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 オリックス吉田正尚外野手11月2日ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦の意思を自らの言葉で公表した。球団側と申請の可否について、近日中に話し合うという。

 吉田正メジャー挑戦について「自分の夢としてずっとあった。チャレンジしたい。球団には今の気持ちを正直に話そうと思う」と語った。オリックスリーグ連覇、そして26年ぶり5度目の日本一に導いた主砲。球団にしてみれば流出は避けたいところだが、条件次第では容認する構えを見せているという。

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 どういうことなのか。かつてはポスティングという名前の通り、メジャー挑戦を表明した選手に対して獲得を希望するメジャー球団が非公表で落札額を設定して入札。そのうち最も高額の入札をしていた球団が独占交渉権を得られていた。

 だが入札額の高騰を招いたことから、その後ポスティングシステム自体が改変を重ね、現在では獲得を希望する全球団との交渉が可能となっている。その上で、所属元球団に支払われる譲渡金は、選手の契約総額に応じて決まってくる。

 現在のルールでは、契約金、年俸などの総額の2500万ドルまでの部分に20%、2500万ドルから5000万ドルまでに17・5%、5000ドルを超えた分に15%をかけた額を足して、譲渡金額とする。

 すなわち、一度ポスティングにかけて交渉のウインドゥは開くが、満足のいく契約総額に達しない場合には応じない、というスタンスだ。

 近年でも、日本ハムからポスティングされた西川遥輝や、広島からポスティングされた菊池涼介ら、満足いくメジャー契約の提示を得られず、マイナー契約は断って国内残留した選手たちは少なくない。巨人・菅野智之は複数年のメジャー契約を提示されたが、それを不服として残留。かつては楽天・岩隈久志や、西武・中島宏之らも同じくポスティングでの移籍を、契約内容によって拒否したことがある。

 吉田正は来季中に30歳を迎える。米球界に挑戦する野手の年齢としては決して若くはなく、ギリギリのタイミング。元々、外野の守備や走塁の評価は高くない。打撃に関しては昨年まで2年連続首位打者で、今季もリーグ2位と、今がキャリアハイとも言える状態にあるが、メジャー球団がどこまでの評価を下してくるのか、未知数の部分ではある。

 ポスティング移籍に関しては「譲渡金」として古巣に恩恵を残すことができる点が利点とも言え、吉田正自身もマイナー契約や、少額のメジャー契約ではオリックスのことも考えて移籍を決断しづらいだろう。

 ポスティングの申請期限は12月15日まで。全30球団に通知されてから、45日間の交渉期間が与えられる。「球団の編成とかもあるし、年内に収まればと考えている」と時期的なことにも言及した吉田正。新天地はメジャーか、はたまた残留して2年連続日本一を目指すのか。目が離せない今オフとなる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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