昨日6日、乃木坂46の冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)の中で、31枚目シングルの表題曲『ここにはないもの』の選抜メンバーが発表された。林瑠奈の初選抜、阪口珠美の8作ぶりの選抜復帰、さらにはしばらく活動休止していた早川聖来の復帰など何かと話題の豊富なフォーメーションの中、30枚目シングル『好きというのはロックだぜ!』に引き続き選抜に選ばれたのが弓木奈於だった。

異色の立ち位置

そんな弓木の立ち位置は乃木坂の中で異色ではある。ルックスや歌唱力、ダンスと、様々なパフォーマンスに秀でているメンバーは多くいるが、彼女の場合は、そんなアイドルに求められる要素とは別に、バラエティという戦場で、自分の“椅子”を手に入れて来た。

同6日放送の同番組の本編は、「目指せ大女優!乃木ザカデミー賞」完結編。アドリブの演技力が試される様々なお題の一人芝居に挑戦するという企画だった。そこで課せられたテーマが、「ゾンビから親友と逃走中、自分も噛まれていたら?」というものだった。

ゾンビに襲われて……

奇想天外な設定で、他のメンバーが鬼気迫る演技を披露する中、弓木はあえて型を崩す。教室に親友と一緒に逃げ込み、中から鍵をかけ、ゾンビからの追跡を逃れたのも束の間、腕に痛みを感じた彼女は「ごめん、私、噛まれたかも……」と、親友に詫びる。

ところがその直後、突然「シャー!」と叫びながら両手を挙げ、親友に襲い掛かろうとする。つまり、ゾンビの血が自分にも入ってきていることを表現したのだ。その豹変に、映像をスタジオで見ていたメンバーは大爆笑。弓木はその後も、「今まで一緒にいてくれて……シャー!」と、自分の中に目覚めてしまうゾンビを繰り返し体現していた。
 
VTRを終えた後、バナナマン設楽統が「弓木ヤバイな」といさめると、彼女は「良かったですよね?」と反論しつつ、「三日三晩考えて持ってきたネタで……」と語り、笑いを誘っていた。

貫くスタイル

そこから見えてくるのは、他のメンバーと直接対峙しても、正攻法ではかなわないと、自分なりの道を必死に試行錯誤している姿だ。それは時に「アイドルらしくない」「やりすぎている」など賛否を呼ぶが、批判や誤解を覚悟しながら貫き通すスタイルは、まさに清々しい。

だが、そうした自分の中にある独特な思考は、グループへの加入当初は、年下のメンバーが多い中で随分おさえていたようだ。彼女の単独の冠番組『乃木坂46弓木奈於とやみつきちゃん』(ひかりTV)では、少女時代、周りから「変な子」と言われていた過去を語っていたが、芸能界では往々にして、コンプレックスが武器となる。

選抜を目指す理由

 そんな彼女が選抜を目指す理由は一体何だろうか? それは、初めて選抜メンバーに選ばれた時に、涙ながらに語っていた。

「選抜さんは私にとって憧れだったし、目標にさせていただいていて、おばあちゃんとかお母さんにも“選抜に入りたい”って言ってたんですけど、いざ目の前にすると、不安でいっぱいで。私は何もできていないから、選抜に入ってどう思われるんだろうとか、先輩方に迷惑をかけないかなとか、考えてしまうんですけど、人よりもできない分いっぱい頑張って、ファンの方が“応援していてよかったな”と思ってもらえるようになりたいです」(『乃木坂工事中7月17日放送)

弓木が乃木坂に憧れたのは、中学の頃だったそうだ。大好きなグループでの自己実現も当然あろうが、故郷・京都の祖母や母親に自分の活躍する姿を見せてあげたいという「親孝行」のために日々頑張っているとしたら、それほど、けなげなことはない。

グループに正式加入直後、コロナ禍に襲われた空白期間。手暗がりの中で、もがき続けてきた彼女のたゆまぬ努力は、きっといつか、大きな実を結ぶに違いない。

【公式】「乃木坂工事中」# 385「目指せ大女優!乃木ザカデミー賞③」2022.11.06 OA(YouTube)
https://youtu.be/6QKGpLPdJ9E

(執筆者: genkanaketara)

乃木坂46・弓木奈於 「変な子」と言われてきた彼女がつかんだ2度目の「選抜さん」の夢