米フロリダ州にある空き家の前や近くの公園で今年の夏、1か月以上もひとりぼっちで過ごす犬がいた。飼い主は家が差し押さえられたことを機に引っ越して、愛犬を置き去りにしたのだ。飼い主が帰ってくることを信じてやまなかった犬は保護に訪れた人が手を差し伸べても拒み続けたが、不動産業者のスタッフに家の前から追い出されると自身の境遇を悟ったのか、大人しく保護スタッフのもとにやってきたという。『The Dodo』などが伝えている。

米フロリダ州にある民家には約1か月間、人の出入りがなかった。この家を差し押さえられてしまった住人は家を出て行くしか選択肢がなく、飼っていた犬を置き去りにしていった。犬はその後、“サルバトーレ(Salvatore)”と名付けられた。

自分が捨てられてしまったことなど知るはずもないサルバトーレは、家の前に居座って飼い主が帰ってくるのを待ち続けた。来る日も来る日も家の前の庭で待つサルバトーレの姿を見て胸を痛めた近所の人々は、「2人の子どもがいたあの家族にとって、良いペットでしたよ」と以前のサルバトーレの様子を明かした。

この話を聞きつけた地元で犬の保護活動を行っているグロリア・キャバルさん(Gloria Cabal)は、食べ物やおやつを持ってきてサルバトーレを保護しようと試みた。しかしサルバトーレは元の飼い主への思いが断ち切れないようで、約2週間が経っても家の前から動こうとしなかった。

しかしついに不動産業者がやってきて、サルバトーレは家の前から近くの公園へ追い出されてしまったのだ。そんなサルバトーレは大好きな飼い主に捨てられてしまったと悟ったのか、グロリアさんのもとへ近づいてくるようになった。そしてグロリアさんは初めてサルバトーレを見かけてから1か月以上が経った8月中旬、フロリダ州を拠点にする犬の保護団体「Everglades Angels Dog Rescue」へサルバトーレを引き渡した。

同団体のメンバーであるデニス・ゲバラさん(Denise Guevara)は「サルバトーレは獰猛でなく攻撃的な様子もありませんでしたが、自分の家を守ろうとしていたのです」とサルバトーレが長い間家の前に居続けた理由を明かした。保護当時の写真には家の前に座り込み、眉間にしわを寄せて悲しそうな顔をするサルバトーレの姿が写っている。しかし保護された後の写真にはお腹を見せてスタッフに甘える姿があり、サルバトーレはすぐにスタッフたちに懐いたという。「サルバトーレは本当に、本当にかわいい子ですよ」と話すデニスさんは、これほど人が好きなのにもかかわらず捨てられてしまったことに心を痛めた。

サルバトーレについて同団体がFacebookに投稿すると多くの関心が集まり、サルバトーレの健康状態や里親探しの進捗について知りたいという声が相次ぐほどだった。ネット上からは「愛犬を捨てるなんて一生理解できない」「こんなことをする人には二度と犬を飼ってほしくない」「犬は人間よりも忠誠心が高いよ」「こんな悲しそうな目をしているんだから、この犬は捨てられたことに気付いていたかもね」など怒りや悲しみの声が多数届いた。

なお同団体で約2か月を過ごしたサルバトーレだが里親に名乗り出る声があがり、今月16日に引き渡されて新しい家族との幸せな時間を過ごしている。

ちなみに少し前には、引っ越しで置き去りにされた犬が空き家で2週間も飼い主を待ち続けていた。保護の様子を捉えた動画には犬の悲し気な表情が捉えられており、心を痛める声が相次いでいた。

画像は『The Dodo 2022年10月14日付「Loyal Dog Stands Guard For Over A Month Outside Home Where He Last Saw His Family」(EVERGLADES ANGELS DOG RESCUE)』『Everglades Angels Dog Rescue 2022年9月23日付Facebook「How could someone leave this boy behind?」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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