明治安田生命J1リーグ最終節が5日に行われ、首位横浜F・マリノスは敵地でヴィッセル神戸、2位川崎フロンターレは敵地でFC東京と対戦した。

 横浜FM川崎Fは前節ともに勝利を挙げ、両者の勝ち点差「2」で最終節に突入した。得失点差で大きくリードする横浜FMは、実質引き分け以上で3年ぶりの優勝が決定。川崎Fは“多摩川クラシコ”での勝利、および横浜FMの敗戦が3連覇の条件となった。

ヴィッセル神戸 1-3 横浜F・マリノス

 横浜FMは7分、岩田智輝のミドルシュートが右ポストを叩くと、こぼれ球に水沼宏太が反応。当たり損ねのシュートは相手GK坪井湧也に防がれるが、さらに詰めたアンデルソン・ロペスがゴールへとねじ込んだ。しかし、VARによるレビューの結果、A・ロペスと坪井の競り合いでファウルを取られ、先制点は認められなかった。

 それでも、横浜FMは26分に正真正銘の先制点を獲得する。右サイドから水沼がボックス中央へと落ちるクロスを供給。対応した相手DF菊池流帆のクリアが短くなると、こぼれ球に反応したエウベルがヘディングシュートを放つ。山なりのボールは前に出ていた相手GK坪井の頭上を越え、ゴールに吸い込まれた。

 徐々に横浜FMが主導権を握るが、神戸は前半終了間際にワンチャンスをものにして試合を振り出しに戻す。右サイドから酒井高徳が左足でゴールに向かうクロスを供給。ボックス中央の武藤嘉紀が頭ですらしてゴールに流し込んだ。試合は1-1で折り返す。

 53分、横浜FMが再び前に出る。左サイドの深い位置でフリーキックを獲得すると、キッカーの水沼はゴールへ向かう低く鋭いシュート性のボールを供給。相手GK坪井がファンブルすると、こぼれ球を西村拓真が押し込んだ。

 そして73分、横浜FMが大きな1点を獲得する。エドゥアルドが自陣からロングボールを前方に放り込み、相手に競り勝ったA・ロペスのヘディングに水沼が抜け出す。ペナルティエリア右まで運んでから折り返し、最後はファーサイドからボックス中央に飛び込んだ仲川輝人が合わせてゴールネットを揺らした。

 最後まで攻め手を緩めなかった横浜FMは3-1で勝利し、3シーズンぶり5度目となるリーグ優勝を達成した。

FC東京 2-3 川崎フロンターレ

 “多摩川クラシコ”では19分に川崎Fが先制に成功する。マルシーニョが左サイドで相手を引きつけてから、ペナルティエリア手前、中央へとグラウンダーで折り返す。ボールを受けた脇坂泰斗はトラップを挟んでから右足を振り抜き、鋭いミドルシュートをゴール右下へと突き刺した。

 追いかける展開となったFC東京は29分、塚川孝輝が自陣でボールを奪い、絶妙のスルーパスを前方へ供給。アダイウトンが抜け出すと、飛び出してきた川崎FのGKチョン・ソンリョンにボックスの外で倒される。チョン・ソンリョンは一発レッドカードで退場となり、川崎Fは残り時間を数的不利で戦うことになった。その後は数的有利のFC東京が押し込んだものの、川崎Fが耐え凌いで1点リードで折り返す。

 次の1点が生まれたのは後半開始早々の47分、FC東京が追いつく。中村帆高が右サイドから送ったクロスがゴール前に混乱をもたらし、最後はアダイウトンが右足で押し込んだ。

 すると61分、劣勢だった川崎Fが相手のミスを突いて勝ち越しに成功する。橘田健人が深い位置でプレスをかけると、ボールコントロールに失敗した相手DF森重真人からボールを奪取。すかさずボックス中央へとグラウンダーで折り返し、マルシーニョが合わせてゴールネットを揺らした。

 74分、FC東京が再び試合を振り出しに戻す。右サイドから紺野和也が浮き球をボックス内に供給。ファーポストの奥で渡邊凌磨が折り返し、アダイウトンがヘディングで押し込んだ。しかし、その1分後、川崎Fが再び勝ち越す。左から車屋紳太郎が鋭いクロスを送ると、渡邊のオウンゴールを誘った。

 川崎Fは数的不利ながら3-2で勝利したものの、シャーレには届かず。2007年〜2009年の鹿島アントラーズ以来、史上2クラブ目の3連覇とはならなかった。

横浜FMが2022シーズンのJ1リーグを制した [写真]=J.LEAGUE via Getty Images