夜中に目が覚めた幼い2人の子供たち。家中の窓とドアが消え去り、家族の姿もない。暗闇からは何かがこちらを見つめている...
映画「Skinamarink」は、幼い子供たちをじわじわと苛む悪意ある邪悪な力の物語で、すでに欧米の評論家は、ここ数年でもっとも恐ろしい映画と評している。
【画像】 低予算ながら2022年最恐と評される映画「Skinamarink」
SKINAMARINK | Trailer
夜、暗闇の中でベッドに横たわっているとき、部屋の隅になにか得体の知れないものがいるのに気づく。目をこらして見つめていると、それが形を変えて実態のあるものになり、あなたのほうに向かって来る。こんな感覚を経験したことはあるだろうか?
今年、低予算で制作された『Skinamarink』というホラー映画は、まさにそんな映画だ。
カイル・エドワード・ボール監督自身の子ども時代の実際の家で、7日間にわたって撮影された。ありふれた空間や物が恐怖そのものになっていく、地味だがなんとも不穏に心がざわめく映画なのだ。
潜在意識から生まれた、言葉に言い表せない恐怖
時は1995年、ふたりの幼いきょうだい、ケビンとケイリーがが夜中に目を覚ますと、父親の姿はどこにもなく、家のすべての窓やドアがなくなっていた。
感受性が強い子どもたちは、幼すぎてこの状況を理解できないし、誰を信用していいかもわからない。
彼らの名を呼ぶ、しわがれ声がどこからともなく聞こえ始め、口にするのもおぞましい暴力行為を自分自身に向けるよう指示し始める。ふたりはその意思に屈する。
今年始め、アメリカのファンタスティック・フェストで初公開されると、評論家たちから、「言葉では言い表せない恐怖」「まさに呪われている」、「潜在意識から生まれたもの」など、さまざまな声が聞かれた。
Twitterではこんな反応があがっている。
lex briscuso:『Skinamarink』のおかげで、2晩明かりをつけっぱなしにして寝たわ。圧倒的な恐怖と、体の底からわきあがってくる深い動揺にがんじがらめにされる。観るのなら、自己責任でどうぞ。また、明かりを消して眠れるようになれるかどうかは、わからない。
Meeki:『Skinamarink』のせいで、恐怖に泣き叫んだのじゃないの? 怖くて泣いたことなんて、一度もないのに。
ホラー映画の恐怖要素が絡み合って生まれたモンスターホラー
ホラー映画は、たいていふたつの方法で私たちを怖がらせる。突然ぎょっとさせて、飛び上がらせ(どこからともなくいきなり殺人者が現れるとか)恐怖を倍増するか、あるいは脳裏に焼きついて離れないような恐ろしいイメージ(背後に得体のしれない人物がひそかに忍び寄るとか)を植えつけるという方法だ。
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『Skinamarink』は、この両方の要素をもつ映画で、一方が他方なしでは機能しないかのように、互いが絡み合ったような作りになっている。
何事もないかのような空間に、何分にも感じられる長い時間カメラが向けられる。例えば、天井の隅や、1930年代のアニメを繰り返し放映しているような古いテレビが映し出される。
全米では2023年公開
なにかが起こるわけではないが、麻痺したような無意識の力を長い間ただひたすら見つめていると、脳があなたにいたずらを仕掛け、潜在意識に忍び込んでくる。よく知らない相手と、完全に黙ったまま座っているようなものだ。
飛び上がるような恐怖はほとんどないが、映画の効果は絶大だ。こうした不可解な長い沈黙の呪文は、悲鳴やおもちゃの電話の静寂を破る音で、いきなりガツンと突き刺される。
スクリーンの見えないところで、なにか凶悪なことが起こっているのがわかっているのに、静寂の感覚が絶え間なく続く。
ポップコーンを食べながら気楽に観られる映画どころではなく、心を乱され、なんとも嫌な気持ちにとらわれる。
少しの忍耐が必要だが、いったん、ぞわぞわした恐怖が皮膚感覚でわかると、危険な催眠術にかかったように、背筋が凍るほどの感覚を振り払うことがとてもできないことに気づく。
現在、『Skinamarink』は、映画祭で上映されているが、2023年にはアメリカで公開される予定だ。日本で上映されるのかどうかはわからない。
詳細については、カイル・エドワード・ボール監督のtwitterをチェックして欲しい。
References:Skinamarink is the scariest horror movie of the year - Viewers are already saying they 'haven't been scared like this in years' / written by konohazuku / edited by / parumo
追記:(2022/11/17)タイトルと本文を一部訂正して再送します。
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