『にゃんこ大戦争』は、2022年11月15日に発売10周年を迎える。携帯電話向けゲームとして始まった本作は、プラットフォームをスマートフォンに移し、いまなお高い人気を誇っている。今回はそんな本作のゲーム性や、これほどまでの人気を勝ち取った背景などを解説する。

参考:【画像】”キモカワ猫”を使いこなし、敵の城を粉砕!

■スマホゲーとして大成功を収めたタワーディフェンスゲーム

 『にゃんこ大戦争』は、2012年11月15日にリリースされたスマートフォン向けのタワーディフェンスゲームだ。スマホ版は2010年に配信された携帯電話向けソフトを元に開発されており、2022年はスマホ版の10周年ということになる。

 携帯電話版のセールスは振るわなかったものの、スマホ版は発売からわずか半年ほどで600万ダウンロードを達成するなど、爆発的なヒットを記録。その後も人気は衰えることなく、2022年11月には7,800万ダウンロードを達成した。本作がニンテンドー3DSNintendo Switch向けにリリースされていることからも、人気の高さがうかがえる。

 そんな本作のルールは、いたってシンプルだ。自陣の城からさまざまなユニットを出撃させ、敵ユニットと戦闘を行い、最終的に敵城のHPを0にすれば勝利となる。反対に自陣の城のHPが0になると敗北だ。ユニットには生産コストが低いもの、攻撃が得意なもの、壁役として最適なものなどさまざまな種類が用意されており、敵ユニットの構成に応じてバランスの良い編成を考えなくてはならない。典型的なタワーディフェンスゲームといえるだろう。

 しかし、わかりやすいゲームデザインと操作性、無料でも楽しめるお手軽さ、後述する独特なキャラクターデザインなどが相まって、スマホ向けのタワーディフェンスゲームとしては最大級の成功を収めた。

■猫をモチーフにしたキモカワなユニット

 本作最大の特徴は、ユニットの独特なデザインにある。『にゃんこ大戦争』というタイトルにある通り、自軍ユニットのほとんどが猫をモチーフとしたデザインになっているのだ。猫のデザインはかつての2ちゃんねるにおける「アスキーアート」を彷彿とさせるような、デフォルメされたものとなっており、どこか間抜けでかわいらしい。

 とはいえ、単体で見ればかわいらしいにゃんこのデザインも、ユニットによっては裏目に出ているのが面白い。たとえば、「美脚ネコ」というユニットは、猫の顔にそのまま人間のような脚がくっついているため、かわいいというよりは気味の悪いデザインだ。しかし、本作をプレイしていると、そんな「かわいさ」と「キモさ」のバランスが絶妙なにゃんこたちのデザインが癖になってくるのである。

 また、世界観も独特だ。たとえば、ゲーム起動時に流れるプロローグでは、ほぼストーリーとは関係のない(いわば制作スタッフのつぶやきのような)文章が羅列されており、シュールな世界観に拍車をかけている。さらに、『ドラゴンクエスト』や『天空の城ラピュタ』など、さまざまなゲームやアニメのパロディ的なユニットも登場し、元ネタを知っている人ならニヤリとしてしまうことだろう。ともすれば殺伐としたイメージになりかねないタワーディフェンスゲームだが、『にゃんこ大戦争』は脱力感のある世界観を守り続けている。

■ストレスのないUIと絶妙な難易度設計

 にゃんこ大戦争がこれほどまでの人気を獲得した理由として、わかりやすいUIや絶妙な難易度設計も挙げられる。

 本作はお金を消費してユニットを出撃させ、敵の城を落とすというきわめてシンプルなゲーム性となっている。出撃したユニットはオートで攻撃を行うため、戦闘中にプレイヤーが行う操作は、「出撃ユニットの選択」「お金集めのスピードアップ」「ネコ砲台(ゲージが溜まると使用できる必殺技)の使用」の3つだけだ。そんな単純明快な操作性が、本作を遊ぶハードルを下げている。

 かといって、決して難易度が低すぎるというわけではない。本作にはユニットやプレイヤーの強化要素が用意されており、計画的に強化を行わなければ攻略が行き詰まることも。また、定期的に配信される超高難度のステージは、特定のレアユニットを入手しなければ攻略が困難だ。そんな絶妙な難易度設計も、ユーザーを惹き付ける一因だろう。

 『にゃんこ大戦争』は、現在もスマートフォンやタブレットがあればプレイすることが可能だ。基本無料で遊べるため、まだプレイしたことがないという人はぜひこの機会にダウンロードしてみてはいかがだろうか。
(文=坂田憲亮)

『にゃんこ大戦争』より