⼆宮和也主演の映画『TANG タング』が、2023年1⽉6⽇(⾦)にブルーレイ&DVD発売、レンタル開始される。発売に先駆け、原作者のデボラインストールと三⽊孝浩監督のインタビューが到着。二宮とタングの関係性や繰り返し観てほしいポイントなどを語った。

本作は、シリーズ累計発⾏部数38万部超のベストセラー⼩説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』を、⽇本版のアレンジを加えて実写化した感動アドベンチャー。⼆宮をはじめ、満島ひかり、市川実⽇⼦、⼩⼿伸也、奈緒、京本⼤我(SixTONES)、⼭内健司・濱家隆⼀(かまいたち)など豪華俳優陣が出演し、ゲーム三昧で妻に家を追い出されたダメ男・春⽇井健と、記憶をなくした迷⼦のロボット・タングの“ポンコツ同⼠の絆”が描かれる。

この度、デボラインストールと三⽊監督のインタビューが実現。役者としての二宮の素晴らしさや現場でのあり方、作品に詰め込まれたハリウッド映画へのオマージュなど、貴重な話が盛りだくさんのインタビューとなった。

「成長過程の演じ分けが素晴らしかった」

三木孝浩監督、デボラインストール

──原作から⽇本版にアレンジする際に、原作のこの精神を⼤事にしよう、ここは変えてはいけない、逆にここはこうアレンジをしてみた、といった点はありますか?

三⽊監督 ⼀番⼤事にしたところはやはり、健(原作ではベン)がいかに物語の中で成⻑していくかという部分ですね。タングというのはロボットですけど、僕的には疑似親⼦でもあり、バディでもある。そんなふたりの関係性がより深まっていくさまを描きたかったんです。

タングとの出会いによって、健がいかにして⾃分の⼼の傷を乗り越えて、前に進んでいくのか。そこまでの物語を⼤事にしたいなと思いました。

それと⽇本に置き換えるときに、彼らはどこを旅したらいいかなと考えたのですが、⽇本には福岡や宮古島といった素敵な場所があるじゃないかと思い、目で楽しめる場所というのを意識しながら、⽇本オリジナルの部分を作っていきました。

──デボラさんが気に⼊った部分はどこですか?

デボラ コーヒーのシーンですね。私は本当にあのシーンが⼤好き。⾃分でも書いておけばよかったなと思ったくらいです(笑)。

──⼆宮さんが演じた健はいかがでしたか?

デボラ ⼆宮さんは本当に素晴らしかった。健というキャラクターをしっかりと捉えてくださったなと思っています。最初、観客は健にフラストレーションを感じてイラッとしてしまいますよね。それで妻の絵美の我慢が限界に達していることが本当によく分かる。⼆宮さんの演技はそれくらい上⼿い。

でもそこから健は成⻑して、物語の最後に向かうにつれて徐々に変わっていくんですよね。そしてその変わった健を絵美が受け⼊れたいと思うようになる。本当に健が変わったんだなと感じられるような、その過程の演じ分けが素晴らしかったですね。

『TANG タング』

──⽇本版だと、健と絵美の関係性がもう少し柔らかい感じに描かれていたかと思うのですが、そのあたりはどうご覧になりましたか?

デボラ それは確かに私もそう感じていました。とにかく原作のベンには本当に私もフラストレーションを感じさせられていましたから(笑)。

ただ、今はもうシリーズを5冊書き終わって、6冊目に取りかかっているところなのですが、その過程で私も、どうしてベンがそんな感じになってしまったのか理解できるようになってきました。だから昔ほどベンに対してフラストレーションを感じなくはなってきました(笑)。

でもこの映画における健と絵美の関係を⾒ていると、最後まで別れるところまではいかないだろうなと思わせてくれましたし、実際にやっぱりそうならなくて良かったなと思って。とても安⼼しました。

三⽊監督 やはり⼤槻凛(原作ではリジー)とのロマンスがなくなったからですかね?(笑)

デボラ そうかもしれませんね(笑)。

──現場の撮影風景はどのような様⼦だったのでしょうか?

三⽊監督 ⼀応(タングの)モデルがあるのですが、実際にはほぼ3DCGでフリーなので、役者はみんな本番になると、何もいないところに向かってずっとお芝居をしなきゃいけない。その動きを共有するところがすごく⼤変でした。僕らよりも役者が⼀番⼤変だったと思うんですけど。

だから今回は初めて、映画の全カットの絵コンテを書いて、みんなのイメージを揃えていくということをやってみました。

──⼆宮さんの現場でのあり⽅などはいかがでした?

三⽊監督 僕らはその場にないものを相⼿にしなきゃいけないのは⼤変だなと思っていたんですけど、⼆宮さんはむしろ⼈間とやるよりもやりやすいとインタビューでもおっしゃっていて、それがすごく⾯⽩かったですね。

──それは想像⼒が豊かだということでしょうか?

三⽊監督 そうですね。⾃分で想像した通りにやれば、後でそれに合わせて動かしてくれるからと⾔って(笑)。だからリアルな⼈間の役者とやるよりもやりやすいとおっしゃっていましたね。

デボラ それは理解できますね。

健とタングの関係性は「思い描いていた関係そのもの」

『TANG タング』

──デボラさんから⾒て、⼆宮さんの健と、タングとのやりとりはどう映りましたか?

デボラ 本当にこのふたりの関係性は、私が思い描いていた関係そのものだったと思っています。⽇本版のサブタイトルには「君とならきっと⼤丈夫」とありますが、本当にこの⾔葉通りの関係性がタングと健とのやりとりから伝わってきました。

──原作を拝⾒すると、⽇本の描写も非常に細かく書かれてあって、デボラさんはだいぶ⽇本のことがお好きなのかなと思ったのですが。⽇本から影響を受けた作品などはありますか?

デボラ やはり⽇本の芸術とかアートといったものにはかなり影響を受けています。私の夫も⽇本好きで、新婚旅⾏でも⽇本に来ています。とにかくふたりとも⽇本のテレビや映画をたくさん観ているんです。⿊澤明の映画も好きですね。

それから、『深夜⾷堂』も好きですし、わたしの夫は『孤独のグルメ』を気に⼊っています。仕事を終えた男がいろいろなところに⾏って⾷べるというところが⾯⽩いと⾔っていますね。

そしてスタジオジブリですよね。私が⽇本の⽂化に親しむようになった最初の頃には、『千と千尋の神隠し』など、ジブリ作品をたくさん観ていました。今は息⼦もトトロが⼤好きなんですよ。

──原作のあと書きに、(執筆当時は)タングは息⼦さんを参考にしたとあったのですが、今はいかがですか? キャラクターとしてはタングに近いとか、ベンに近いといった部分はあるのでしょうか?

デボラ うちの息⼦は今、ものすごくタングに似ています(笑)。タングというキャラクターを⽣み出したときは、まだ息⼦はとても⼩さな⾚ちゃんだったんですけど、今はタングに似てきてしまった。ということは、期せずして私がそういう風に育ててしまったのかしらと思ってしまうのですが(笑)。

⼀⽅、ベンはわたしに似ているところもあって。エイミーもそうですね。両⽅の要素がわたしの中にあるのかなと思います。

──ブルーレイ、DVDで繰り返し観ると⾯⽩い部分など、こだわりのポイントを教えてください。

三⽊監督 健とタング、ふたりの距離感ですよね。そこが最初と最後でどう変わるのか。そこはセリフだけじゃなく、歩くスピードだったり、歩幅だったりと、どうふたりが寄り添っているかで、その関係性の変化を描いたので、そこをぜひ⾒ていただきたいです。

あとは僕の好きな80年〜90年代ハリウッド映画のオマージュがいっぱい詰めこまれています。最初の街並はちょっと『シザーハンズ』っぽいですよね。

デボラ そうだったんですね(笑)。私も80年代の映画をいろいろと観ていて。『ショート・サーキット』や、そして『スター・ウォーズ』シリーズのR2-D2といったロボットは無意識のうちに私に影響を与えたと思っています。

例えば『ターミネーター』シリーズなど、ロボットが描かれている映画ってなぜか⼈間と敵対するものが多いんですよ。⼈がロボットに対してひどいことをして、それに対してロボットが⽴ち上がって、⼈を殺してしまうといった、そんな話が多くて。

そういった話を観ると、どこにハッピーなロボットがいるのかと思ってしまうんです。わたしは怒りに満ちた物語でなく、もっといい関係を持てるような、幸せなロボットを描きたいなと思って書いています。

『TANG タング』ジャケット写真

──最後にブルーレイ、DVDで本作をご覧になる⽅へメッセージをお願いします。

デボラ もう既に映画を観てからブルーレイ、DVDをご覧になる⽅は、素晴らしい映画であるということが分かった上であらためて観るんだと思います。映画をまだ観ていない⽅は、まさにこれから素晴らしい映画を観ることになるんですね。いずれにしても楽しんでもらいたいですし、そして最後には健とタングを⼤好きになってほしいなと思います。

三⽊監督 作品のテーマ⾃体は普遍的だと思っています。例えば⾃分に子供ができたときに子供に観せたり、また子供に観せたりと。それこそ、デボラさんが息⼦さんにトトロを観せたという感じで、愛され続ける作品になってほしいなと思います。

デボラ そうなれば本当にうれしいですね(笑)。

『TANG タング』
2023年1⽉6⽇(⾦)デジタルレンタル開始、ブルーレイ&DVD発売
【初回仕様】ブルーレイ プレミアム・エディション(2枚組):7,990円(税込)
【初回仕様】DVD プレミアム・エディション(2枚組):6,980円(税込)
DVD:4,980円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサルエンターテイメント

公式サイトはこちら

Based on “A ROBOT IN THE GARDEN” by Deborah Install Copyright © 2015 by Deborah Install Licensed by Deborah Install c/o Andrew Nurnberg Associates, London through Tuttle-Mori Agency, Inc. ,Tokyo
©2022 映画「TANG」製作委員会

三木孝浩監督、デボラ・インストール氏