の子が出てきて、主人公・杏子とラブラブする、いわゆるラブコメ作品かなと思っていたんです。でも読み進めていくうちに、この作品の主軸はそこ(恋愛)じゃないということに気づきました。もちろんそういう面もありますが、友情やキャラクターたちの成長といった人間ドラマが主軸なんだというのを、最後まで読んで感じて。そこが面白いなと思いましたし、実際に演じていても楽しかったですね。
──梅原さんが演じるのは、学校一のイケメン・香月司。とある過去の出来事から恋愛を避けるという役どころですが、役作りはどのようにしましたか?
司は女性に対してトラウマがあり、話し方もそんなにハツラツとしていない。だからこそ、特に序盤は感情の起伏を少なくしようというのは考えました。あとは高校生役ということで、その若さをどう表現するかというのは考えながら演じた記憶があります。クールな役といっても、理由付けがちゃんとあるぶん、演じやすかったですね。
──梅原さんの思う「ロマンティック・キラー」の見どころを挙げるとしたら?
杏子と司がふたりでゲームをするシーン。それまでの司は女性に対して壁を作っていたのに、その場面では自然と仲良くなってしまっていて。そんなふたりがすごくほほえましいですし、そうさせるだけのエネルギーが杏子にあるんだということが伝わるシーンなので、特に印象に残っています。
■自身のギャップは「家ではテンション高く過ごしています」
──司はぶっきらぼうに見えて、不意に見せる飾らない表情や優しさのギャップが魅力的です。梅原さんが思う、ご自身のギャップがあれば教えてください。
家のほうがテンション高いですね(笑)。学生の頃からずっとそうで。外だと構えてしまうところがあるのですが、家の中ではその必要がないので、家ではテンション高く過ごしています。
──ちなみにお家の中で一番テンションが上がる瞬間はいつですか?
最近はゲームをしているときです。最近好きなゲームの新作が発売されたので、それをやっているときが一番テンション上がります。声の高さも1オクターブくらい違うような気がします(笑)。
■声優がメジャーな仕事になって、競争率が上がるのはいいこと
──かつては声だけの仕事が多かった声優という職業ですが、最近は表に出ての仕事も多くなっています。声優のお仕事の幅が広がることについて、梅原さんはどう感じていますか?
僕はそんなに顔を出して活動するのは得意ではないので、必要以上にはやりませんが、やりたい人はやればいいと思うし、いろいろな分野で活躍できるという点ではいいのかなと。メジャーな職業になって、多くの人が声優を目指すようになって、競争率が上がれば上がるほど、いい役者さんが出てくるでしょうし。そういう点では楽しみですね。
──現時点で若手の声優さんが増えてきていることは実感されていますか?
出てきているんでしょうけど、コロナ禍で収録の形態が変わってしまっているので、あまり会えていないのが現状で。そういう意味では、先輩と一緒にアフレコができないという、今の時代の若手の声優さんは大変だろうなと思います。先輩たちのお芝居を聞けない期間がデビューから2〜3年続いているわけですもんね。大変だろうな…。
──梅原さんご自身は、声優のお仕事のどういうところに魅力を感じていらっしゃいますか?
いろいろなところに職場がある感覚というか。その、ある意味気ままな感じがいいなと思いますね。1日でいろいろな現場に行って、その都度人間関係も変わるので、気持ちの軽さみたいなものがあります。
──とはいえ、1日の中でいろいろな役を演じるのは大変ではないのでしょうか?
意外と、スタジオに行って、そこでのメンバーに会うと自然とそのキャラクターになれるんですよ。もちろん立て続けに会ったりして混乱することもありますけど。
■全世界配信が進む日本アニメ。影響に喜び
──「ロマンティック・キラー」はNetflixシリーズとして全世界で配信されます。アニメの市場が世界に広がっていることについて、演じる側としてはどんな思いがありますか?
演じているとき「世界に向けて」ということを意識しているかと聞かれたら、していないのですが、実際にいろいろな作品が海外で人気だという話を聞くと単純にうれしいですね。以前、海外で働いている高校の同級生から、日本のアニメを見て日本語を覚えて、日本企業に就職したいと思っている現地の人がすごく多いという話を聞いたことがあって。その流れでなぜか僕がすごく感謝されまして、役に立っているならよかったなと(笑)。「ロマンティック・キラー」のアフレコ中にも、スタッフさんから、今は世界的にラブコメアニメの人気があるという話を聞きました。確かに韓国ドラマなどではラブコメが人気なイメージはありますけど、アニメでも人気や需要があるというのはうれしいなと思います。
──ラブコメを演じる上ではどういうところに面白さを感じますか?
現実の延長線上にあるところですかね。想像しやすいというか、身近に起こりうるリアル感があって、見ていて共感する部分があるのがラブコメの魅力なのかなと思います。まぁ、「ロマンティック・キラー」は現実からかけ離れた部分もありますが(笑)。
■取材・文/小林千絵
撮影/曽我美芽
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