学力が足りていない人は「基礎から勉強しない」と教えられたその「基礎」さえ分かりません。どんな勉強をすれば基礎が身につくかも分かっていません。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

多浪生にありがちな効率の悪い勉強法

▶「勉強の考え方」「基礎」がわからないことがわかっていない/重要度★★★★★

学力が足りていない人は「基礎から勉強しなさい」と教えられがちです。しかし本当に話にならない学力の人はその「基礎」さえもわからないし、どんな勉強をすれば基礎が身につくのかもわかっていません。

私がそうでした。これが指導者と、学力が低い生徒の間で起こる認識の差、「溝」です。その「基礎」を身につけるためには、一般的な勉強法を知り、その上で自分に合ったやり方を見つける必要があります。

実際に、偏差値の低い高校から4浪・5浪と浪人を重ねて難関大学に入った私の知人は、その浪数を重ねた原因に「勉強法の確立の失敗」を挙げることがよくあります。

私のように辞書を丸暗記しようとしていたり、同じ参考書を60周したりとまではいかなくとも、話を聞く限りでは皆効率の悪い勉強をしています。

まずは難関大学に入るノウハウを持っている個別指導塾などに入り、指導を受けたほうがいいでしょう。

ただし、中には塾や予備校に入るお金がない……という方もいるでしょう。ノウハウも得られずに無駄な勉強をせざるを得ない……そう思うかもしれません。

そこで各YouTubeチャンネルで公開されている「参考書ルート」を見てみましょう。

今、ネット上には受験に関するコンテンツが氾濫しており、信憑性に欠けるような情報も多いです。ただ、塾や予備校などのその手のプロが紹介する参考書ルートは私が予備校で実践していたものと近く、無料でも精度が高く、参考にできると思います。

大勢の人が実践するであろう、その方法でまずは学力を底上げし、単元を8〜9割くらい理解できるようになったら、そこからもうひと伸びするために独自の勉強法を模索していきましょう。

勉強の効率を悪くする行きすぎた節約

▶「文房具」「勉強の友達」にお金を惜しむ/重要度★★★☆☆

「ボールはともだち こわくないよ」

日本のサッカー人気に火をつけた不朽の名作、『キャプテン翼』で、主人公の翼がボールを怖がるゴールキーパーの森崎に向けて言う名ゼリフですが、これは勉強において一番長い時間を共に過ごす友達、文房具についても同じことが言えます。

  私みたいな貧乏家庭で育つと、何でも節約して使おうと思うようになります。

ノートは1行空けず詰めて書きますし、蛍光ペンはもったいないから買わずに全て赤ペンで線を引き、シャーペンは芯が短くなって他の芯で押し出す形になっても使っていました。

芯も忘れてきたフリをしていつも隣の人に分けてもらっていましたし、ノートやルーズリーフにお金を払うことさえためらう時期もあったので、塾に置いてある大量の裏紙をバッグにいっぱい入れておき、いつでも取り出して演習できるようにもしていました。

でも、それを続けたところで、1年間で節約できる金額などほんの数千円程度。コストカットを意識するあまり効率を悪くしたり、気分よく勉強をする環境を整えたりするのを怠っているのは問題です。私はそんな本質を見ることができないダメ浪人生でした。

取ったノートを見直すときは1行ずつ空けて書いたほうが後で見直しやすいですし、現代文はさまざまな種類の蛍光ペンを使って対応箇所を照らし合わせることで文意を掴んだり要約したりする練習になりますし、シャーペンに新しい芯を入れることで細くてくっきりとした字が書けます。

受験に失敗すると、時間の浪費もさることながら、文房具に使う出費の数十倍のお金を飛ばすことになります。勉強の効率を最大化するためには、道具にお金を惜しまないようにしましょう。  

濱井 正吾 9浪はまい

(※写真はイメージです/PIXTA)