ミスコン(※該当記事以外の使用禁止)

「ミス東大」「ミス慶應」──。芸能界や女性アナウンサーの登竜門とされる大学のミス・コンテスト(以下、ミスコン)はいまも影響力が高い。

最近は選考過程にSNSが導入される大学も多いが、このSNSが候補者達を悩ませるものになっているようで…。


■ミスコンの流れは…

ミスコンを学祭の催事として行う大学は多数。特に、東京大学慶應大学立教大学青山学院大学など有名大学は力を入れている。

「ミス東大」「ミス慶應」出身の女子アナや女優も多い。大学によって異なるが、選考過程としては4~6月頃に出場者の募集を行い、7~9月にファイナリストの発表、10~12月の学祭シーズンにグランプリを発表するという流れだ。

ここ数年、昨今のジェンダー平等などの観点から、2020年に上智大学、21年に同志社女子大学でミスコンが中止になるなど変化が見受けられる。とはいえ、いまもミスコンを開催する大学は多い。


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■SNSが主流に

近年は、候補者がツイッターやインスタグラムに投稿したり、YouTubeやSHOWROOMでライブ配信を行い自分をアピールする。学内だけでなく、学外の人にも支持を呼びかけるようになったのだ。

ミス・キャンパス評論家の霜田明寛さんは、2012年ごろからファイナリストがSNSを活用する流れが広がったと話す。

2010年代半ばからSNSで広くアピールできるようになったことで、候補者がSNS上で投票を呼びかけるようになりました。その頃、企業がインフルエンサーに自社の商品をSNSで投稿・宣伝してもらう風潮が始まり、その流れがミスコンにも広がっていきました。ミスコンの知名度もあり、ファイナリストが発表された段階で数千~数万人のフォロワーが付きます。企業側もフォロワー数が多く、安価な値段で引き受けてくれる大学生に目をつけたのかもしれません」(霜田さん)。

■「ミスコンおじさん」からの言葉

ミスコン(※該当記事以外の使用禁止)

ファイナリストに選ばれたらSNSで自分をアピールすることになる。「夏にファイナリストが発表されてから本番までの数ヶ月、毎日が戦いになりつつあります。もちろん義務ではありませんが、ツイッターで反応してくれた人にこまめにリプライしたり、動画やSNSで『○○さん、今日は来てくれてありがとう』と手書きメッセージでお礼を言うなど、細やかなサービスや営業努力も求められている印象です」(前出・霜田さん)。

ネット上ではそんな候補者を応援する声も多く、彼女たちの励みになっていることだろう。だが、ときに候補者を傷つけることもあって…。

「ツイッターのリプライをしないだけで中高年と思われる男性のアカウントから『何で今日は返事がないんだ』『もう投票しない』など、怒られることがあるんです。ときには批判的な言葉を寄せる人もいます。候補者は表立ってそれに対する不満を口にすることはありませんが、終わった後に『大変だった』『やめようかと思った』など苦労を話す人もいますよ」(前出・霜田さん)。

こうしたSNSで”お説教”をする人達はミスコン関係者の間で「ミスコンおじさん」などと称されている。「ミスコンおじさん」の厳しい監視はファイナリストの悩みとなっているようだ。


■「新たな目標を持った学生」

ただ、SNSが主流になったことで、メリットもあるようだ。前出の霜田さんが続ける。

「『フォロワーを増やす』ことを目的にミスコンにエントリーする学生も増えています。芸能界を目指していたり就職活動にいかそうとしているわけでもなく、有名企業に内定が決まっている人もいます。今後の人生でフォロワーが多いほうが得だと考えているのでしょう。もちろん、アナウンサーや芸能界を目指す学生が依然として多いですが、ある種の新しい目標を持つ学生も一定数います。そういった以前とは違うタイプの学生も参加するなど、ここ数年で参加者の裾野は広がっている感覚です」(前出・霜田さん)。

ミスコンは夢を持ったたくさんの学生が集まる。応援する側は、SNSで彼女達を傷つけたり、負担になるような言動は控えてほしい。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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