国際サッカー連盟FIFA)は17日、FIFAワールドカップカタール2022に出場する全選手を対象に、SNS上の差別や誹謗中傷から保護するサービスを開始すると発表した。

 FIFAの発表によると、この度開始されるサービスは「ソーシャルメディア・プロテクション・サービス(SMPS)」と名付けられており、SNS上のヘイトスピーチや誹謗中傷を監視し、緩和することを目的としたものだという。FIFAワールドカップカタール2022開催期間中は、同大会に出場する全32カ国の全ての選手にサービスが提供されるようだ。

 大会期間中、FIFAは全出場選手のSNSアカウントを積極的に監視し、選手や公衆に向けた罵倒や差別的表現、誹謗中傷や脅迫といった不適切なメッセージを確認した場合には、直ちにSNSのプラットフォームと警察に報告する予定だという。これにより、ルール違反者に対して警察やSNS運営企業から現実的な措置を取ることが可能になるとFIFAは発表している。

 また、選手自身もFIFAが提供する専用の監視、報告、モデレーションサービスを利用することにより、差別的表現や誹謗中傷の可視性を最小限に抑えることが可能になるという。選手個人やチームはSNS上での罵倒的・攻撃的なコメントを瞬時に隠すことで、受信者およびフォロワーに当該のコメントが表示されないようにできるようだ。
 
 FIFAジャンニインファンティーノ会長は、「ソーシャルメディア・プロテクション・サービス(SMPS)」開始に伴い、次のようなコメントを発表している。

FIFAは、全ての選手が最高のパフォーマンスを発揮できるような最高の環境を提供することを約束します。FIFAワールドカップカタール2022で、ソーシャルメディアの投稿が精神的健康や幸福に及ぼす悪影響から選手を守るためのサービスを開始できることを嬉しく思います」

 サッカー界では近年、SNS上での選手に対する差別的表現や誹謗中傷が大きな問題となっている。昨年のEURO2020決勝戦後には、イングランド代表のマーカス・ラッシュフォードジェイドン・サンチョブカヨ・サカらに対し、SNS上での罵倒や誹謗中傷が殺到。イギリスメディア『BBC』によると、Twitterは1622件の問題ツイートを削除し、警察はイギリス国内で11人を逮捕したと伝えられている。

FIFAがSNS上での誹謗中傷や悪質投稿に対する新サービスを開始へ [写真]=Getty Images