くまやウサギ、ねこやたぬきなどの可愛い動物たちが暮らす平和な世界「ぷにぷにらんど」。そこに突如現れたのは、手負いの大柄な男。彼らの噛み合わないやりとりを描いたあおきいっぺい。(@ippei_001)さんの「ぷにぷにらんど」がTwitterで5.2万のいいねを集め、話題となっている。本作は小学館の「ゲッサン」に掲載された作品。悪を知らないピュアな動物たちと殺意の高い男、という対極の組み合わせの感覚の違いが面白い。

【漫画】「ぷにぷにらんど」を読む

■愛らしい動物たちが平和に暮らす世界に突然現れた男

森で鬼ごっこをしている動物たち。じゃんけんでたぬきくんの鬼が決まり、一斉に「逃げろー!」と走り出す。そこに突然「血」のようなものを発見!「なんだこれぴょん?」と血痕を辿ってみると、木のそばで大柄な男が倒れていた。

倒れている男は傷を負い、手負いの獣のように殺気立っていた。「殺されたくなきゃ俺の前に立つな!!」と、殺意を剥き出しに動物たちを脅す。しかし、動物たちは「殺す」という意味がわかないのか、ポカン。なぜなら、ここは平和な世界「ぷにぷにらんど」。男の罵声とは反対に動物たちは「なんでけちゃっぷごっこしてるの?」と男に問いかける。

殺気立つ男は、動物たちの噛み合わない会話に苛立ちを覚え「遊んでる暇はねぇんだよ!」と、近くにいたウサギを握り潰す。ウサギは「ほぎゃ!」という鳴き声と共に、網から飛び出したスライムのように体が変形してしまった!!

衝撃的な展開はさらに続き、男が手を放すとなぜか「ぷるるんっ!」とウサギの体は元に戻る。愛らしく平和な世界「ぷにぷにらんど」の住人たちは、スライムのようなぷにぷにした体をしていたのだった。

悪が通用しないピュアな世界に「可愛い」「続きが見たい」と、大きな反響を集めている本作。作者のあおきいっぺい。さんに感想を訊いてみると「過去一伸びた作品なのでめちゃくちゃ意外でした(笑)。ですが、多くの方に読んでいただけて嬉しかったです」と答えてくれた。

また、本作でこだわったポイントを伺うと「動物と人間にはっきり差が出るように作画した」という。なるほど、動物たちは癒やされるほど愛くるしい表情をしており、殺気立っていて怒りをあらわにする男との対比が際立つ。

また、今まで描いてきた作品と作風を変えたところを訊いてみると「しょうもなさと言うか、アホっぽさが前面に出るようにしました(笑)」とのこと。「血痕」を見て「けちゃっぷごっこ」という発想や最後には男を鬼ごっこに誘うなど、天然なアホっぽさが出ていて面白い。

悪意を知らないピュアな世界――。スライムのようなぷにぷにボディで楽しいことを追求する住人たちは、本当に「最強」なのかもしれない。

■取材協力:あおきいっぺい。(@ippei_001)

ウサギが握りつぶされた!?/画像提供:あおきいっぺい。(@ippei_001)