不動産投資では、金融機関から不動産投資ローンの融資を受けてマンションなどを購入し、月々の家賃収入から不動産投資ローンを返済します。ローンを少しでも早く完済したい場合、対策の1つとして出てくるのが「繰り上げ返済」ですが、そこにデメリットはないのでしょうか。みていきましょう。

マンション投資における繰り上げ返済とは

「繰り上げ返済」とは、現在借り入れしている不動産投資ローンを前倒しで返済していくことを言います。繰り上げ返済方法は主に2種類あります。

返済方法①:返済額軽減型

「返済額軽減型」は不動産投資ローンを一部繰り上げ返済した後、返済期間はそのままで月々の返済額を減らす方法です。月々の返済額が小さくなるためキャッシュフローの改善を見込めます。

返済方法②:期間短縮型

「期間短縮型」は不動産投資ローンを一部繰り上げ返済した後、その後の月々の返済額は変えず、返済期間を短くする方法です。返済期間が短くなるため、利息の削減効果が大きい返済方法と言えます。

マンション投資で繰り上げ返済するメリット

次に繰り上げ返済のメリットを3点ご紹介します。

繰り上げ返済のメリット① 不動産投資ローンの返済総額を減らすことができる

繰り上げ返済を行うことでローンの元本が小さくなります。金利は元本にかけて算出されるため、最終的に支払う利息分の金額が小さくなるためです。その結果、返済総額を減らすことが可能です。

繰り上げ返済のメリット② 返済期間を短縮できる又は毎月の返済額を減額することができる

ご自身が選択した繰り上げ返済の種類によって、「月々の返済額の軽減」か「返済期間の短縮」のどちらかの効果を得ることができます。

繰り上げ返済のメリット③ 金利変動リスクを低減できる

近年、低金利が続いていましたが、2022年に入ってから金利上昇可能性のニュースをよく見かけるようになりました。金利上昇は変動金利型で不動産投資ローンを組んだ場合に影響が出ます。繰り上げ返済によって、低金利のうちに元金を減らすことができれば、今後金利が上昇したとしてもその影響をできるだけ抑えることができます。

マンション投資で繰り上げ返済するデメリット

繰り上げ返済のデメリットは以下の4点です。

繰り上げ返済のデメリット① 手数料がかかる

不動産投資ローン期間中の繰り上げ返済には手数料がかかるケースがほとんどです。残っている元金に対して数%など、金融機関によって手数料の設定方法が異なるため必ず確認をしましょう。

繰り上げ返済のデメリット⓶ 貯蓄額が減る

繰り上げ返済をすることはある程度の額をまとめて返済することになるため、手元の貯蓄額が減ることを意味します。マンションには経年劣化や天災リスクなど、想定されるリスクがたくさん存在します。中には100万円の出費が発生することも十分に考えられるためリスク対策用のお金は手元に残しておきましょう。また生活面で万が一の事態が起きた場合にも備えておく必要もあります。

繰り上げ返済のデメリット③ 金融機関からの評価

融資を受ける場合、手元資金が多い方が金融機関の評価が高くなります。繰り上げ返済を行うと、前述したとおり貯蓄が減るため、審査が不利になる可能性があります。特に追加でマンション投資を考えている場合は避けるべきです。繰り上げ返済は本当にこのタイミングで実施するべきなのか検討しましょう。

繰り上げ返済のデメリット④ 低金利の場合は効果が少ない

低金利の場合、利息の総額が少ないため繰り上げ返済をしても効果は小さくなります。しかし、メリットでも述べたように金利上昇の兆しも現在あるため、何の対策のために繰り上げ返済を行うのか検討する必要があります。

まとめ

マンション投資の繰り上げ返済は、手持ち資金とのバランスが重要

マンション投資における繰り上げ返済は様々なメリットもありますが、デメリットも存在します。繰り上げ返済を行う上で1番大切なことは、自己資金と繰り上げ返済のバランスです。常にどれくらいの手持ち資金があればマンション投資を問題なく運用できるのか検討し、余裕を持ったマンション投資を行うようにしましょう。

(※写真はイメージです/PIXTA)