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 ヤクルトがオフの補強に積極的に動いている。

 10日、ヤクルト中日を戦力外となった三ツ俣大樹内野手(30)、阪神を戦力外となった尾仲祐哉投手(27)、巨人を戦力外となった沼田翔平投手(22)の3人と契約が合意したと発表した。三ツ俣と尾仲は支配下、沼田は育成での契約となる見込み。

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 三ツ俣は中日では高い守備力でチームに貢献、昨年から2年連続で自己最多の58試合に出場していた。今季は一塁以外の内野の全ポジションを守る一方で、6月21日ヤクルト戦で自身初のサヨナラ打を放ち、勝負強さも注目を集めた。

 ヤクルトは右の代打が左に比べて手薄なことに加えて、経験の浅い遊撃手、長岡のバックアップ要員も務められるなど、ユーティリティプレーヤーとしての側面も評価された。

 同じく発表された、阪神を戦力外となった尾仲はキレのあるカットボールやスライダーが持ち味の右腕。巨人を戦力外となった育成出身右腕の沼田は、20年5月に支配下登録され、同8月にプロ初登板を果たすも、21年オフに育成で再契約となっていた。今季2軍戦では26試合に登板し、開幕から11試合連続自責点0を記録するなど、ポテンシャルの高さを示していた。

 チームでは今季、育成出身の小沢、赤羽が台頭、過去にも他球団を戦力外となった今野を再生させてきた実績もある。リーグ連覇を果たしながら、日本シリーズではオリックスに敗れ、「足りない部分がたくさんある」と語っていた高津監督。目指すリーグ3連覇、日本一のためにヤクルトは着実に地固めを進めている。

 一方、こういったヤクルトの姿勢に戦々恐々となっているチームもありそうだ。

 「戦力外としたチームは選手のその後も注目しています。違うチームで花咲かせることは素晴らしいことですが、元の球団は何で育てられなかったんだ、生かせなかったんだと厳しい声を浴びかねない」(放送関係者)

 その意味では三ツ俣を戦力外とした中日、阪神、巨人などが該当する。

 中でも今季4位と5年ぶりのBクラスに沈んだ巨人は12球団ワーストの防御率と壊滅状態の投手陣もV逸の要因となった。光明が見いだせないシーズンで、トレードで放出した田口をめぐって、ファン間で「何で出したんだ」という声が飛び交った時期もあった。

 2021年、開幕前の3月に巨人に在籍した左腕、田口麗斗投手とヤクルトに在籍した広岡大志内野手の交換トレードが成立。ヤクルトに移籍した田口は今季も5月の日本ハム戦で無死満塁の場面を完璧に抑え、「田口の20球」と称賛されるなど、ブルペンに欠かせない存在となっている。

 一方の巨人はシーズン中も原監督が「左のワンポイントが欲しい」と熱望する場面もあった。ちぐはぐな補強を続けているとあって、今回の移籍劇の行方も注目を集めそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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