監修=後藤礼司 取材・文=轡田早月 編集協力=永坂佳子 写真=PIXTA

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「野菜だけ」「低脂肪高たんぱく」は本当に健康にいい?

 実りの秋には美味しいものが次々と旬を迎えます。また、過ごしやすい気温で食欲が増す季節でもあるので、秋の味覚を楽しみつつ体調をととのえていきましょう。

 前編でも触れたように、この時期の不調の一因は暑い季節に食欲が落ちて栄養バランスの偏った食生活を続けたツケが出ることです。このツケを解消するのにおすすめなのは、ビタミンCビタミンE、カロテノイド、ポリフェノールなど、身体の老化を抑えるといわれる抗酸化成分が豊富に含まれた緑黄色野菜や果実。サラダはもちろんスープやスムージーにするなど、目先を変えて毎日意識して取るようにしましょう。

 ただし、野菜さえ食べていれば健康になるかというとそうでもありません。たとえば植物性食品のみを食べるヴィーガンの人たちは不足分をサプリメントに頼りがちで、バランスを崩してしまえば貧血になりやすいことがわかっています。普段の食事から鉄分が不足しがちであるからです。体形を気にして食事制限をしている人にも同じようなことが見られますが、肉や魚などの食品群からしか摂れない栄養素もあるので、バランスよく幅広い食品を食べることも大切です。

 

見た目は健康的だけど…実は深刻な若年層のコレステロール問題

 栄養バランスということでもうひとつ気を付けたいのが、コレステロール問題です。コレステロール値を気にするのはメタボなシニア層という印象があるかもしれませんが、近年はやせ型の人や若年層でもコレステロール過多の人が急増しています。

 その一因は、ボディメイクブームで常食する人が増えた「低脂肪高たんぱく」な食事。例えば、鶏ハムばかり食べて筋トレをしている人は、一見、体脂肪が少なくシュっと健康的に見えますが、実は栄養バランスが悪いのですぐにバテやすく、風邪などの感染症に罹りやすいといえます。

 また、卵の食べ過ぎも要注意です。卵は良質なタンパク質の宝庫であり、手軽に摂取しやすい食材の代表格ですが、こちらもコレステロール量が高いので、摂りすぎれば当然 コレステロール過多になります。何ごとも過ぎたるは及ばざるが如し。必要以上の摂取に気を付けましょう。

「ついでトレーニング」で体幹を鍛えてバテない身体に

 バテない体をつくるには適度な運動も欠かせません。体幹を鍛える運動が効果的で、なかでもこの季節にベストシーズンを迎えるゴルフはぴったり。ゴルフのスイングは身体のコアの部分を強化できるし、肩回りのストレッチにもなります。

 休日のラウンドはもちろん、仕事上がりにゴルフ練習場で1時間ほど打つだけでもいい汗を掻けるので、「最近なんとなくスッキリしない」と感じている人は、スケジュールを調整して行ってみてはいかがでしょうか。

 家でのトレーニングなら、インナーマッスルから身体の表面に近い筋肉まで強化できるプランクがおすすめ。フロント→右サイド→バック→左サイド→フロントを各1分ずつ、計5分を目安に行ってください。

●プランクの方法
①まずはフロントプランクから。両腕を肩幅に開いた状態でうつ伏せに。
②両ひじを床に垂直につき、腰が反らないようにして上半身を起こします。
③足の爪先を立て、下半身も持ち上げたら、頭からかかとまで、体幹が一直線になるようにして1分間キープ。
④続いてサイドプランク。右を下にして横向きになり、床側のひじを肩の下で垂直に立て、上半身がしならないようにして1分間キープ。
⑤続いてバックブランク。両腕を肩幅に開いた状態で仰向けになります。
⑥両ひじを床に垂直につき、腰が反らないようにして上半身を起こします。
⑦かかとを軸にして下半身も持ち上げたら、頭からかかとまで、体幹が一直線になるようにして1分間キープ。
⑧左を下にして 再びサイドプランク。
⑨再びフロントプランクに戻って1セット終了。

 三日坊主になってしまう人は、「〇〇のついで」という習慣をつくれば続けやすくなります。例えば、TVのニュース番組やドラマのCMタイムを利用してプランクを行うというのはどうでしょう? 番組内のCMは2分くらいですが、番組と番組の間なら5分間くらいなので、上記で紹介した内容をちょうど1セット行うことができます。

 また、忙しくてゴルフや家トレの時間が取れないという人は、普段の呼吸に気を付けるだけでもずいぶん違います。ゆっくりと息を吸って吐く深い呼吸を繰り返すことでお腹の筋肉を使うヨガの腹式呼吸は、体幹の筋肉を鍛えるのに役立ちますよ。

 新型コロナウイルスもまだまだ治まる気配がなく、加えてこの冬はインフルエンザの流行も指摘されています。本格的な冬を迎える前のこの時期に、身体をリセットしておきましょう。

 

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