4か月連続でのメンバーソロ写真集企画を実施中の、“デジタルネイティブ世代アイドル”わーすた。第1弾に廣川奈々聖、第2弾に松田美里の写真集が発売され、好評を博している。


ソロでの写真集を出すのは初めてであった廣川と松田。どちらの写真集にも、2021年末のメンバー卒業を経て、新体制で活動を続けてきた彼女たちの可愛らしさと、大人びた表情が収められている。


廣川の1st写真集『なちゅらる』、松田の1st写真集『となりがいい』(いずれも主婦の友社刊)の撮影エピソードや当時の心境を聞くと共に、グループの変化を乗り越えてきた現在の思いを語ってもらった。


──まずは、わーすたの4か月連続ソロ写真集という企画を聞いた時の心境を聞かせてください。

松田

嬉しかったです。写真集のお話をいただく前から、今年はメンバーたちの表情を見ていて「大人になったな」と感じていたんです。これまでのわーすたとしての活動の中でも特に、メンバーそれぞれが新しい表情を持てるようになったというか、ライブの時も「みんな格好良くなったな」と個人的に思っていたので、写真集を出すと聞いて、私も知らないようなメンバーの新しい表情が見られるのかなと、すごくドキドキしました。

ライブ中の表情から感じる力強さ、心強さもそうですし、美容の面なんかでも、メンバーに対して憧れに近いような目で見れる瞬間もあると思っていたので、写真集はすごく楽しみでした。


廣川

メンバーの三品瑠香は写真集を出したことがあるんですが、それ以外のメンバーは、グループでしか写真集を出したことがなかったんです。でもたぶん、ソロで出したいという思いはそれぞれあったんですよね。でも、美里も言ったようにメンバーが日々可愛くなっていく中で、常に可愛い人たちに囲まれて活動していると、自分に自信がなくなることもあるんです。


──そんな風に思うことがあるんですね。

廣川

メンバーには「みんな可愛すぎて不安だよ」とは言わないですけど、みんなが可愛すぎて「自分が、自分が」とはならないんです。でも写真集を出したい気持ちはあったので、今回のようにそれぞれが出せることは、「1st写真集がこういう形ですごく嬉しい」と思いました。

今年はメンバーが5人から4人になって、体制も、いろんなことも目まぐるしく変わったんです。そんな中でメンバーそれぞれの内面が大人になって、それに伴って、外見も大人っぽく、可愛くなっていく、すごくいいタイミングでの写真集になったんじゃないかなと思います。


──廣川さんの写真集『なちゅらる』は、沖縄で撮影されたいうことですが、なぜ沖縄に?

廣川

シンプルに私が沖縄で撮りたいという、それだけの気持ちです(笑)。

私は冬よりも夏が好きなので、夏らしい写真を撮れる沖縄は最高でした。開放的な雰囲気だったので、自然に囲まれて色々な表情を出せたと思います。撮影の初日に世界遺産の中城城跡というところへ行ったんですが、本当にすごく壮大な景色で、日本じゃないみたいでした。これまでもお仕事で沖縄に行く機会はあったんですが、自分1人の撮影のためだけに行くことはありませんでした。

3日間、自分だけを撮られ続けるというのは今までなかったので、最初はちょっとドキドキしましたけど、気持ちが良かったです。


──雨予報だったのに、廣川さんのパワーで晴れさせたとか。

廣川

そうでした(笑)。撮影が沖縄に決まってからずっと天気予報を見ていたんですが、予報が目まぐるしく変わっていたんです。直前に見た時には1日目だけ晴れで、2日目、3日目は怪しくて。だから「初日に良いカットを撮ろう」と話していたんですけど、結果的には、ほとんどが晴れ。撮りたいものは全部撮れたので、雨で傘を持ったカットも中にはあるんですけど、それはそれで味が出ていいなという感じでした。


──『なちゅらる』は松田さんもご覧になりましたか。

松田

はい。じっくりがっつり見ました(笑)。言葉が止まらなくなりそうな写真集でしたね。私が知っているナチュラルな奈々聖も写っているんですけど、初めて見る奈々聖もいたので、「こんな表情をするんだ」と思いました。

奈々聖はわーすたの中では背が低い方なんですが、それを全然感じないんです。スラッとしていて、華奢で。背が高く見える(笑)。


廣川

私、別に低くないんですよ。わーすたの4人で写っていなければ、比べられないから(笑)。


松田

それに、シンプルなワンピースを着てこんなにおしゃれに成り立つのって、可愛い子じゃないとそうはならないと思うんです。表紙が赤い服というのもすごくいい。


──廣川さんのメンバーカラーは緑ですよね。赤い服は新鮮でしたか。

廣川

やっぱりグループでのお仕事だと自然とメンバーカラーの衣装になってることが多いですね。でも緑の衣装で写真集の表紙は絶対に違うなと思っていたんです。だから赤というのは、自分の中でも新鮮だし、新しい自分を見せたいなと思っていたので、表紙に選んですごくよかったなと思います。


──今作ではゴスロリにも挑戦されています。

廣川

沖縄でゴスロリというのがすごく楽しかったです。「え、沖縄で撮ったの?」ってびっくりする人が多かったですね(笑)。でもすごく面白い写真が撮れたし、フォトジェニックなページになったと思います。

外で撮影していたんですが、日用雑貨を売っているようなお店の近くを歩いていたら、お店の方が出てきて「中で撮っていいよ」と言ってくれて、すごく良い場所で撮らせてもらったんです。沖縄の人の温かさを感じました。


──松田さんの『となりがいい』についても聞かせてください

松田

私も、自分だけが毎日ずっと撮られるということは今までなかったので、新鮮でした。「私でいいんですか」みたいな。私はアイドル10年目なんですけど、いまだに撮られ慣れない感覚があって、自分が撮られるよりも、人が撮られているのを見て「可愛いよ!」って野次を飛ばす方が気が楽なんです(笑)。

でも今回は自分のあまり見られたくないような角度の写真も、良い意味で諦めというか「撮ってください」と思えたのが良かったです。やっぱり何年もアイドルをやっていると、「この角度が盛れる」とか「こういうメイクが盛れるから、それ以外は嫌だ」という風に思ってしまって、視野が狭くなっていくんですよね。だけど、なんでもやるからこそ、新しく見せられる表情が生まれるというのは、今回のような機会がないとなかなかない。自分では出せないような表情や見せ方を引き出してもらって、楽しみにしてくれているファンの方の気持ちを考えると「こういう自分もありだな」と思えました。コンプレックスとかも気にならないと思えたのは、たぶん人生で初めてでした。


──奄美大島、伊豆、東京で撮影したということですが、これは松田さんの希望ですか?

松田

スケジュールの都合で、本当は奄美大島にもうちょっといるはずだったんですけど、色々と変更になって、最終的に3か所になりました。奄美大島から急きょ帰ることになったことで、私のガチ私服のページが1ページだけあるんですよ。朝起きてメイクして、思い出のために私が海をフィルムカメラで撮影していたら、「こんなに晴れてて綺麗だからもったいない」「ちょっと今撮ろう」ということになって(笑)。その写真が良かったので、載せられました。


──撮られるつもりのない私服が載ったんですね。

松田

そうなんです。帰る気満々の私服。新しい服を着れば良かったです。これ結構、着倒したやつなんですよね(笑)。メイクもここだけは自分でしているので、なんだかナチュラルですね。


──廣川さんから見てどうでしたか。

廣川

大人っぽかったので、最初はすごくびっくりしました。美里って普段から表情豊かで、コミカルな動きをしていることが多いんですけど(笑)、その分、ポーズのバリエーションとか自分の見せ方がすごく上手だなと思いました。考えてやっているというより、ただ自由気ままに楽しんでいる姿が収められているというか。タイトルがすごく合っていて、本当にずっと隣で見ているような気持ちになる写真集だと思いました。

力が抜けていて、儚くて。普段の美里とは違う雰囲気の写真がいっぱいあって、すごくいい。大人っぽいカットも多いんですが、おちゃらけた子どもっぽい雰囲気もあって、振り幅が大きいので見ていて楽しいです。


──タイトルにも悩んだそうですが、他にも候補がいくつかあったんですか。

松田

携帯のメモ帳に何十個も入れていて、マネージャーさんたちと一緒にずっと悩みました。表紙が先に決まったので、それに合わせて選びました。ひらがなで、親しみのある感じが私らしいかなと思って。


──1番印象に残っている撮影はどの場面ですか。

松田

撮影の最終日が伊豆だったんですが、山の中に滝があったので、真っ白なワンピースを着て近くまで行ったんです。真夏で昼間すっごく暑かったのに、山の中に入ると霧で一気に涼しくなって、むしろ寒いぐらいで。「夏にこんなに寒くなれるんだ」と思いましたね。川の中がすごく気持ち良いんです。

私は夏生まれなんですが、夏の水の涼しさがすごく好きなんですよ。プールとか海とか川とか、そういうところを背景に写真を撮れて、「夏生まれっぽいことしてるな」と嬉しくなりました。


──グループでの写真集はこれまでに3冊出していらっしゃいますが、個人の写真集との違いはお2人ともどのように感じますか。

廣川

全然違いますね。グループの写真集はメンバーみんなで進めていくので、安心感もあって、ただただワクワクするんですけど、自分1人だと写真の構成が出来上がってきても「これはいい写真集になっているのかな」とわからなくて。

発売して、ファンの方の感想を聞くまで「買ってください!」と強く自信を持っては言えないというか...。自分の中では最高を出し切ったとは思っているんですけど、ソロだとなかなか自信が持てなくて。いろんな感想を聞いて、自分でも改めてもう1回見て、「いい写真集になってる」と思えたのは結構経ってからだったかもしれません。反響を聞くまでドキドキでした。


松田

全員の撮影はやっぱり安心感があるんですよね。写真集もそうですが、曲をリリースする時も撮影はメンバーと一緒なのがほとんど当たり前だから、ソロで撮ってもらうと両側がなんか寂しいというか。私1人でこんなに幅を取ってもいいものなのか、という“手持ち無沙汰感”が強くて。慣れないところをお見せして、ちょっと恥ずかしくなるくらいでした。


──グループの1st写真集を出したのは2019年ですが、そこからの成長は実感しますか。

廣川

どうなんだろう。でも、撮られることはみんな、年々上手くなっているなと近くで見ていて思います。特に今年はグループ自体にも変化があったので、そのタイミングで改めて「私はこういうものです」という名刺代わりになるようなものが1つ作れたような感覚ですね。それは、すごく良いことだなと思います。


松田

その頃はやっぱりみんな幼さが残っていたと思います。わーすたは「可愛い」を追求するアイドルだと思っているんですが、その「可愛い」の種類、幅がすごく広がっているなと思います。「大人可愛い」だったり、「アンニュイな可愛い」だったり。それがファンの人にも伝わっていたら嬉しいです。


──以前、わーすたの皆さんにインタビューをさせていただいた時に、「猫耳はいつまで付けていられるのか」という話題が出たことがありました。「大人可愛い」になっていく皆さんですが、今日も猫耳を付けていらっしゃいますよね。

廣川

この調子だとたぶん、10周年になっても付けちゃってますね(笑)。実は私が一番、猫耳を外したいと言っているのですよ。でも、意外と瑠香に真面目に止められます。「いや、やめるのは無理でしょ」って(笑)。冷静に言われるので、「そっか」ってなりますね。でも私はまだ、いつか猫耳を取れるという夢を持っています(笑)。


松田

どっちも意外。瑠香の方が猫耳を外したがりそうな感じがするし、奈々聖は王道アイドルな感じなのに、すぐ猫耳を外したがる(笑)。


──ずっと続けていただきたいですけどね。

廣川

そろそろ受け入れる心を持たないと(笑)。


──ここまででグループの変化についても何度か口にされていますが、坂元葉月さんが2021年末に卒業されて、もうすぐで1年近くが経ちます。4人での活動はいかがですか。

廣川

あれからどれくらい経ったのか、自分でもわからなくなっていましたが、もう1年経つんだと思うと、長いような短いような不思議な感覚です。

例えば、また葉月が戻ってきて5人になってと言われてもすぐに戻れちゃうと思うんです。どっちにも慣れていないというか、5人でも行けるし、4人でも行ける、みたいな感覚はたぶん、これから先もずっとあるのかなと思います。

ただ、ライブとかで4人の自分たちを見ても、前よりはそんなに違和感を感じなくなったのも事実だし、4人でも寂しさを感じないようなパフォーマンスができるようになってきているのかなとは感じています。ツアーやリリースイベントをたくさんして、改めて自分たちを鍛え直すような1年でした。


松田

毎年、色々と変わることがありますが、今までの私は、環境の変化が耐えられないタイプだったんです。メンタルが不安定になったりしてしまって、メンバーをハラハラさせちゃうこともあったんですが、今までを思い返す中で今年気付いたのは、だんだん、ちょっとずつ環境の変化に耐えられる自分になっていること。すごく嬉しいなと思います。

個人的な話になってしまいますが、わーすた中心の生活を当たり前にずっとやってきているから、わーすたという軸があれば、変わっても頑張れるんです。葉月がいてくれた5人のわーすたがあったから、今の4人も、葉月が残してくれたものを大切に紡いでいくというか。

歌のパートを引き継ぐところが多いこともあって、余計にそういうことをたくさん考えます。メンバーを見ていても、メンバーたちが心強くなっているなと思っていたし、ドッシリした感じがする。それによる自信を感じられるのもすごく嬉しくて、横で踊ったり歌ったりしながら、私は自然と微笑んじゃうんです。そういうことが、最近のライブでは結構楽しいです。


──ありがとうございます。では最後に改めて、ご自身の写真集のアピールをお願いします。

廣川

3日間、全編沖縄で撮影しました。等身大の私を見てもらえる、本当に“なちゅらる”な写真集になっていると思います。沖縄旅行を一緒にしているような気分になりますし、私の中身まで見えてくるような写真集なので、気を抜いて、楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。


松田

今回の写真集は、普段の自分とは違う表情を出したいと思って頑張った表情もあれば、自然と出ちゃった普段の私っぽい写真もあって、幅広い内容になっていると思います。自分でも普段、見られないような表情の自分を見られたのが嬉しかったです。自分でもわからないような表情なので、たぶんファンの方も知らないような表情かなと思います。

この写真集で、みんなが今まで知らなかったような顔を、隣で見ているような感覚で楽しんでもらえると嬉しいです。


取材・文・撮影:山田健史

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