女優発掘・育成プロジェクト「TBSスター育成プロジェクト『私が女優になる日_』season2」でグランプリに輝いた幸澤沙良が主演を務めるTBSのよるおびドラマ「差出人は、誰ですか?」(毎週月~木曜深夜0:40-0:55、TBS系※一部地域を除く)。秋元康が企画・原案を手掛ける同作は、「SNS社会に生きる若者たち」をテーマに、「本音で人と向き合うこと」「匿名を使わずに相手に気持ちを伝えること」の大切さを、「手紙」というアナログツールを使って完全オリジナル脚本で描いていく。

【写真】コスプレ姿が美しい…幸澤沙良“美月”と櫻井海音“成田” (ほか写真45枚)

WEBザテレビジョンでは、主人公・美月(幸澤)のクラスの王様的存在の成田育を演じる櫻井海音、成田と幼なじみで、ある時を境に成田からいじめられている馬場浩人を演じる窪塚愛流にインタビューを実施。今作が初共演となる二人に、お互いの印象や撮影現場でのエピソードなどを聞いた。

■櫻井、初共演の窪塚の人柄に「すごく安心しました」

――お二人は初共演とのことですが、共演される前の印象と、共演してみての感想を教えてください。

櫻井:共演する前は、モデルとしてクールに写真に写っている愛流を見ることが多かったので、最初はクールで口数が少なくて、ちょっと尖っているんじゃないかなというイメージを持っていました。でも、会ってみたらものすごく謙虚で腰が低くてかわいらしい子だったので、すごく安心しました。今回、成田と馬場の距離が詰めづらい設定だったので、愛流も現場で意識してくれていたように、最初から距離を縮めるという感じではなく、成田と馬場が仲直りをする展開を演じる中で、どんどん距離が縮まっていったなという感覚があります。

窪塚:櫻井さんが役者や音楽の世界で活躍されていることは知っていたので、役者とモデルの活動をしている僕とは違った世界で活躍している櫻井さんと仲良くなりたいなと思っていました。ただ、ドラマの成田と馬場の関係性を考えると、最初からたくさん話すのは役を作る上でどうかな…と思ったので、敢えて積極的に話したりはせずに、ドラマの役同士の距離感を大切にしようと思って現場で過ごしていました。ドラマのストーリーが進行するとともに二人の関係性も変わっていったので、徐々に櫻井さんと普段の何気ない話やふざけた話もできるようになれたのでうれしいです。

■高校時代の窪塚は王様タイプ!?

――櫻井さん演じる成田はクラスの王様的存在、窪塚さん演じる馬場はクラスのいじめられっ子という役ですが、それぞれの役とご自身で似ている部分はありますか?

櫻井:僕は、成田のキャラクターそのままですね。

窪塚、スタッフ:…。

櫻井:…嘘です、冗談です(笑)。でも、僕が今まで演じてきた役の中で、一番近いキャラクターなのかなと思います。そのまんまではないですけど、サッカーのクラブチームに入っているという設定もそうですし、高校時代、クラスの中では「イエイ!」って感じでにぎやかなタイプではあったので。でも、大人になるにつれて無邪気さだったり、不器用な部分だったり、学生時代から変わっていく部分ってあるじゃないですか。演じながら、学生時代から変わった部分や失った部分を思い出しました

あと、これまでは割と暗い役や口数が少ない役が多かったので、初めてクラスの王様みたいな役をやらせてもらえて、気持ちが良かったです(笑)。でも、馬場をいじめていることに関しては、ただのいじめっ子にならないように監督と話し合いをさせてもらって、成田にいろんなバックグラウンドがあった上で今の馬場との関係性があるということを大切にしました。

――窪塚さんはいかがですか?

窪塚:高校生の時の自分と馬場を照らし合わせると真逆というか、僕はどちらかといえば成田側の…。

櫻井:王様だったの…?

窪塚:王様じゃないです! 王様じゃないですけど、明るくみんなを笑わせるようなキャラでした。最初は馬場をどう演じようかなと考えていたのですが、監督とプロデューサーの方から、弱々しい感じのいじめられっ子にならないように演じてほしいと提案をいただいたので、弱々しくならないように、馬場の大切な本を投げられるシーンでは、相手を睨んでみたり…視聴者の方々に伝わるかどうかはわかりませんが、自分なりに工夫してお芝居をしてみました。

■互いの芝居を受けて感情的に「二人で芝居をするうちに涙が出てきて…」

――二人の場面を撮影する中で、印象的に残っている場面はありますか?

櫻井:僕は第六週(11月14日11月17日放送)で、馬場から手紙を受け取った成田が、後日教室で馬場に謝罪をするという場面が、二人でいいものが撮れたなと感じていますし、台本から変わったところが多々あったので特に印象に残っています。台本では、成田が馬場に手を差し出して、馬場が成田を引き寄せて抱き締めると書かれていたんですが、成田の方から手を差し出しちゃうと、自分から許しを求めに行ってるような見え方になっちゃうかもしれないなと思って。そこは、成田の気持ちを受けた馬場の方から手を差し伸べる…という方が自然な流れなんじゃないなかと思ったので、監督やプロデューサーと話させていただいて、台本とは違った内容になりました。

あと、二人が抱擁してお互いに涙を流すという場面も印象に残っています。涙を流すという描写は台本にはなかったんですが、二人で芝居をするうちに涙が出てきて…お互いに芝居で掛け合いができた場面になったと思っています。

窪塚:僕もあの場面は演じながらびっくりしました。台本を読んでいる時は泣かないだろうと思っていたのですが、本番で櫻井さんの芝居を受けた時に、考えてもいなかった感情になって。その場で生まれたものを大事にしようと思い、芝居を続けたら、握手を交わすまでの数秒ですが、馬場の気持ちの流れも変わって、涙が溢れそうになりました。

櫻井:本来は泣かなくても良かった場面ですが、馬場の前に立って芝居をした時に愛流がしっかり僕の芝居を受けてくれたので、自然に感情的になれました。馬場が成田に「諦めんなよ」という一言を告げる場面があるんですが、本番で愛流が心に刺さる芝居をしてくれたので、芝居していて楽しかったですし、ありがたかったです。芝居を通してお互いに通じ合えたからこそ、良い場面が撮れたんだなと思います。僕はその場面が一番好きですね。

窪塚:僕も櫻井さんの芝居があったからこその感情が生まれましたし、あの瞬間は、僕の世界ではカメラもスタッフさんも見えなかったです。本当に心と心でぶつかり合えるお芝居ができたと実感しているので、僕も好きな場面です。

このドラマとは関係ないのですが、撮影中にネガティブになってしまう時間があって。今までにはない気持ちになったり、投げやりになりそうになった時に、馬場ちゃんと成田の関係性や過去の絆とか、ふと思いおこされて、自分が演じる馬場の姿から背中を押してもらったという不思議な体験をしました。改めて、馬場浩人という役を演じることができて、すごく良かったなと思っています。

■窪塚、ドラマ初出演作での演技は「完全にカメラから逃げていた」

――幸澤さんに取材をした際、一日に何度も着替えて別のシーンをバラバラに撮影することに驚いたとおっしゃっていたのですが、お二人は初めてドラマに出演した時に驚いたことや印象に残っていることはありますか。

窪塚:初めて出演させていただいたドラマ「ネメシス」で、詐欺師の受け子の役を演じさせていただいたのですが、悲しい芝居をする時に、悲しいから下を向くだろうなと思って下を向いて芝居をしたんです。その時はその芝居が正解だと思っていたのですが、オンエアを見るとほとんど表情が見えないまま終わってしまっていて…自分の芝居がダメダメで、すごくもったいないことをしてしまったと思いました。僕は完全にカメラから逃げていたし、動作や仕草においても楽な芝居をとっていたなと。その時に、悲しいからといって下を向くのではなくて、俳優なら表情で勝負するべきだと思いました。

――櫻井さんはいかがですか?

櫻井:朝早くから夜遅くまで撮影することと、男の人でもしっかりメークすることに驚きました。当時、高校2、3年生だったんですが、洗顔はしていてもその他のケアは全くしていなかったので、男性の役者さんがメークするとしてもニキビとかをピンポイントで綺麗にするくらいだと思っていたんです。でも、初めてメークしていただいた時に、ちゃんと下地からメークして、眉毛も書いて…と丁寧にメークしていただいたのでびっくりしましたし、メークされた自分の顔を見た時に違和感を感じた記憶があります(笑)。

あと、最初は衣装合わせの存在も知らなくて。ただ、衣装を合わせるだけなのかなって思っていたんですが、監督やプロデューサーといろんなコミュニケーションを取りながら、その作品に入るまでの役作りをする一環なんだということを知って。最初の頃は知らずに何にも準備せずに行っていました。

窪塚:衣装合わせで思い出したんですが、僕が中学生の頃に初めてお芝居の仕事をさせていただいた映画「泣き虫しょったんの奇跡」の衣装合わせの時に、女性のスタイリストさんが着替えのブースに入って来た時は焦りました (笑)。「僕、今から脱ぐのに…!」って(笑)。

――それでは最後に、第七週(11月21日11月24日放送)の放送に向けてドラマの見どころを教えてください。

櫻井:成田は、馬場や誠二(野村康太演じるクラスメイト)のことがあったり、家のこともあったりしたりして、重めな場面が多かったと思うんですが、第七週以降は一気に恋愛モードにシフトして行くので、成田が恋愛している姿や、好きな人に対してどういうアプローチをしていくのかなど、また違う角度から楽しんでいただけければと思います。あとは、第七週は文化祭の場面もあって、明るくポップな感じで描かれていくので、ぜひ楽しみにしていてください!

窪塚:だんだん馬場ちゃんがクラスメイトと親しくなっていく姿を見てほしいと思います。馬場ちゃんって教室の一番前の一番端っこの席であまりクラスメイトと話さないし、女の子に対しても興味を持っていないような感じなので、馬場ちゃんは自分の世界の中で生きる人なのかなって思っていたんです。でも、第七週から徐々に馬場ちゃんがクラスに溶け込んでいくので、そこに注目していただけたらと思います!

【櫻井海音】スタイリスト/藤井晶子、ヘアメイク/吉沢実希、衣裳/ジャケット:¥50,600、パンツ:\33,000(ともにMAGIC STICK)、シャツ:\46,200(KOH’S LICK CURRO)、シューズ:\29,700(CAMPER/カンペールジャパン) 【窪塚愛流】スタイリスト/上野健太郎、ヘアメイク/NEMOTO(HITOME)、衣裳/シャツ¥104,500、ニット¥174,900、パンツ¥104,500、シューズ¥92,400(ステラ マッカートニー)

馬場浩人を演じる窪塚愛流&成田育を演じる櫻井海音/ 撮影=阿部岳人