ブラジルのサンパウロ州で先月25日、靴の中に潜んでいたサソリに刺されて7歳男児が死亡した。森林破壊が進むブラジルでは近年、サソリによる被害が急増しているという。『The Mirror』などが伝えている。

サンパウロ州アニェンビに住むルイス・ミゲルファルタード・バルボーサ君(Luiz Miguel Furtado Barbosa、7)が10月25日南アメリカに生息するサソリの中で最も強い毒を持つと言われる「ブラジリアン・イエロー・スコーピオン(Tityus serrulatus)」に刺されて死亡した。

ルイス君はその2日前の23日、両親や弟ジョアンフェリペ君(Joao Felipe、5)と一緒にキャンプに出掛けるための準備をしていたそうで、母アンジェリータ・プロエンサ・ファルダードさん(Angelita Proenca Furtado、44)は当時のことをこう振り返る。

「靴を履いたすぐ後のことでした。ルイスが足の痛みを訴えて泣き叫び始めたのです。」

「最初は何に刺されたのか分かりませんでしたが、足が赤くなり、『どんどん痛みが増している』と言う息子を見て、『これはサソリだ』とピンときました。種類を特定するためにも、私たちはサソリを見つけ出す必要がありました。」

一家はその後、家の中で猛毒のブラジリアン・イエロー・スコーピオンを発見、アンジェリータさんとルイス君の父エラルド・バルボーサさん(Eraldo Barbosa)は息子を連れてサンパウロ市内の病院に駆け込んだ。

こうして小児病棟で一晩を過ごしたルイス君は翌24日、回復の兆しが見られ、医師はそれまで与えていた薬を減らして様子をみた。

アンジェリータさんは「サソリに刺された翌日、ルイスは目を開け、私に何かを話そうとしていました。私は息子にキスをして返しましたが、かなり興奮しているようだったので再び鎮静剤が与えられ眠らされたのです」と振り返り、肩を落としてこう続けた。

「その翌日の25日のことでした。ルイスの体調は急激に悪化し、7回の心臓発作を起こした後に亡くなったのです。」

「ルイスは水遊びが大好きでキャンプに行くのを楽しみにしていたのに…残念で仕方ありません。」

アンジェリータさんは7歳で亡くなったルイス君のことを「いつも生き急いでいたような子だった」と回顧しており、「今後はルイスの分までジョアンに尽くしていきたいと思っています」と涙ながらに語った。

なおチエテ川沿いで広大な森林地帯の近くに位置するアニェンビの自治体では、サソリに刺される事故は珍しくなく、今年だけで54件の被害が報告されている。

またブラジル全体でも、サソリがそれまで生息していたサバンナから餌となるゴキブリが豊富な都市部に侵入した結果、サソリに刺される事故は2007年の37000件が、2017年には126000件にまで増えている。さらにサソリによる死者数も2013年の70件が、2017年には184件にまで増加している。

ちなみにブラジリアン・イエロー・スコーピオンは体長5~6センチと小型ながら、単為生殖で雌のみで繁殖が可能なうえ猛毒を持つ。小さな子供や高齢者が刺された場合は一刻も早い抗血清治療が必要だという。

画像は『Metro 2022年11月1日付「Boy suffers seven heart attacks and dies after being stung by scorpion」(Picture: Newsflash)』『The Mirror 2022年11月1日付「Boy, 7, dies after seven heart attacks when stung by scorpion while putting on shoes」(Image: Newsflash)』『The Guardian 2018年7月15日付「Scorpion deaths on rise in Brazil as arachnid adapts to urban life」(Photograph: Rogério Bertani)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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