岡山電気軌道路面電車昭和44年より運行している3000形KURO」(写真はリニューアル後)や超低床式路面電車9000形MONO」、たま駅長のキャラクターをデザインした「たま電車」、東武日光軌道線復元号など多彩な電車が走ります。(写真: きゅーまる / PIXTA)
おススメメニューの「鯛うどん」

岡山市路面電車やバスを運行する岡山電気軌道が、2022年9月に「うどん屋」を開業しました。お店の名前は和歌山電鐵貴志川線の「たま駅長」に由来する「たまうどん」です。なぜ公共交通の事業者が「うどん屋」を始めたのか、美味しさの秘訣は何? 気になることをお尋ねしてみました。

2022年9月23日(金・祝)、武雄温泉長崎駅間を結ぶ「西九州新幹線」の開業とほぼ同時期に、実は岡山でも鉄軌道関係でちょっとした面白い動きが起きていました。両備グループなどが整備を進めてきた複合型商業施設「杜の街グレース」がグランドオープンを迎えたのです。

「杜の街グレース」フードホール

「杜の街グレース」のフードホールは西日本最大級とうたわれており、1階にはチェーン店ではなく地元岡山の名店が入っています。「たまうどん」もその一つですが、実はこのお店、岡山で電車事業やバス事業を営む岡山電気軌道が新規事業として始めたものです。

なぜ路面電車の会社がうどん屋を――?

JR四国グループの「めりけんや」のようにグループ企業が飲食関係の事業を営んだり、逆に関西の水間鉄道のように、うどん屋などのチェーン店を運営する会社(グルメ杵屋)が親会社となるケースもありますが、フードホールに出店しますというのはなかなか聞かない話ではないでしょうか。

実は岡山電気軌道両備グループの一員。コロナ禍で生活様式や働き方も変わるなか、新規事業を検討していたところへ、グループの「杜の街グレース」に飲食を中心としたテナント施設を開業するという話が出てきました。そこで「松田グループプレジデントより、うどん店をやらないかとの話があった」(岡山電気軌道担当者)とのことです。

名前の「たまうどん」は和歌山電鐵貴志川線の世界的なアイドル「たま駅長」に由来します。貴志川線はもともと南海電鉄の路線でしたが、2005年に岡山電気軌道が事業を引き継いだという経緯があり、今では両社とも両備グループの一員という関係です。そう考えると店名にも合点が行きますね。

「たまうどん」の名物?肉球かまぼこ

「たまうどん」ではご覧のような「肉球かまぼこ」も商品化しており、「世界的に有名なたま駅長に新たな商品が岡山からできることにより、岡山の食材をふんだんに使用したうどんを世界中の皆様に食べていただきたい」「将来的に和歌山でも展開できれば」(同担当者)という思いがあるようです。

門外不出の「出汁」を開発、制服などは”水戸岡デザイン”

「たまうどん」のこだわりは「出汁」――オリジナルの門外不出の出汁を開発しており、材料の調合にもこだわりがあると言います。

おススメのメニューは「鯛うどん」だそう。鯛のみの天ぷら3切れ、甘辛く煮た鯛のほぐし身を入れ、手作りの鯛ジュレを出汁とあわせて配合しています。また、岡山県新見市の新見源流米を使用した「炊き込みごはん」が人気で、毎日お買い求めになるお客さんもいらっしゃるとか。

新見の米を使用した炊き込みごはんのおにぎりが人気です

ところで、このお店にはもう一つ鉄道ファン的には見逃せないポイントがあります。実は両備グループのデザイン顧問はあの水戸岡鋭治さん。「たまうどん」では、制服・ロゴ等のデザインも全てお願いしており、清潔感・高級感あふれる店づくりとしているそうです。

岡山の杜の街に突如として現れた「たまうどん」――鉄軌道ファン的にも注目すべきものがいっぱいで面白そう。なお肝心の量については「麺の量も多めで、ご満足いただけるように努めています」とのことで、お腹が空く心配はしなくても良さそうです。

<関連記事>
岡山中心地の新ランドマーク『杜の街グレース』23日グランドオープン!西日本最大級のフードホールが誕生
https://tetsudo-ch.com/12727214.html