現在公開中の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の公開を前にして、現地メディアからは“嵐の前の静けさ”とも謳われた先週末(11月4日から6日)の北米興収ランキング。たしかに全体の興行収入は5800万ドルほどで、閑散期だった1か月前の水準に逆戻り。それでも日本のメディアとして注目すべき作品が2位に初登場を果たした。

【写真を見る】コロナ禍以降勢いを増す日本アニメ!『鬼滅』『ドラゴンボール』に続いたのはやっぱり『ONE PIECE』

2367館で公開され、初日から3日間で興収933万5831ドル(およそ13億円)を記録し、2位にランクインしたのは『ONE PIECE FILM RED』(日本公開中)。言わずもがな日本では8月の公開以来、独壇場ともいえる興行を展開し、観客動員1300万人&興収180億円を突破するメガヒットを記録している作品だ。週末成績こそ2位となってしまったが、初日のデイリー興収では堂々1位を獲得。

日本のアニメ映画の北米での健闘ぶりはこのコロナ禍に入って以降めざましいものがあり、『劇場版「鬼滅の刃無限列車編』(20)はオープニング興収2000万ドルを突破し、最終興収は4950万ドル。『劇場版 呪術廻戦0(21)はオープニング興収1800万ドルで最終興収は3454万ドル。そして8月に北米公開された『ドラゴンボール超:スーパーヒーロー』(22)は興収2112万ドルで初登場ナンバーワンを獲得し、最終興収3811万ドルを記録している。

この3タイトルと比較すると『ONE PIECE FILM RED』のオープニング興収は物足りなくも見えるが、過去の「ONE PIECE」作品の北米成績は『ONE PIECE FILM GOLD』(16)は10日間ほどの限定公開で興収42万ドルで、前作『ONE PIECE STAMPEDE』(19)は541館で公開され最終興収129万ドル。上映規模を考慮しても低調なものだっただけに、今作で急成長を遂げたことがよくわかる。

北米配給を担当しているのはクランチロール。200以上の国や地域でアニメや漫画を提供し、配信事業を主に行なっていた同社は、今年3月にファニメーション(『劇場版「鬼滅の刃無限列車編』の北米配給を行なっていた配給会社だ)と統合。『劇場版 呪術廻戦0』も『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』も同社が北米配給しヒットに導いており、アニメファンからの信頼もとくに厚い。

日本のアニメが大作映画と対等に戦えるというのは非常に喜ばしいことで、さらなる広がりに期待せずにいられない。ちなみに興行面ではクランチロールが強い一方で、映画賞などでの活躍ぶりはジブリ作品や細田守作品を配給しているGKidsが存在感を発揮。この2社が日本アニメの海外展開を引っ張っていることは覚えておきたいところだ。クランチロール新海誠監督の『すずめの戸締まり』(日本公開中)の世界配給権(アジアを除く)も獲得しており、来年初頭の公開を控えている。

さてランキングに目を戻すと、ドウェイン・ジョンソン主演の『ブラックアダム』(12月2日日本公開)が3週連続1位を獲得し、累計興収は1億3700万ドルを突破。ハロウィン向けのホラー映画は軒並みランクを落とす格好となったが、『Smile』は4位をキープし水曜日に興収1億ドルを突破。そしてサーチライト作品『イニシェリン島の精霊』(2023年1月27日日本公開)は上映館数を増やし、7位へとランクアップしている。

文/久保田 和馬

日本で記録的大ヒット中の『ONE PIECE FILM RED』が北米初登場2位!/[c]尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会